炭水化物の働きと1日の摂取量は?目標量(エネルギーの50〜65%)と食物繊維・糖類の目安

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炭水化物は、たんぱく質・脂質と並ぶ三大栄養素の1つです。この記事では、炭水化物の働きと、1日にどのくらい摂ればよいか(食事摂取基準)を表で説明します。数値と考え方は、厚生労働省の日本人の食事摂取基準(2025年版)の炭水化物の章に基づいています。不足した場合と摂りすぎた場合の影響も紹介します。

炭水化物は、人の消化酵素で消化できる糖質と、消化できない食物繊維に分けられます。糖質の中でも、ブドウ糖や果糖などの単糖類と、砂糖(ショ糖)などの二糖類を合わせたものを「糖類」と呼びます。

 

炭水化物の機能・役割

栄養の面から見た炭水化物の最も大切な役割は、エネルギー源になることです。糖質は1gあたり約4kcalのエネルギーを生みます。

脳、神経、赤血球、腎臓の尿細管、精巣、酸素が足りないときの筋肉などは、ふつうはブドウ糖しかエネルギー源として使えません。糖質は、こうした組織にブドウ糖を届ける役割をしています。2025年版では、ブドウ糖は1日に少なくとも100gは必要と推定されています。ただし、肝臓は乳酸やアミノ酸などからブドウ糖をつくる(糖新生)こともできるため、これは「これより少ないと必ず困る量」ではありません。

食物繊維は消化されませんが、大腸で腸内細菌に分解され、わずかなエネルギー(1gあたり0〜2kcal)を生みます。食物繊維はエネルギー源としてよりも、心臓病や2型糖尿病などの生活習慣病との関係が注目されています。

働きの詳しい説明は炭水化物の役割とは?ブドウ糖を届ける働きと1日の目標量・糖類や食物繊維の摂り方を確認してください。

 

炭水化物の食事摂取基準

食事摂取基準の指標(推定平均必要量・推奨量・目安量・耐容上限量)と、不足・摂りすぎのリスクの関係を示した図

炭水化物は、どのくらい必要かをはっきり決められないため、推定平均必要量や推奨量は決められていません。2025年版では、たんぱく質と脂質の目標量を決めたあとの残りとして、1日に摂るエネルギーのうち炭水化物から摂る割合の目標量(生活習慣病の予防のために目指す量)が示されています。

炭水化物の食事摂取基準(%エネルギー)

年齢等 男性 女性
目標量 目標量
0~5(月) ─ ─
6~11(月) ─ ─
1~2(歳) 50~65 50~65
3~5(歳) 50~65 50~65
6~7(歳) 50~65 50~65
8~9(歳) 50~65 50~65
10~11(歳) 50~65 50~65
12~14(歳) 50~65 50~65
15~17(歳) 50~65 50~65
18~29(歳) 50~65 50~65
30~49(歳) 50~65 50~65
50~64(歳) 50~65 50~65
65~74(歳) 50~65 50~65
75以上(歳) 50~65 50~65
妊婦 50~65
授乳婦 50~65

※範囲はおおむねの値を示したものです。

※エネルギーの計算にはアルコールを含みます。ただし、アルコールを摂ることを勧めるものではありません。

たとえば1日に2,000kcalを摂る人では、50〜65%は1,000〜1,300kcalにあたり、糖質1gを4kcalとすると250〜325gになります(目標量の%から計算した例です)。

目標量の範囲の中でも、炭水化物の「質」が大切です。2025年版は、精製度の高い穀類や、甘味料・甘い飲み物、酒類に頼りすぎるとビタミンやミネラルが不足しやすくなるとして注意を促しています。また、食物繊維が少なくならないように気をつけることも求めています。

食物繊維の食事摂取基準

食物繊維には、3歳以上で目標量が決められています。

食物繊維の食事摂取基準(g/日)

年齢等 男性 女性
目標量 目標量
0~5(月) ─ ─
6~11(月) ─ ─
1~2(歳) ─ ─
3~5(歳) 8以上 8以上
6~7(歳) 10以上 9以上
8~9(歳) 11以上 11以上
10~11(歳) 13以上 13以上
12~14(歳) 17以上 16以上
15~17(歳) 19以上 18以上
18~29(歳) 20以上 18以上
30~49(歳) 22以上 18以上
50~64(歳) 22以上 18以上
65~74(歳) 21以上 18以上
75以上(歳) 20以上 17以上
妊婦 18以上
授乳婦 18以上

