鉄(鉄分)の不足と生活習慣病や病気

健康辞苑アイコン 鉄(鉄分)

鉄摂取量の減少が生活習慣病の発症リスクに影響を及ぼすという研究結果が多数報告されています。例えば、スペインの若い女性を対象とした研究では鉄欠乏状態でカルシウム摂取量が適正であっても骨吸収が高まって骨の健康に影響があること、また、入院している日本人の心臓疾患患者は予後に貧血の影響をもたらすことも報告されています。ここでは食事や生活習慣に関連する生活習慣病としての貧血とその他の病気についても記載ます。

 

貧血(鉄欠乏性貧血)

貧血は赤血球の中で酸素と結合するヘモグロビンが少なくなり、体内が酸素不足になった状態になり発生します。ヘモグロビンは鉄を構成要素にもつため、不足するとヘモグロビンを生成できず量が少なくなってしまします。つまり、貧血の原因は鉄不足になります。貧血により、鉄を構成要素にもつヘモグロビンの量がすくなくなると体内に酸素が十分にいきわたらず疲労、疲れ、倦怠感といった症状がでる場合があります。その他にも動悸、息切れ、めまい、頭重感、頭痛、胸の痛みなどを感じることがあります。

 

うつ病(またはそれに似た症状)

鉄不足によりヘモグロビンが減少するため貧血の状態になります。その際に脳の中にあるセロトニンといった神経伝達物質も正常には生成されなくなり、鉄が不足した場合にうつ病やそれに似た症状がでる可能性があります。

 

神経過敏

神経伝達物質が正常に働くためには十分な酸素が必要であるため、酸素不足によりイライラ感などをおこす可能性があります。また、脚がむずむずして眠れない、脚がつりやすいといった症状が出る場合もあります。

 

氷食症

氷食症の原因は不明ですが、鉄不足によるヘモグロビンの減少で体温の調節ができなくなり、氷と食べたくなるといった症状が出る場合があります。

 

異食症

異食症は鉄欠乏性貧血の原因で栄養価の無いものを無性に食べたくなる症状がでる可能性があります。氷食症も異食症に含まれます。特に若い女性で妊娠時に軽い症状がみられることがあります。硬いものや、鉛筆、火を通していないジャガイモ、小麦粉を食べるなどの異常行動が多いとされています。脳への酸素供給量の不足により、満腹中枢障害や体温調節障害が起こるためと考えられています。極度の精神的ストレスが原因でセロトニン不足が生じ、感情や欲求が抑制できなくなるのが一因とも言われています。

 

レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)

人間の神経で情報の受け渡しを行うドーパミンという神経伝達物質は鉄分が不足すると分泌量が減り、情報を正しく伝えることができなくなってしまいます。こんのため、中枢神経における鉄分の不足により、脳内の神経伝達が正常に働かなくなるためむずむずとした不快感や痛みなどの不快な異常感覚・身体症状が下肢や腰・背中・腕などにでる可能性があります。脳への情報が誤って伝えられる為、身体の感覚に異常を感じるとされています。

 

摂食障害

貧血により食欲不振などに陥る可能性があります。

 

 

鉄の摂取基準については必須ミネラル鉄(鉄分)の機能・役割と食事摂取基準を確認してください。

鉄の過剰症にについては鉄(鉄分)の過剰摂取による副作用(過剰症)をご覧ください。

 

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