マンガンの効果効能と不足欠乏の症状

健康辞苑アイコン ミネラル

マンガンは必須ミネラルの1つになります。マンガンは骨の形成、糖質や脂質の代謝に働く酵素や、抗酸化作用のある酵素など多くの種類の酵素の構成成分として体の機能の維持に関係しています。マンガン欠乏症は、骨の異常、成長障害、妊娠障害、生殖能力の低下、生殖腺機能障害、平衡感覚異常、疲れやすくなる、インスリンの合成能力が低下による糖尿病、傷の治癒の遅延などがあります。通常の食生活では不足は起こらないと考えられています。

 

マンガンの摂取基準などはマンガンの機能・役割と食事摂取基準を確認してください。

 

マンガンの効果・効能

代謝の補助

マンガンは糖代謝の酵素のピルビン酸カルボキシラーゼやスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)の構成成分です。脂質代謝では脂肪酸合成やコレステロール合成に促進的に作用します。脂肪酸の合成では補酵素として、ATP、マンガン、ビオチン、パントテン酸などが必要となります。また、マンガンを構成成分にもつマンガンスーパーオキシドジスムターゼはミトコンドリアに含まれます。脂質は体内で脂肪酸となり、脂肪酸はミトコンドリアに運ばれ、b-酸化によってアセチル-CoAに代謝さます。その他、脳内のマンガンの約80%はアストロサイトにあるグルタミンの合成酵素に含まれており、グルタミン酸の代謝に関与しています。このため、マンガンは様々な代謝に大きく関わります。不足した場合、疲れやすくなる可能性があります。

 

酵素の活性化

マンガンはさまざまな代謝に関わる酵素の構成成分であり、それぞれの酵素を活性化する働きがあります。マンガンによって活性化される酵素には、ヒドロラーゼ、キナーゼ、デカルボキシラーゼ、トランスフェラーゼなどがあります。これらの酵素はその活性化にマンガンの2価イオンが働きます。このため、骨の形成や抗酸化作用などの体の機能の維持に必要です。

 

骨の形成

マンガンはカルシウムやリンと同じように骨の形成に重要です。マンガンは骨の成分であるリン酸カルシウムの形成を促進させる働きがあります。また、マンガンはグリコシルトランスフェラーゼという酵素の構成成分であり、骨形成時のプロテオグリカンの合成に重要な酵素です。プロテオグリカンは軟骨において、コラーゲンとともにその主成分を担っています。また、軟骨の細胞を促進させる効果があります。このため、マンガンは骨の形成に必要な成分です。不足した場合、骨の異常や成長障害・発育不全になる可能性があります。

 

造血作用

マンガンは赤血球の合成を助ける働きがあります。医療分野では炭酸マンガンや硫酸マンガンとして造血薬に用いられます。

 

血液凝固作用

マンガンを含む活性酸素を除去するマンガンスーパーオキシドジスムターゼは血液の凝固に関係するプロトロンビンを活性化させます。このため、止血する効果があります。

 

血糖値の調整と代謝

マンガンは正常の糖代謝に重要な働きをしています。このためマンガン不足はグルコース代謝障害、膵の異常、糖尿病につながる可能性があります。

 

尿素の合成

マンガンは尿素の合成に関与している尿素サイクルの中の酵素アルギナーゼを活性化します。活性化されたアルギナーゼはアルギニンを加水分解してオルニチンと尿素を生成します。

 

活性酸素の除去

マンガンは活性酸素を分解するマンガンスーパーオキシドジスムターゼの構成成分です。活性酸素による害を減らすのに効果があります。活性酸素は悪玉コレステロールを酸化させ、血管壁に沈着させて血管を傷つける作用があるため、動脈硬化や心筋梗塞といった生活習慣病を引き起こすのを予防する効果が考えられます。

 

消化を助ける

マンガンは胃液によってイオン化され、膵液や胆汁として消化を助ける働きがあります。また、マンガンの活性化する酵素の1つにプロリダーゼがあります。プロリダーゼはジペプチドであるグリシルプロリンを分解する消化酵素として働きます。このため、マンガンは消化を助ける効果があります。

 

神経機能の維持

マンガンは神経終末のシナプス小胞に含まれ、神経伝達物質の受容体、イオンチャネルを調整する働きがあります。また、マンガンが関与しているグルタミン酸は、神経系の興奮性神経伝達物質として、記憶・学習などの機能に重要な役割を果たしてます。不足した場合、平衡感覚異常などがみられる可能性があります。

 

ホルモン機能の維持

マンガンは甲状腺ホルモンや性ホルモンの合成に関りがあります。このため、不足した場合、全身の代謝異常、妊娠障害、生殖能力の低下、生殖腺機能障害が考えられます。なお、ラットの動物実験において、マンガンが欠乏したラットは不妊になることがわかっています。雄では精巣の変性、雌では授乳が不可能といった症状が確認されています。また、鶏では卵の艀卵率の低下、ヒナの骨の発育の著しい低下が確認されています。

 

色素の維持

マンガンは網膜、結膜色素部、毛髪、皮膚色素沈着部など体内の色素部で高濃度に含まれています。このため、体の色素の維持する効果があります。

 

マンガンの不足・欠乏の症状

次の傾向や病気・症状に心当たりのある方はマンガンが不足している可能性があります。

 

骨の異常・骨格異常・成長障害・骨粗鬆症

骨の発育不良、骨がもろくなる、骨格の変形などの症状がでる可能性があります。

 

血液の異常

血が止まりにくい、血糖値が高くなるなどの症状がでる可能性があります。糖尿病のリスクが高まる可能性があります。

 

生殖障害

妊娠しにくい、性機能低下、発育不良などの症状がでる可能性があります。

 

神経系症状

記憶力の低下、物忘れ、運動失調などの症状がでる可能性があります。

 

 

マンガンの不足時の病気についてはマンガンの不足と生活習慣病と病気を確認してください。

マンガンの過剰摂取についてはマンガンの過剰摂取による副作用(過剰症)を確認してください。

 

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました