天然葉酸と合成葉酸の違いは?吸収率とサプリメントの耐容上限量・妊娠前に摂りたい量

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葉酸には、野菜やレバーなどの食品にもともと含まれている葉酸(天然葉酸)と、サプリメントや強化食品に使われる葉酸(合成葉酸)があります。この記事では、2つの葉酸の形の違い、体への取り込まれやすさの違い、サプリメントで摂るときの注意点と、妊娠を計画している人が摂る時期を説明します。

数値と考え方は、厚生労働省の日本人の食事摂取基準(2025年版)の葉酸の項目に基づいています。

 

天然葉酸と合成葉酸の違い

2025年版では、葉酸の働きを持つ化合物をまとめて「葉酸(folate)」と呼びます。これに対して、サプリメントに使われる葉酸は、プテロイルモノグルタミン酸という1つの化合物だけを指し、「葉酸(folic acid)」と呼んで区別しています。

項目 天然葉酸(食品の葉酸) 合成葉酸(サプリメントの葉酸)
英語の呼び方 folate folic acid
主な形 5-メチルテトラヒドロ葉酸などが、グルタミン酸がいくつもつながったポリグルタミン酸型として存在 プテロイルモノグルタミン酸(グルタミン酸が1つ)
含まれるもの レバー、豆類、ほうれん草やブロッコリーなどの緑の野菜、果物 サプリメント、葉酸を加えた強化食品
体への取り込まれやすさ 食品や食べ合わせによって変わり、合成葉酸より低い 高い

2025年版によると、合成葉酸は自然界にはまれにしか存在しません。人が摂る合成葉酸は、サプリメントや強化食品など、ふつうの食品以外のものに限られます。

名前の「ポリ」は「たくさん」、「モノ」は「1つ」という意味で、葉酸につながっているグルタミン酸の数を表しています。

 

体に取り込まれるまでの違い

食品に含まれる天然葉酸は、調理や加工の途中、また食べたあとに胃や小腸の中で、たんぱく質から離れます。離れた葉酸のほとんどは腸の酵素で分解され、グルタミン酸が1つの形(5-メチルテトラヒドロ葉酸)になってから小腸で吸収されます。

一方、サプリメントの合成葉酸は、はじめからグルタミン酸が1つの形をしています。そのため、天然葉酸のように分解される段階を経ずに吸収されます。

 

吸収率はどのくらい違うか

食品の葉酸とサプリメントの葉酸が、同じ働きをする量を比べたグラフ

2025年版によると、ふつうの食品に含まれる葉酸が体で利用される割合は、合成葉酸に比べて低く、研究によって25〜81%と幅があります。日本人を対象にした試験では、合成葉酸を100とした場合、食品の葉酸は50%でした。食品の葉酸の利用率を80%程度とする報告もあり、正確な値を出すのは今も難しいとされています。

旧版の記事では、天然葉酸の吸収率を約50%、合成葉酸を約85%としていました。2025年版で確かめられる値は上のとおりで、85%という数値は報告書では確かめられないため改めました。

吸収のしやすさの違いを分かりやすく表すために、アメリカ・カナダの食事摂取基準では「食事性葉酸当量」という考え方を使っています。

  • 食品に含まれる葉酸1µg = 食事性葉酸当量1µg
  • 食事といっしょに摂るサプリメントの葉酸0.6µg = 食事性葉酸当量1µg
  • 空腹時に摂るサプリメントの葉酸0.5µg = 食事性葉酸当量1µg

つまり、サプリメントの葉酸は、食品の葉酸より少ない量で同じだけの働きをすると考えられています。

 

食事摂取基準ではどちらの葉酸を使っているか

2025年版では、推定平均必要量と推奨量は、ふつうの食品から摂る葉酸(天然葉酸)を対象にしています。成人の推奨量は240µg/日です。一方、耐容上限量(これ以上摂ると健康障害のリスクが高まる量)は、サプリメントなどから摂る葉酸(合成葉酸)を対象にしています。

年齢 耐容上限量(µg/日)
18〜29歳 900
30〜64歳 1,000
65歳以上 900

※サプリメントや強化食品に含まれる葉酸(プテロイルモノグルタミン酸)の量です。男女共通です。

なお、日本食品標準成分表に載っている葉酸の量は、食品の天然葉酸の量を合成葉酸に相当する量に換算して示したものです。食事摂取基準も、この換算した量で数値を示しています。

 

サプリメントで摂るときの注意

2025年版によると、ふつうの食品だけを食べている人で、葉酸の摂りすぎによる健康障害は報告されていません。注意が必要なのは、サプリメントや強化食品で合成葉酸を摂る場合です。

ビタミンB12が不足している人が葉酸を多く摂ると、貧血は改善するため、ビタミンB12の不足に気づきにくくなります。その間に、ビタミンB12の不足による神経の症状が現れたり、悪化したりした例が多く報告されています。サプリメントを使うときは、耐容上限量を超えないようにしてください。

一方、妊娠を計画している女性、妊娠の可能性がある女性、妊娠初期の妊婦には、合成葉酸のサプリメントが勧められています。受胎の前後に葉酸のサプリメントを摂ると、胎児の神経管閉鎖障害(脳や脊髄の発達の異常)のリスクが低くなることが、多くの試験で明らかになっているためです。2025年版では、ふつうの食品以外から、葉酸を1日400µg摂ることが望まれるとしています。

 

妊娠を計画している人はいつから摂るか

国立健康・栄養研究所の「健康食品」の安全性・有効性情報(葉酸)によると、神経管閉鎖障害を防ぐための1日400µgの葉酸は、妊娠の1か月以上前から妊娠3か月までの間に摂ることが望ましいとされています。

サプリメントや強化食品で合成葉酸を十分に摂っていても、食品の葉酸を摂らなくてよいわけではないと、同じページで説明されています。葉酸を多く含む食品は葉酸が多い食品ランキングで確認できます。

サプリメントを使うときは、表示の量を守り、上の耐容上限量を超えないようにしてください。持病のある人や薬を使っている人は、医師・薬剤師に相談してください。

葉酸の働きや年齢ごとの量は葉酸の機能・役割と食事摂取基準を、摂りすぎの注意は葉酸の過剰摂取を確認してください。

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