ビタミンAは脂溶性ビタミンで、肝臓にたくさん蓄えられます。摂りすぎによる健康障害が報告されているのは、サプリメントを大量に摂った場合や、動物の肝臓(レバー)を大量に食べた場合です。
この記事では厚生労働省の日本人の食事摂取基準(2025年版)や、国立健康・栄養研究所の情報をもとに、ビタミンAを摂りすぎたときに起こることをまとめます。
ビタミンAの耐容上限量
成人の耐容上限量(これ以上摂ると健康障害のリスクが高まる量)は、男女とも1日2,700µgRAE(レチノール活性当量)です。肝臓にビタミンAがたまりすぎて起こる肝臓の障害をもとに決められています。
妊婦・授乳婦の耐容上限量は独自には決められておらず、成人と同じ1日2,700µgRAEを参考にすることが望ましいとされています。
耐容上限量はビタミンA(レチノール)だけに当てはまり、野菜などに含まれるβ-カロテンなどのプロビタミンAは含みません。
子どもの耐容上限量は年齢によって違い、年齢が低いほど低い値です(男女同じ)。
| 年齢 | 耐容上限量(µgRAE/日) |
|---|---|
| 0~5か月 | 600 |
| 6~11か月 | 600 |
| 1~2歳 | 600 |
| 3~5歳 | 700 |
| 6~7歳 | 950 |
| 8~9歳 | 1,200 |
| 10~11歳 | 1,500 |
| 12~14歳 | 2,100 |
| 15~17歳 | 2,600 |
| 18歳以上 | 2,700 |
※日本人の食事摂取基準(2025年版)の値です。プロビタミンAカロテノイドは含みません。
ビタミンAの摂取基準についてはビタミンAの機能・役割と食事摂取基準を確認してください。
ビタミンAを摂りすぎたときの症状
短期間に大量に摂ったとき
大人が短期間に摂りすぎると、吐き気、頭痛、めまい、目のかすみなどが起こります。子どもが大人用のサプリメントを誤って大量に飲んで起こることも多いため、手の届かない所に保管してください。
長期間摂りすぎたとき
長い間摂りすぎると、肝臓の障害、中枢神経への影響、骨や皮膚の変化などが起こります。MSDマニュアル家庭版では、頭痛や発疹、髪が硬くなる・抜ける、唇のひび割れ、皮膚の乾燥、骨や関節の痛みなどが挙げられています。原因の多くはサプリメントの摂りすぎで、ほとんどの人はサプリメントをやめると回復するとされています。乳児では泉門(頭のやわらかい部分)のふくらみや、頭の中の圧力が高くなることがあります。
なお、食事からのビタミンAの摂りすぎが骨密度の低下や骨折のリスクを高めるという報告もありますが、否定的な報告もあり、結果は一致していません。
妊娠中の摂りすぎと胎児の奇形
妊婦がビタミンAを摂りすぎると、胎児に奇形が起こることがあります。妊娠中は、ビタミンAのサプリメントやレバーの食べすぎに注意が必要です。
レバーには、少しの量でも多くのビタミンA(レチノール)が含まれます。日本食品標準成分表(八訂)増補2023年では、100gあたり、鶏レバー(生)が14,000µg、豚レバー(生)が13,000µg、あんこうのきも(生)が8,300µgです。鶏レバーなら20gで2,800µgとなり、成人の耐容上限量(1日2,700µgRAE)を超えます。
MSDマニュアル家庭版によると、重いにきびの治療に使われるイソトレチノインなど、ビタミンAからつくられた薬も、妊娠中に使うと先天異常の原因になります。妊娠中や妊娠を考えている人は、こうした薬やサプリメントを使う前に医師に相談してください。
β-カロテンは摂りすぎてもビタミンA過剰症にならない
β-カロテンなどのプロビタミンAからビタミンAへの変わり方は体の中で厳密に調節されているため、たくさん摂っても過剰症になるほどビタミンAに変わることはありません。ふつうの食事から摂る分には、皮膚が黄色くなる柑皮症を除いて、過剰症は知られていません。
ただし、サプリメントでβ-カロテンを大量に摂った場合には、よくない影響も報告されているため、避けたほうがよいとされています。
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