必須ミネラル-ヨウ素の過剰摂取による副作用(過剰症)

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日常的にヨウ素を過剰摂取すると甲状腺でのヨウ素の有機化反応が阻害されます。これにより、甲状腺へのヨウ素輸送が低下する脱出現象が起こり、排泄などによる調節で甲状腺ホルモンの生成量が正常範囲に維持されます。日本人の場合、ヨウ素の摂取量が多い傾向にありますが、脱出現象が成立し、ヨウ素過剰摂取の影響を受けにくいと考えられています。しかし、脱出現象が起こっていても、大量にヨウ素を摂取すれば甲状腺ホルモン合成量が低下し、病気になる可能性があります。日本でも海藻の多量摂取による過剰症などの報告があります。ヨウ素過剰による甲状腺ホルモンの合成低下は、ウォルフ・チャイコフ効果と呼ばれます。

ヨウ素の過剰摂取では、甲状腺ホルモン合成を阻害し、甲状腺刺激ホルモンとよばれるTSHによる刺激が増加するため、甲状腺機能低下症、甲状腺腫、甲状腺機能亢進症、甲状腺中毒症、甲状腺の肥大化などになる可能性があります。これらの過剰症になる前の初期症状として、体重減少・頻脈・筋力低下・皮膚熱感・吐き気・疲れやすい・やる気が起きないなどがあります。この他、ヨウ素の過剰摂取は甲状腺炎や甲状腺乳頭がんを引き起こすという研究報告もあります。

 

ウォルフ・チャイコフ効果
甲状腺ホルモンは甲状腺でヨウ素を元に合成されていますが、ヨウ素の過剰な取り込みをすると甲状腺ホルモンの合成を逆に阻害してしまう現象です。このため、過剰摂取しているにもかかわらずヨウ素欠乏症と同様の症状がでることがあります。

 

ヨウ素の摂取基準については必須ミネラル-ヨウ素の機能・役割と食事摂取基準を確認してください。

 

ヨウ素過剰症

ヨウ素中毒

急性ヨウ素中毒の発生は稀ですが、グラム単位の摂取で発生する可能性があります。急性中毒の症状は、口や喉や胃などの灼熱感、発熱、腹痛、悪心、嘔吐、下痢、脈拍微弱、昏睡です。慢性中毒の場合、摂取量が1.1mg/日を超えると発生することがあります。一部の人では甲状腺機能亢進症が発生する可能性があります。最終的に甲状腺腫,甲状腺機能低下症,または粘液水腫が生じます。特に大量のヨウ化物の摂取は、口腔内の金属味,流涎の増加,消化管の刺激、皮膚病変を起こすことがあります。通常、食習慣の改善で治ります。

 

甲状腺中毒症(バセドウ病・甲状腺機能亢進症)

甲状腺中毒症は血中甲状腺ホルモンが高値になることにより、甲状腺ホルモンの作用が過剰に分泌され、生体の様々な部位に異常が発生する病気です。自己免疫疾患の1つで、ヨウ素を構成成分にもつトリヨードサイロニンやサイロキシン、または両方の甲状腺ホルモンの分泌量の活性が過剰になる疾患です。軽度の場合は明らかな症状がないこともありますが、心・循環器系の異常として動悸、頻脈がおこります。神経系では、手指のふるえ、神経質、イライラするなどの症状があります。その他、体重減少、甲状腺腫大、眼球突出(甲状腺眼症)、皮膚の痒み、暑がり、筋力の低下なども起こることがあります。特に、特徴的な症状に食欲があるのに体重が減少する現象があります。甲状腺ホルモンは体にエネルギーの利用を促すホルモンで過剰な代謝が起こるため、アドレナリンが過剰に出た時と似たような症状がでることがあります。

 

甲状腺中毒症と甲状腺機能亢進症について
甲状腺中毒症(主にバセドウ病)は血中甲状腺ホルモン濃度が上昇して、その為に、動悸など甲状腺ホルモン作用が過剰に出現した病態です。一方、甲状腺機能亢進症は甲状腺での甲状腺ホルモンの合成と分泌が亢進した病態をいいます。このため、通常、甲状腺機能亢進症があって甲状腺中毒症がおこります。厳密に言うと甲状腺中毒症と甲状腺機能亢進症は同義ではないので注意してください。ただし、どちらも同じ症状になります。

 

過敏症(ヨード過敏症)

治療薬やうがい液などからヨウ素を摂取してしまうと過剰症を引き起こす可能性があります。ヨウ素に過敏症がある人の皮膚にその消毒薬を塗布した場合、掻痒感、灼熱感、皮膚発赤などの免疫反応を起こします。その他、血管浮腫、皮膚および粘膜出血、発熱、関節痛、リンパ節肥大、好酸球増加、蕁麻疹、紫斑病、動脈周囲炎などの症状がでることもあります。

 

がん(癌)

日本人を対象にした甲状腺がん発症では、閉経後の女性でヨウ素を含む海藻類をほぼ毎日食べるグループは、週2日以下しか食べないグループに比べて甲状腺がん、特に乳頭がん発症リスクが上昇した報告があります。

 

 

ヨウ素の不足・欠乏については以下をご覧ください。

必須ミネラル-ヨウ素の不足と生活習慣病と病気

必須ミネラル-ヨウ素の効果効能と不足欠乏の症状

 

 

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