鉄(鉄分)の過剰摂取による病気・過剰症

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鉄の過剰症は通常の食品において過剰摂取が生じる可能性はありません。サプリメント、鉄強化食品や貧血治療用の鉄製剤の不適切に利用した場合に鉄が過剰に摂取される可能性があります。鉄の過剰症になる可能性が低い理由は体内にある貯蔵する鉄(フェリチン)があるためです。鉄の過剰症は鉄が血中の鉄を運ぶタンパク質であるトランスフェリンより鉄が増えた時に起こります。

 

鉄の摂取基準については鉄(鉄分)の機能・役割と食事摂取基準を確認してください。

 

鉄過剰症

鉄が過剰に体に取り込まれることによって発症します。特有の自覚症状は無く、進行すると肝障害や心不全などの臓器障害を引き起こす危険性があります。細かくは、肝臓や脾臓に鉄が滞留する血鉄症と肝臓、膵臓、皮膚に貯蔵鉄が沈着するヘモクロマトーシスに分けられます。なお、鉄過剰症は血液が凝固するときにみられる血清フェリチンの値が1,000ng/mL以上で肝機能、臓器障害が診断が可能になります。

 

鉄過剰の症状と経過

鉄過剰摂取による主な症状としては嘔吐、吐血、腹痛、下痢、刺激、眠気、痙攣発作、意識消失などがあります。鉄分過剰摂取後の6時間以内に発症します。また、発症する症状は第1期から重度な症状を引き起こす第5期まであります。発症するまでに掛かる期間が長ければ長いほど症状が重度になる特性があります。

 

鉄過剰症に関連する症状と病気

比較的軽度な症状として前述した嘔吐、腹痛、下痢、刺激、眠気などがあります。疲労、肝細胞機能障害、皮膚色素沈着などの症状がみられることもあります。その他に以下の病気があります。

  • 肝炎
  • 肝硬変
  • 肝臓がん
  • 糖尿病
  • 膵臓癌
  • 心不全
  • 心肥大
  • 不整脈
  • 鉄沈着症

なお、細かく分類した場合、肝臓や脾臓に鉄が滞留する血鉄症と肝臓、膵臓、皮膚に貯蔵鉄が沈着する血色素症(ヘモクロマトーシス)に分けられます。また、鉄過剰症は鉄が実質細胞に沈着して臓器障害をきたしたヘモクロマトーシスと臓器障害をきたしていないヘモジデローシスに分けられることもあります。その他に原発性と続発性に分けている場合が多くあります。

 

血鉄症

ヘモジデリン沈着症とも呼ばれ、貯臓鉄の一種のヘモジデリンと呼ばれる血鉄素が組織内に異常沈着した状態をいいます。

 

血色素症(ヘモクロマトーシス)

数年から十数年で蓄積されてから出る症状で、過剰な鉄は体のいろいろな部分に蓄積され、皮膚の色素沈着などをおこします。また、血管を始め、脳・肝臓・すい臓など色々な臓器にダメージを与えます。そのため、その状態が長期間続くと、血管の劣化して切れやすくなる血管疾患、肝硬変、糖尿病につながるリスクも高くなります。

 

臓器障害

鉄剤やサプリメントを摂ってすぐに起こる過剰症の症状としては、吐き気・嘔吐・下痢・腸の損傷等の胃腸障害があります。鉄分を過剰に摂取した際にすぐに下痢、吐き気、食欲不振、嘔吐などの症状が現れます。これらの症状が3ヶ月以上続くようだと胃腸症という病気になる可能性があります。

鉄の過剰摂取によって体内に蓄積した鉄は酸化促進剤として作用し、組織や器官に炎症をもたらし、肝臓がんや心臓血管系疾患のリスクを高める可能性もあります。特に、赤身肉からのヘム鉄の過剰摂取がメタボリックシンドロームや心臓血管系疾患のリスクを上昇させるという報告もあります。

 

鉄沈着症

鉄の長期摂取による慢性的な症状に鉄沈着症があります。鉄を大量に含むビールの常習的な飲用や鉄鍋からの鉄の混入によって生ずるバンツー鉄沈着症は、1日当たりの鉄摂取量がおよそ100mgを超えた場合に発生すると推定されています。

 

活性酸素による障害

鉄分の過剰は活性酸素の発生を促進します。これにより、動脈硬化、高血圧、心疾患、糖尿病などの発症の要因となったり、老化を亢進するといわれています。

 

その他

小児における鉄の過剰摂取では便秘や胃腸症状などの健康障害の有意だという報告があります。

 

 

鉄の不足・欠乏については以下をご覧ください。

鉄(鉄分)の不足と生活習慣病や病気

鉄(鉄分)の効果-効能と不足-欠乏の症状

 

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