ビタミンB1の不足と生活習慣病・病気

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ビタミンB1は代謝や神経系に必要なビタミンです。ビタミンが不足した場合の病気は主に神経系の病気になります。

 

生活習慣病

発症予防や重症化予防に関連する論文はありませんでした。

 

脚気

ビタミンB1はエネルギー代謝において重要な補酵素となります。このため、ビタミンB1の効果・効能で記載したように、ビタミンB1が不足すると脳や神経伝達物質の合成に支障をきたします。ビタミンB1欠乏 症には、大きく分けて、末梢神経障害と中枢神経障害がありますが、末梢神経障害のことを脚気といい、心不全と末梢神経障害をきたす疾患です。心不全によって下肢のむくみが、神経障害によって下肢のしびれが起き、心臓機能の低下・不全を併発したときは、脚気衝心と呼ばれます。脚気の初期には食欲不振があり、他に全身がだるく、とくに下半身に倦怠感が生まれます。しだいに足のしびれやむくみ、動悸、息切れ、感覚が麻痺するなどの症状があらわれます。さらに進行すると手足に力が入らず寝たきりとなり、そのまま放置すると心不全を起こして死に至ることもあります。脚気かどうかを判断する症状として、膝の下のくぼみを叩いて足が自然に跳ね上がらないという検査方法があります。

 

ニューロパチー

末梢神経の病気を総称してニューロパチーといいます。末梢神経には、筋肉を動かす運動神経のほか、感覚神経、自律神経の3種類があります。ニューロパチーによって末梢神経に起こる症状は多岐にわたります。ビタミンB1の不足で最も代表的な病気は脚気です。ビタミンB1が不足すると脳や神経伝達物質の合成に支障をきたすため、ニューロパチーの症状が出る場合があります。症状としては、倦怠感、手足がしびれる、動悸、息切れ、手足にしびれ、下肢のむくみなどが発生します。

 

ウェルニッケ・コルサコフ症候群

ビタミンB1(チアミン)の不足によっておこるウェルニッケ脳症とその後遺症であるコルサコフ症候群のことをウェルニッケ・コルサコフ症候群といいます。以前は運動の失調を「ウェルニッケ脳症」、精神疾患を「コルサコフ症」と呼んでいましたが、現在では同一の病気だと考えられています。ビタミンB1が不足すると軽度から昏睡までさまざまな程度の意識障害、眼球運動障害、小脳失調を特徴とするウェルニッケ脳症を発症します。眼球運動障害は眼球が全く動かないのが特徴です。細かい眼の振るえ(眼振)も含みます。小脳失調とは小脳の働きが悪くなって立ったり座ったりしたときに体がふらついて倒れてしまったり、手足を思う通りに動かせなくなる症状のことです。ビタミンB1が不足する原因にはアルコール依存症、摂食障害、妊娠悪阻などがあげられます。特に、ビタミンB1の効果・効能でも記載した通り、ビタミンB1はアルコールの代謝にもかかるためアルコールの過剰摂取には注意が必要です。ウェルニッケ脳症は死に至る病気ですが、大量のビタミンB1を投与することで助かります。しかしながら、助かっても約80%にコルサコフ症候群(健忘症候群)と呼ばれる健忘を特徴とする後遺症が残ります。理解力や計算などの能力は比較的保たれますが、記憶力が著しく低下する病気です。病気になる前の記憶が失われたり(逆行性健忘)、新しいことを覚えることができなくなったりします(前向性健忘)。また、重症の場合には記憶力以外の認知機能が低下して認知症と診断されるケースもあります。

 

乳酸アシドーシス

種々の原因によって血中乳酸値が上昇し,著しい代謝性アシドーシス(酸性度が高くなり過ぎた状態)をきたす病態をいいます。ビタミンB1が不足すると、ミトコンドリアの代謝経路が止まることになります。ビタミンB1は乳酸の代謝にも関わるため、不足することで乳酸アシドーシスになる可能性があります。乳酸アシドーシスは、癌にも深く関与しており、癌は乳酸アシドーシスによる酸毒を成長因子にして成長していきます。癌を改善するためには、この乳酸アシドーシスを改善する必要があります。乳酸アシドーシスには腹痛や嘔吐、傾眠、昏睡状態、ショック状態、全身痙攣、クスマル呼吸、過呼吸の症状があります。

 

 

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