ナトリウム(sodium)は原子番号11、元素記号Naのアルカリ金属元素で、多量ミネラルに分類されます。体の維持に必要な必須ミネラルです。私たちはナトリウムの多くを、食塩(塩化ナトリウム)として摂っています。そのため、ナトリウムの摂取量は「食塩相当量」で表すことが多くなっています。なお、よく使われる「塩分」という言葉は、食塩や食塩相当量と同じ意味ではないので注意が必要です。
ナトリウムの機能・役割
ナトリウムは細胞の外の液体(細胞外液)に多い陽イオン(Na+)で、細胞外液の量を保っています。また、浸透圧や、酸とアルカリのバランスの調節に重要な役割を担っています。そのほか、胆汁、膵液、腸液などの成分でもあります。
ナトリウムの効果についてはナトリウムの効果効能と不足欠乏の症状をご覧ください。
ナトリウムの食事摂取基準


ナトリウムの食事摂取基準は以下の通りです。数値は厚生労働省の日本人の食事摂取基準(2025年版)に基づいています(2025年度から2029年度まで使用)。
推定平均必要量(成人600mg/日、食塩相当量1.5g/日)は、尿や便、汗などから避けられずに失われるナトリウムを補う量として決められています。ただし、通常の食事で日本人の食塩摂取量が1.5g/日を下回ることはないため、この値は参考として示されたもので、推奨量は決められていません。
実際に大切なのは、摂りすぎを防ぐための「目標量」です。高血圧の予防や治療には食塩6g/日未満が望ましいとされ、世界保健機関(WHO)は成人に5g/日未満を強く勧めています。一方、日本人の食塩摂取量の中央値は10.1g/日で、すぐに5g/日未満にするのは難しいことから、5g/日と現在の摂取量の中間の値が目標量とされています(成人男性7.5g/日未満、成人女性6.5g/日未満)。
ナトリウムの食事摂取基準(mg/日、( )は食塩相当量[g/日])
| 年齢等 | 男性 | 女性 | ||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 推定平均必要量 | 目安量 | 目標量 | 推定平均必要量 | 目安量 | 目標量 | |
| 0~5(月) | ─ | 100(0.3) | ─ | ─ | 100(0.3) | ─ |
| 6~11(月) | ─ | 600(1.5) | ─ | ─ | 600(1.5) | ─ |
| 1~2(歳) | ─ | ─ | (3.0未満) | ─ | ─ | (2.5未満) |
| 3~5(歳) | ─ | ─ | (3.5未満) | ─ | ─ | (3.5未満) |
| 6~7(歳) | ─ | ─ | (4.5未満) | ─ | ─ | (4.5未満) |
| 8~9(歳) | ─ | ─ | (5.0未満) | ─ | ─ | (5.0未満) |
| 10~11(歳) | ─ | ─ | (6.0未満) | ─ | ─ | (6.0未満) |
| 12~14(歳) | ─ | ─ | (7.0未満) | ─ | ─ | (6.5未満) |
| 15~17(歳) | ─ | ─ | (7.5未満) | ─ | ─ | (6.5未満) |
| 18~29(歳) | 600(1.5) | ─ | (7.5未満) | 600(1.5) | ─ | (6.5未満) |
| 30~49(歳) | 600(1.5) | ─ | (7.5未満) | 600(1.5) | ─ | (6.5未満) |
| 50~64(歳) | 600(1.5) | ─ | (7.5未満) | 600(1.5) | ─ | (6.5未満) |
| 65~74(歳) | 600(1.5) | ─ | (7.5未満) | 600(1.5) | ─ | (6.5未満) |
| 75以上(歳) | 600(1.5) | ─ | (7.5未満) | 600(1.5) | ─ | (6.5未満) |
| 妊婦 | 600(1.5) | ─ | (6.5未満) | |||
| 授乳婦 | 600(1.5) | ─ | (6.5未満) | |||
