カリウムの効果・効能と不足欠乏の症状

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カリウムは必須ミネラルになります。体の中では8番目もしくは9番目に多く含まれる元素であり、体重のおよそ0.2%を占めています。カリウムはナトリウムと深い関係にあり、細胞外液に存在するナトリウムとバランスをとりながら、細胞の維持、細胞の浸透圧の維持、酸とアルカリ平衡化、神経伝達、血圧の調整、過剰なナトリウムの抑制と尿として排泄する効果を持っています。健康な人ではカリウム欠乏を起こすことはほどんどありません。カリウム摂取量を増加することによって、血圧低下、脳卒中予防につながることが動物実験などでわかっています。ナトリウムについてはナトリウムの効果と不足の症状を参考にしてください。

 

カリウムの効果・効能

 

細胞の浸透圧調節・機能維持

細胞内にはカリウムが、細胞外にはナトリウムが多く存在してバランスをとっています。浸透圧とは水や溶媒を引っ張る力の強さのことで、水に溶ける溶質の濃度によって決まり、濃度が濃いほど浸透圧は高くなります。細胞の外側と内側には、ナトリウムやカリウムなどの電解質を含む体液とよばれる水分があります。細胞の外側のある体液は細胞外液といい、内側にある体液を細胞内液といいます。細胞外液にはナトリウムが多く含まれて、る細胞内液にはカリウムが多く含まれています。このふたつの成分の濃度バランスを正常に保つことで、細胞の機能は調節されています。ナトリウムとカリウムのどちらかの濃度が濃くなると、濃度を一定にするために細胞膜を通して濃度の薄い方から濃い方へ水分が流れます。カリウムとナトリウムのバランスが崩れてしまうと濃度の高い方に液体が流れ出し、細胞が破裂したり、収縮したりする可能性があります。このため、カリウムは、浸透圧を調整し、細胞を正常に保つ役割があります。

 

酸性とアルカリ性の調節

カリウムは酸塩基平衡の維持に関わります。血液は通常、pH7.4の弱アルカリ性ですが、激しい運動をすると酸性になり、pH7を切ると呼吸困難、pH6.8以下になると死亡に至ります。pH値とは水溶液の酸性・アルカリ性の度合いを示すもので、7が中性、7以上はアルカリ性、7以下は酸性とされます。体液のpH値は7.4(±0.05)の範囲内で一定になるように保たれていて、酸塩基平衡が崩れ酸性側に傾き7.35以下になることをアシドーシス、塩基側に傾き7.45以上になることをアルカローシスといいます。カリウムが不足すると、カリウムイオンのK+が細胞内から細胞外に移行します。すると電気的中性を維持するために水素イオンのH+が細胞外液から細胞内へ移行します。また、遠位尿細管のでは、カリウムの代わりにH+が排泄されやすくなります。その結果、細胞外のH+は減少し、アルカローシスが起こります。酸塩基平衡が崩れると下痢、嘔吐、脱水状態などの症状が現れます。

 

神経伝達

カリウムは脳や神経などにおけるニューロンの情報伝達に重要な役割を果たしてます。五感による情報伝達は神経細胞の細胞膜に存在するイオンポンプを介して、ナトリウムとカリウムが入れ替わるときに生じる電気信号を通して行われます。カリウムはイオンとして主に細胞内に分布しており、その濃度は細胞内液が高濃度に保たれているのに対し、細胞外液の濃度は非常に小さく保たれています。細胞の内外にイオン濃度差が生じることによって、細胞膜上に電気的な勾配を発生させています。細胞内外のイオン濃度のバランスの変化によって細胞外に対する細胞内電位の膜電位が変化し、それによって活動電位が発生し、この活動電位が伝導することで情報が伝達されています。

 

心臓機能の調整・筋肉の機能維持

右心房にある洞房結節から発生する活動電位によって心拍の調節が行われています。このためには適切なカリウムイオン濃度が必要です。カリウムイオンの血中濃度が過剰または不足になった場合、洞房結節の調整に変調を生じさせ、不整脈になる可能性があります。

カリウムは筋肉の収縮や弛緩に関わります。筋肉を収縮させようとすると、ナトリウムは細胞外から細胞内へ、カリウムは細胞内から細胞外へ移動します。この移動により電流が発生し、筋肉細胞が刺激されるシグナルとなり筋肉が収縮します。筋肉が弛緩させようとするときには反対の反応がおこります。ナトリウムとカリウムのバランスが崩れると、筋肉が正常に動かなくなってけいれんを起こす可能性があります。また、不整脈や全身の脱力感といった症状が出る可能性があります。

 

血圧を調整

カリウムの多くは細胞内液に存在し、ナトリウムの多くが血液などの細胞外液に存在します。カリウムとナトリウムはともに、浸透圧を一定に保つ働きがあります。体液のナトリウム濃度が高くなると、濃度を薄めようとして水を取り込んで体液の量が増えるため、血管が圧迫され血圧が上がってしまいます。カリウムにはナトリウムの腎臓での再吸収を抑制して尿中への排出量を増加させることにより血圧を降下させる働きがあります。また、末梢血管を拡張させることによって血圧を下げる働きもあります。

 

むくみ

カリウムとナトリウムはむくみにも関係しています。体の血液を含む砂防外液のナトリウム量が多くなると、濃度が平衡化されるように細胞内の水分が血液中に移動します。血液の水分量が増えることで体にはむくみの症状が現れる場合があります。カリウムには余分なナトリウムを体外に排出する働きがあるため、ナトリウム濃度が下がると余分な水分も排出されてむくみが解消されます。

 

利尿作用

カリウムには利尿効果があり、過剰に摂取したナトリウムと水分を尿として排出します。このため、むくみや高血圧を抑制する効果が期待できます。

 

 

カリウムの不足・欠乏の症状

次の傾向や病気・症状に心当たりのある方はカリウムが不足している可能性があります。

 

低カリウム血症に関連した症状

多尿、高血圧、むくみ、疲労、筋力低下、神経機能の低下、不安、イライラ、抑うつ、睡眠障害、虚弱、食欲不振、便秘、乾燥肌などの症状があります。

 

筋肉に関連した症状

痙攣、不整脈、排尿困難などの症状が出る可能性があります。

 

神経系に関連した症状

無気力、脱力感、手足のしびれ、精神不安定、精神障害、昏睡状態などの症状が出る可能性があります。

 

 

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