炭水化物の役割と働き・効果

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炭水化物の栄養学的な主な役割は、脳、神経組織、赤血球、腎尿細管、精巣、酸素不足の骨格筋等通常はブドウ糖しかエネルギー源として利用できない組織にぶどう糖を供給することです。炭水化物なしで活動することは難しく、炭水化物なしでは様々な体の機能に影響があると考えられます。

 

 炭水化物について

炭水化物は糖質などの単糖を構成成分とする有機化合物の総称です。炭水化物には消化吸収されるものの糖質と消化吸収されないものの食物繊維があります。糖質は主として脳や体を動かすエネルギーになります。同じようにエネルギーになる脂質に比べて燃焼が早いため、体に吸収されるとエネルギーになりやすい性質があります。

炭水化物はエネルギーになる栄養素の中で最も重要なものです。日本人の一般的な食事では摂取エネルギーの60%前後を炭水化物で得ているといわれています。糖質はエネルギーとして使われる以外にも脂質の代謝にも関与しています。エネルギーとして使用されなかった余分な糖質はグリコーゲンや中性脂肪に形を変えて体内に貯蔵されます。

炭水化物は砂糖や果物などの甘いものだけでなく、ご飯、パン、麺類、いもなどにもでんぷんとして含まれています。

 

炭水化物の働き・効果

炭水化物は糖質と食物繊維に別けることができます。それぞれ働きや効果が異なります。

 

炭水化物は1gで4kcalのエネルギーとなります。人が炭水化物を摂取すると単糖類(グルコース、フルクトース、ガラクトースなど)まで分解されて吸収されます。脳では血液中のブドウ糖(グルコース)が主なエネルギー源です。人の体にはブドウ糖でしか機能しない器官があるので重要な栄養素となります。

 

脳での働き

ブドウ糖は脳を動かすエネルギー源となっている栄養素です。脳には血液脳関門と呼ばれる機構があるため、この脳関門を通過できるぶどう糖がエネルギーの供給源となっています。脳の重量は体全体の2%程度の重量ですがその個体の基礎代謝量の約20% を消費すると考えられています。ブドウ糖の供給が不足すると、脳はその機能を低下させてしまいます。

炭水化物は特に脳の働きに必要です。身体に必要なエネルギーは、たんぱく質や脂質を分解しても足りることがありますが、脳に必要なエネルギーである「ブドウ糖」は、余程の状態でない限り、炭水化物からしか摂ることが出来ません。

炭水化物の不足は、思考力の低下や疲れやすさを招き、「仕事や勉強がはかどらない」「なかなか能率が上がらない」といった症状を引き起こします。脳に必要なカロリーは、一日約200~300kcal。頭をしっかり働かせるためにも、炭水化物が必要です。

 

神経組織での働き

炭水化物を減らすことにより、セロトニンの分泌が少なくなります。セロトニンは、幸せホルモンなどと呼ばれ、副交感神経の働きを活発にしてくれる物質です。炭水化物(ブドウ糖)はインスリンの放出を促すことにより、トリプトファンの脳内への輸送を促進し、脳内でセロトニンの産生を高めてくれる働きがあります。また、神経活動が行われる際に炭水化物(ブドウ糖)が使われることから、血中にブドウ糖が豊富にあると記憶力が増す、といった実験結果も報告されています。さらに、炭水化物などの甘味物質は、鎮痛や快感作用の効果を持ち、ストレスを解消し安らぎを覚えさせてくれるといった報告もあります。

 

赤血球での働き

炭水化物(ブドウ糖)は赤血球のエネルギー源です。このため、炭水化物(ブドウ糖)はエネルギーとして使用される働きがあります。赤血球はミトコンドリアを持たないことから、脂肪酸をエネルギー源として利用することができません。

 

腎尿細管、精巣および卵巣、酸素不足の骨格筋での働き

腎尿細管、精巣および卵巣、酸素不足の骨格筋は炭水化物(ブドウ糖)しかエネルギー減として利用できません。このため、炭水化物(ブドウ糖)はエネルギーとして使用される働きがあります。

 

食物繊維

食物繊維の効果・効用として肥満防止水、コレステロール上昇抑止、血糖値上昇抑制があります。このため、脂質異常症予防、便秘予防、肥満予防、糖尿病予防、脂質代謝を調節して動脈硬化の予防、大腸癌の予防、その他腸内細菌によるビタミンB群の合成、食品中の毒性物質の排除促進等に効果があります。

 

炭水化物が不足した場合の影響

炭水化物が不足した場合以下のような症状が出る場合があります。

  • エネルギーが不足して、疲れやすくなる可能性があります。
  • 脳のエネルギー源なので、頭の働きがにぶる可能性があります。
  • その他上記に挙げた器官の機能が低下する可能性があります。

 

炭水化物とアルコール

アルコール(エチルアルコールまたはエタノール)は穀物や果物などの炭水化物を微生物(酵母)の力を借りてアルコール発酵させて製造されます。つまり、アルコールは炭水化物から作られるわけです。しかしながら、アルコールは炭水化物ではありません。体内に吸収されたアルコールのほとんどは代謝されて酢酸になり、最終的には炭酸ガスと水に分解されます。脂肪酸はメチル基(CH3-)が鎖状につながった有機酸(CH3CH2…CH2COOH)です。炭素の鎖が数によって長鎖脂肪酸、短鎖脂肪酸などと呼ばれます。つまり、炭素数が一つの酢酸は最短鎖脂肪酸です。このため、酢酸のもとになるアルコールは炭水化物ではなくて脂肪になります。

 

炭水化物摂取基準

18歳以上の方の場合、一日に必要なエネルギー量のうち炭水化物からとる割合の目標値を、50%から65%としています。

詳細は炭水化物の機能・役割と食事摂取基準をご覧ください。 

 

取得できる食物

糖質は、砂糖や果物などの甘いものだけでなく、ご飯、パン、麺類、いもなどにもでんぷんとして含まれています。

 

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