健康のためには成人で1日25g以上が望ましいと考えられていますが、日本人が実際に摂っている量(成人の中央値は1日13.3g)との差が大きいため、その中間の値をもとに目標量が決められています。詳しくは食物繊維の機能と効果を確認してください。

糖類(砂糖など)の目安

砂糖などの糖類を摂りすぎると、エネルギーの摂りすぎや虫歯の原因になることが広く知られています。日本では、食品に加えられた糖を摂っている量を調べるのが難しいため、2025年版では糖類の目標量は決められていません。WHO(世界保健機関)は、食品や飲み物に加えられた糖と、はちみつ・果汁などに含まれる糖(遊離糖類)を、1日のエネルギーの10%未満に、できれば5%未満に抑えるよう勧めています。

 

炭水化物が不足した場合の影響

炭水化物を極端に減らすと、エネルギーが不足しやすくなります。ブドウ糖が足りないときは、肝臓が筋肉から出るアミノ酸や乳酸、脂肪組織から出るグリセロールを材料にブドウ糖をつくります(糖新生)。

旧版の記事では、炭水化物が不足すると「疲れやすくなる」「頭の働きがにぶる」可能性があると書いていましたが、2025年版で確かめられなかったため削除しました。

なお、2025年版によると、炭水化物を減らす食事でやせる効果は、同じエネルギー量だけ脂質やたんぱく質を減らす食事と大きくは変わりませんでした。糖尿病の管理のために長く続ける食事療法として、炭水化物を減らすことは今のところ勧められないとされています。

 

炭水化物を摂りすぎた場合の影響

炭水化物には、耐容上限量(これ以上摂ると健康障害のリスクが高まる量)は決められていません。目安にするのは目標量の上限(エネルギーの65%)で、上で説明したように炭水化物の「質」にも気をつけます。

とくに気をつけたいのは、砂糖などの糖類です。2025年版でも、糖類の摂りすぎはエネルギーの摂りすぎや虫歯の原因になるとされています。また、遊離糖類や砂糖入りの飲み物を多く摂るほど体重が増えやすいことが、複数の研究をまとめた解析(メタアナリシス)で報告されています。砂糖入りの飲み物を多く摂ることと、2型糖尿病の発症との関連も報告されています。ただし、どのくらい摂ると問題になるかという明確な境目は分かっていません。

遊離糖類を多く摂ると、そのぶんビタミンやミネラルの摂取量が減る現象も、日本人で観察されています。糖類を控える目安は上の「糖類(砂糖など)の目安」を確認してください。糖尿病の人の食事については糖尿病の食事で気をつけることは?糖質制限・果物・食物繊維・お酒と血糖値の関係で説明しています。

 

炭水化物を多く含む食べ物

糖質(でんぷん)はご飯、パン、麺類、いもなどに多く含まれています。砂糖や果物にも糖が含まれます。食物繊維は、野菜、果物、豆、海藻、きのこなどに多く含まれています。

文部科学省の日本食品標準成分表(八訂)増補2023年で、主食やいも、果物の炭水化物の量(可食部100g当たり)を見ると次のとおりです。この表の炭水化物には、食物繊維も含まれています。

食品 炭水化物(g/100g)
食パン(角形食パン) 46.4
精白米ごはん(うるち米) 37.1
さつまいも(皮なし、蒸し) 31.9
そば(ゆで) 26.0
バナナ(生) 22.5
うどん(ゆで) 21.6
じゃがいも(皮なし、蒸し) 18.1

ごはんや麺類は、炊いたりゆでたりして水を含んだ状態の値です。

 

アルコールは炭水化物ではない

お酒は穀物や果物の糖を発酵させてつくりますが、アルコールは炭水化物ではありません。2025年版では、アルコールは栄養学的にも化学的にも炭水化物とは異なる物質で、必須の栄養素でもないとして、栄養素の章では扱わないことになりました。ただし、アルコールにもエネルギーがあるため、炭水化物の目標量の計算にはアルコールのエネルギーも含まれます。

旧版の記事では、2015年版の表(50〜69歳、70歳以上の区分など)を載せていましたが、2025年版の表に改めました。

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