脂質の機能・役割と食事摂取基準値など

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脂質は水に不溶で有機溶媒に溶解する化合物です。脂質は体を動かすエネルギー源として使われる以外に体の中で神経組織、細胞膜、ホルモンなどを作るのに欠かせない成分です。栄養学的に重要な脂質は脂肪酸、中性脂肪、リン脂質、糖脂質、ステロール類です。脂肪酸は炭化水素鎖(水素と炭素のみからできている)の末端にカルボキシル基を有し、総炭素数が4~36の分子です。カルボキシル基があるので生体内での代謝が可能になり、エネルギー源として利用され、また細胞膜の構成成分になることができます。

下記は脂肪とその構成になります。
脂質とその構成
点線部分は基準値が設定されている栄養素です。

 

 

脂質の効果・機能

脂質は細胞膜の主要な構成成分であり、エネルギー産生の主要な基質です。脂質は脂溶性ビタミン(A、D、E、K)やカロテノイドの吸収を助ける働きがあります。脂肪酸は炭水化物あるいはたんぱく質よりも、1g当たり2倍以上のエネルギー価を持つことから、エネルギー蓄積物質として優先的に脂質を蓄積すると考えられます。n─6系脂肪酸とn─3系脂肪酸は体内で合成できず、欠乏すると皮膚炎などが発症するため必須脂肪酸いいます。

 

脂質の食事摂取基準

脂質の食事摂取基準

年齢等男性の目安量目標量(中央値)女性の目安量女性の目標量(中央値)
0~5(月)5050
6~11(月)4040
1~2(歳)20~30(25)20~30(25)
3~5(歳)20~30(25)20~30(25)
6~7(歳)20~30(25)20~30(25)
8~9(歳)20~30(25)20~30(25)
10~11(歳)20~30(25)20~30(25)
12~14(歳)20~30(25)20~30(25)
15~17(歳)20~30(25)20~30(25)
18~29(歳)20~30(25)20~30(25)
30~49(歳)20~30(25)20~30(25)
50~69(歳)20~30(25)20~30(25)
70以上(歳)20~30(25)20~30(25)

(脂質の総エネルギーに占める割合(脂肪エネルギー比率):% エネルギー)

範囲についてはおおむねの値を示したものです。また、中央値は範囲の中央値を示したものであり最も望ましい値を示すものではありません。妊婦のデータはありません。

 

飽和脂肪酸の食事摂取基準(% エネルギー)

性 別
年齢
男 性
目標量
女 性
目標量
1~2(歳)
3~5(歳)
6~7(歳)
8~9(歳)
10~11(歳)
12~14(歳)
15~17(歳)
18~29(歳)7以下7以下
30~49(歳)7以下7以下
50~69(歳)7以下7以下
70以上(歳)7以下7以下

妊婦のデータはありません。

 

n─6系脂肪酸の食事摂取基準(g/日)

性 別
年齢
男 性
目安量
女 性
目安量
0~5(月)44
6~11(月)44
1~2(歳)55
3~5(歳)76
6~7(歳)77
8~9(歳)97
10~11(歳)98
12~14(歳)1210
15~17(歳)1310
18~29(歳)118
30~49(歳)108
50~69(歳)108
70以上(歳)87

妊婦の目安量は9g/日です。

 

n─3系脂肪酸の食事摂取基準(g/日)

性 別
年齢
男 性
目安量
女 性
目安量
0~5(月)0.90.9
6~11(月)0.80.8
1~2(歳)0.70.8
3~5(歳)1.31.1
6~7(歳)1.41.3
8~9(歳)1.71.4
10~11(歳)1.71.5
12~14(歳)2.11.8
15~17(歳)2.31.7
18~29(歳)2.01.6
30~49(歳)2.11.6
50~69(歳)2.42.0
70以上(歳)2.21.9

妊婦の目安量は1.8g/日です。

 

 

脂質が不足した場合の影響

  • エネルギーが不足して、疲れやすくなる可能性があります。
  • あぶらに溶けるビタミン(ビタミンA・D・E・K)が吸収されにくくなって、体の調子が悪くなる可能性があります。
  • 通常の食事をとっていれば、不足しにくいと考えられていますが、脂質を極端に少なくするようなダイエットなどをすると、足りなくなる可能性があります。

 

 

脂質を取得できる食物

バター、マーガリン、植物油、肉の脂身などがあります。

 

 

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