亜鉛(zinc)は原子番号30、元素記号Znの亜鉛族元素の一つです。微量ミネラルに分類されます。亜鉛は体内に約2,000mg存在し、主に骨格筋、骨、皮膚、肝臓、脳、腎臓などにあります。体の維持に必要な必須ミネラルです。
亜鉛の機能・役割
亜鉛の生理機能はたんぱく質との結合によって発揮され、触媒作用、構造の維持作用、調節作用に大別されます。
触媒作用
亜鉛は体で起こる化学反応に対して触媒として機能する酵素として人体のさまざまな代謝を促進させる働きをしています。人体には3000種類を超える酵素がありますが、亜鉛はそのうちの300種類以上に関わる重要な物質です。
構造の維持作用
細胞分裂、新陳代謝、皮膚や髪の毛の健康維持、性機能の維持、味覚の維持、免疫力の向上など様々な物質の構成成分に亜鉛があります。
調節作用
遺伝情報の転写、ホルモン、代謝の調節に関わります。
また、亜鉛の環境を一定の状態に保ちつづけようとする恒常性を持っています。生体膜を通して物質の輸送する亜鉛トランスポーターによって亜鉛の細胞内外への輸送することができ、亜鉛が結合したメタロチオネインという物質によって貯蔵と維持がされます。
亜鉛が不足・欠乏した場合、皮膚炎や味覚障害、慢性下痢、低アルブミン血症、汎血球減少、免疫機能障害、神経感覚障害、認知機能障害、成長遅延、性腺発育障害などになる可能性があります。
亜鉛の効果については必須ミネラル亜鉛の効果-効能と不足-欠乏の症状ご覧ください。
亜鉛の食事摂取基準
亜鉛の食事摂取量は以下の通りです。
亜鉛の食事摂取基準(mg/日)(男性)
年齢等 | 推定平均必要量 | 推奨量 | 目安量 | 耐容上限量 |
---|---|---|---|---|
0~5(月) | ─ | ─ | 2 | ─ |
6~11(月) | ─ | ─ | 3 | ─ |
1~2(歳) | 3 | 3 | ─ | ─ |
3~5(歳) | 3 | 4 | ─ | ─ |
6~7(歳) | 4 | 5 | ─ | ─ |
8~9(歳) | 5 | 6 | ─ | ─ |
10~11(歳) | 6 | 7 | ─ | ─ |
12~14(歳) | 8 | 9 | ─ | ─ |
15~17(歳) | 9 | 10 | ─ | ─ |
18~29(歳) | 8 | 10 | ─ | 40 |
30~49(歳) | 8 | 10 | ─ | 45 |
50~69(歳) | 8 | 10 | ─ | 45 |
70以上(歳) | 8 | 9 | ─ | 40 |
亜鉛の食事摂取基準(mg/日)(女性)
年齢等 | 推定平均必要量 | 推奨量 | 目安量 | 耐容上限量 |
---|---|---|---|---|
0~5(月) | ─ | ─ | 2 | ─ |
6~11(月) | ─ | ─ | 3 | ─ |
1~2(歳) | 3 | 3 | ─ | ─ |
3~5(歳) | 3 | 4 | ─ | ─ |
6~7(歳) | 4 | 5 | ─ | ─ |
8~9(歳) | 5 | 5 | ─ | ─ |
10~11(歳) | 6 | 7 | ─ | ─ |
12~14(歳) | 7 | 8 | ─ | ─ |
15~17(歳) | 6 | 8 | ─ | ─ |
18~29(歳) | 6 | 8 | ─ | 35 |
30~49(歳) | 6 | 8 | ─ | 35 |
50~69(歳) | 6 | 8 | ─ | 35 |
70以上(歳) | 6 | 7 | ─ | 35 |
妊婦は以下の付加量が必要です。
- 推定平均必要量に+1mg/日
- 目安量に+2mg/日
※数値未入力の項目についてはデータがない、またはデータ不足のため未記載となっています。
亜鉛を取得できる食物
魚介類、肉類、穀類、種実類などに含まれます。
亜鉛が不足した場合の影響
亜鉛は多くの酵素の活性に関与し、主に酵素の構造形成と維持に役立っています。酵素の生理的役割は、免疫機構の補助、創傷治癒、精子形成、味覚感知、胎発生、小児の成長など多岐にわたります。このため、不足すると体のいたるところに病気や症状がでる可能性があります。
亜鉛の不足・欠乏については以下をご覧下ください。
亜鉛の過剰摂取
亜鉛の場合、通常の食品において過剰摂取が生じる可能性はありません。サプリメントや亜鉛強化食品の不適切な利用よって過剰な摂取が生じる可能性があります。
亜鉛の過剰摂取については必須ミネラル亜鉛の過剰摂取による副作用(過剰症)をご覧ください。
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