ナトリウムは細胞の外の液体(細胞外液)の量を保ち、浸透圧や、酸とアルカリのバランスの調節に重要な役割を担っています。ナトリウムが不足すると、倦怠感や疲労感が出ることがあり、低ナトリウム血症になる場合もあります。
この記事では厚生労働省の日本人の食事摂取基準(2025年版)などをもとに、ナトリウム(食塩)の不足で起こることと、生活習慣病との関係をまとめます。
ふつうの食事では不足しない
腎臓の機能が正常であれば、腎臓でナトリウムが再び吸収されることで体のナトリウムの量は保たれ、ナトリウムが欠乏することはありません。
ナトリウムの推定平均必要量(成人で1日600mg、食塩相当量で1.5g)は、尿や便、汗などから避けられずに失われるナトリウムを補う量です。ふつうの食事で日本人の食塩摂取量が1日1.5gを下回ることはなく、日本人の食塩摂取量の中央値は1日10.1gです。
ナトリウムの摂取基準についてはナトリウム(食塩)の働きと1日の摂取量は?食塩相当量の目標量と高血圧・胃がんとの関係を確認してください。
ナトリウムが不足すると起こること
ナトリウムが不足すると、倦怠感や疲労感が出ることがあります。血液中のナトリウムが少なくなる低ナトリウム血症になる場合もあり、急に減ったときには昏睡状態に陥ることもあります。
低ナトリウム血症の原因と症状
MSDマニュアル家庭版によると、低ナトリウム血症は、食事の塩分が少ないときだけでなく、次のような原因でも起こります。
- 水分の摂りすぎ(一部の精神の病気に伴って水を多く飲む場合を含む)
- 利尿薬(特にサイアザイド系)。薬が原因の場合でいちばん多い
- 抗うつ薬や抗精神病薬など、尿を出にくくするホルモン(バソプレシン)の働きを強める薬
- 腎臓の病気、心不全、肝硬変、甲状腺機能低下症、嘔吐や下痢
初めのうちは、ぼんやりする、頭が混乱する、吐き気、ふらついて転ぶなどの症状が出ます。重くなると、筋肉のけいれんや発作が起こり、意識がなくなることもあります。高齢者はナトリウム濃度が下がりやすく、利尿薬の影響も受けやすいとされています。
治療では、ナトリウム濃度を急に上げると脳に重い障害が残ることがあるため、医師が時間をかけてゆっくり補正します。利尿薬などを飲んでいて気になる症状がある人は、自分で塩を多く摂るのではなく、医師に相談してください。
熱中症と塩分の補給
暑い時期には汗とともにナトリウムも失われます。熱中症を防ぐため、のどが渇いていなくてもこまめに水分と塩分を補うことが勧められています。病気で水分や塩分の量を指示されている人は、かかりつけ医の指示に従ってください。
環境省の熱中症環境保健マニュアルでは、汗をたくさんかいたときに水だけを飲んでいると、血液中の塩分が薄くなり、塩分が足りないことによる症状が出ることがあるとしています。大量に汗をかいたときは、スポーツ飲料など、塩分の濃さが0.1~0.2%程度の飲み物が勧められています。ふだんの水分補給の量や飲み物の選び方は1日に必要な水分量はどれくらい?で説明しています。
高齢者の減塩
高齢者では塩を減らしすぎたり味付けを極端に変えたりすると、食事の量が減って低栄養になる場合があります。
減塩でどのくらい血圧が下がるかや、食塩を減らす工夫は1日の食塩(塩分)は何gまで?で説明しています。
生活習慣病との関係
ナトリウムは不足より摂りすぎのほうが問題になります。食塩の摂りすぎは高血圧や慢性腎臓病、胃がんのリスクに関わっているとされ、生活習慣病の予防のために成人の目標量(食塩相当量で男性1日7.5g未満、女性1日6.5g未満)が決められています。
食塩の摂りすぎについては塩分(ナトリウム)の摂りすぎで起こること|高血圧・胃がんと食塩の目標量を確認してください。
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