鉄(iron)は原子番号26、元素記号Feの遷移金属元素の一つです。微量ミネラルに分類されます。食品中の鉄の主な形態はたんぱく質と結合したヘム鉄と無機鉄である非ヘム鉄に分けられています。
鉄の機能・役割
鉄を構成要素に含むヘモグロビンは酸素を肺から体内へ運ぶという働きをしています。このため、鉄は酸素の運搬や細胞呼吸において重要な役割を持っています。また、体内には鉄を貯蔵する機能があります。体内で鉄が不足した場合、この貯蔵された鉄が使用されます。鉄はヘモグロビンだけでなく各種酵素を構成しています。このため鉄(鉄分)の欠乏は貧血や運動機能、認知機能などが低下する可能性があります。また、月経血による鉄の損失と妊娠中の鉄の需要増大が大きく、これに該当する女性にとって必要な鉄の量多く、欠乏した場合の体に及ぼす影響は大きいと考えられています。
鉄の効果については鉄(鉄分)の効果-効能と不足-欠乏の症状をご覧ください。
鉄の食事摂取基準
鉄の食事摂取量は以下の通りです。
鉄の食事摂取基準(mg/日)(男性)
年齢等 | 推定平均必要量 | 推奨量 | 目安量 | 耐容上限量 |
---|---|---|---|---|
0~5(月) | ─ | ─ | 0.5 | ─ |
6~11(月) | 3.5 | 5.0 | ─ | ─ |
1~2(歳) | 3.0 | 4.5 | ─ | 25 |
3~5(歳) | 4.0 | 5.5 | ─ | 25 |
6~7(歳) | 4.5 | 6.5 | ─ | 30 |
8~9(歳) | 6.0 | 8.0 | ─ | 35 |
10~11(歳) | 7.0 | 10.0 | ─ | 35 |
12~14(歳) | 8.5 | 11.5 | ─ | 50 |
15~17(歳) | 8.0 | 9.5 | ─ | 50 |
18~29(歳) | 6.0 | 7.0 | ─ | 50 |
30~49(歳) | 6.5 | 7.5 | ─ | 55 |
50~69(歳) | 6.0 | 7.5 | ─ | 50 |
70以上(歳) | 6.0 | 7.0 | ─ | 50 |
鉄の食事摂取基準(mg/日)(女性)
年齢等 | 推定平均必要量 (月経なし) | 推奨量 (月経なし) | 推定平均必要量 (月経あり) | 推奨量 (月経あり) | 目安量 | 耐容上限量 |
---|---|---|---|---|---|---|
0~5(月) | ─ | ─ | ─ | ─ | 0.5 | ─ |
6~11(月) | 3.5 | 4.5 | ─ | ─ | ─ | ─ |
1~2(歳) | 3.0 | 4.5 | ─ | ─ | ─ | 20 |
3~5(歳) | 3.5 | 5.0 | ─ | ─ | ─ | 25 |
6~7(歳) | 4.5 | 6.5 | ─ | ─ | ─ | 30 |
8~9(歳) | 6.0 | 8.5 | ─ | ─ | ─ | 35 |
10~11(歳) | 7.0 | 10.0 | 10.0 | 14.0 | ─ | 35 |
12~14(歳) | 7.0 | 10.0 | 10.0 | 14.0 | ─ | 50 |
15~17(歳) | 5.5 | 7.0 | 8.5 | 10.5 | ─ | 40 |
18~29(歳) | 5.0 | 6.0 | 8.5 | 10.5 | ─ | 40 |
30~49(歳) | 5.5 | 6.5 | 9.0 | 10.5 | ─ | 40 |
50~69(歳) | 5.5 | 6.5 | 9.0 | 10.5 | ─ | 40 |
70以上(歳) | 5.0 | 6.0 | ─ | ─ | ─ | 40 |
過多月経(月経出血量が 80 mL/回以上)の人を除外して策定されています。
妊娠期に必要な鉄は基本的鉄損失に加え、胎児の成長に伴う鉄貯蔵、臍帯・胎盤中への鉄貯蔵、循環血液量の増加に伴う赤血球量の増加による鉄需要の増加があり、それぞれ、妊娠の初期、中期、後期によって異なります。このため、妊婦は表の月経なしに以下の付加量を加算して計算してください。
- 初期 : 推定平均必要量 +2.0 推奨量 +2.5
- 中期・後期 : 推定平均必要量 +12.5 推奨量 +15.0
※数値未入力の項目についてはデータがない、またはデータ不足のため未記載となっています。
鉄を取得できる食物
海藻類、貝類、レバー、緑黄色野菜などに含まれます。
鉄が不足した場合の影響
鉄摂取量の減少が病気のリスクになります。特に女性は鉄が不足しやすく貧血になりやすい傾向があります。
鉄の不足・欠乏については以下をご覧ください。
鉄の過剰摂取
鉄の場合、通常の食品において過剰摂取が生じる可能性はありません。だたし、サプリメント、鉄強化食品及び貧血治療用の鉄製剤の不適切な利用に伴って過剰摂取が生じる可能性があります。
鉄の過剰摂取については鉄(鉄分)の過剰摂取による副作用(過剰症)をご覧ください。
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