※高血圧及び慢性腎臓病(CKD)の重症化予防のための食塩相当量は、男女とも6.0g/日未満とされています。
※食塩相当量(g)=ナトリウム(g)×2.54で計算します。
ナトリウムを摂取できる食物
食塩、しょうゆなどに含まれます。
しょうゆやみそなどの調味料のほか、漬け物、魚の干物や塩蔵品、練り製品、ハムやソーセージ、パンや即席めんなど、つくるときに食塩を加える食品にも含まれます。文部科学省の日本食品標準成分表(八訂)増補2023年で、主な食品の100g当たりの食塩相当量を比べると次のとおりです。
| 食品(可食部100g当たり) | 食塩相当量(g) |
|---|---|
| 食塩 | 99.5 |
| 梅干し(塩漬) | 18.2 |
| 塩昆布 | 18.0 |
| うすくちしょうゆ | 16.0 |
| こいくちしょうゆ | 14.5 |
| 米みそ(淡色辛みそ) | 12.4 |
| カレールウ | 10.6 |
| ウスターソース | 8.5 |
| こいくちしょうゆ(減塩) | 8.3 |
| しらす干し(半乾燥品) | 6.6 |
| 即席中華めん(油揚げ味付け) | 6.4 |
| たらこ(生) | 4.6 |
| プロセスチーズ | 2.8 |
| 蒸しかまぼこ | 2.5 |
| ロースハム | 2.3 |
| 塩ざけ | 1.8 |
| 食パン(角形) | 1.2 |
調味料は100g当たりの量なので、実際に使う量に合わせて考えます。減塩のこいくちしょうゆは100g当たり8.3gで、ふつうのこいくちしょうゆ(14.5g)の6割ほどです。食品ごとのナトリウムと食塩相当量はナトリウム(塩分)が多い食品ランキングで調べられます。
食塩をどの食品から摂っているか
厚生労働省の「健康的で持続可能な食環境戦略イニシアチブ」のページでは、日本人が摂っている食塩の約7割は調味料からで、なかでもしょうゆ、みそ、塩が多くを占めると説明されています。
どの食品から摂るかは年代によって違いがあります。調味料からの摂取量は若い人より高齢の人で多い傾向があり、高齢の人は漬け物、若い人はインスタントラーメンやカレールウなどの加工食品から多く摂っているようです。
栄養成分表示で食塩相当量を確かめる
消費者庁によると、加工食品の栄養成分表示では、エネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物とともにナトリウムの表示が義務付けられており、ナトリウムは食塩相当量で表示されています。表示を見れば、その食品を食べたときにどれくらいの食塩を摂ることになるかが分かります。
ナトリウムの量しか書かれていない資料などでは、上の式(ナトリウム×2.54)で食塩相当量に直して、目標量と比べてください。減塩で血圧がどれくらい下がるかや、高齢者が減塩するときの注意は1日の食塩(塩分)は何gまで?目標量と減塩で下がる血圧|高血圧と食事で説明しています。
ナトリウムが不足した場合の影響
ナトリウムが不足すると、倦怠感や疲労感が出ることがあります。低ナトリウム血症になる場合もあり、急激に減ったときには昏睡状態に陥ることもあります。ただし、腎臓が正常に働いていればナトリウムの量は保たれるため、通常の食事で不足することはほとんどありません。
ナトリウムの不足・欠乏については以下をご覧ください。
ナトリウムの過剰摂取
ナトリウムを摂りすぎると、のどの渇き、高血圧、むくみなどの症状が出ることがあります。急性の症状としては高ナトリウム血症があります。
食塩の摂りすぎは高血圧を通じて慢性腎臓病の発症や悪化に関わっている可能性が示されています。また、塩漬けの食品や食塩は胃がんのリスクを高める可能性が高いとされ、日本人を対象とした研究でも、食塩の摂取量が多いほど胃がんのリスクが高まると報告されています。食塩の摂取量が多い人は、脳卒中や心臓の病気のリスクが高まる可能性があることも報告されています。
ナトリウムの過剰摂取についてはナトリウム過剰摂取による副作用(過剰症)を確認してください。
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