マンガンは厳密な菜食などの特定の食事やサプリメントの不適切な利用に伴って過剰摂取が生じる可能性があります。完全静脈栄養によって2.2mg/日のマンガンを23カ月間投与された症例では、血中マンガン濃度の上昇とマンガンの脳蓄積が生じ、パーキンソン病様の症状が確認されています。
マンガンは経口摂取では吸収率も低いことから過剰症の報告例も多くは有りません。一方マンガン鉱山など粉塵による気管からの吸入が多い現場では、多くの過剰症例が報告されています。過剰症にはパーキンソン病に類似の中枢神経障害やマンガン肺炎などが報告されています。
マンガン過剰は食品鉄の吸収を阻害するため、長期にわたる過剰マンガンの吸引は鉄欠乏性貧血を生じることがあります。鉄欠乏性貧血については必須ミネラル鉄(鉄分)の不足と生活習慣病や病気を確認してください。
マンガンの摂取基準については必須ミネラル-マンガンの機能・役割と食事摂取基準を確認してください。
マンガン過剰症
パーキンソン症候群
マンガンの過剰摂取により中毒を起こし、パーキンソン病に似た症状がでる場合があります。パーキンソン症候群は固縮、動作緩慢、歩行障害、突進現象などの点ではパーキンソン病に似ています。パーキンソン病類似の中枢神経障害ではパーキンソン病と同様、中脳の脳黒質、大脳基底核の線状体および淡蒼球におけるドーパミン系異常、伝達物質の減少がみられます。マンガンは神経伝達物質に関与しているため、神経伝達物質の異常によりこのような症状がでると考えられます。
症状は以下のように進行します。
初期症状
無気力・無欲状態、脱力、食欲不振、疲労感などの症状がおこります。
中期症状
精神運動異常、不眠、頭痛、性行動障害、発語障害、表情がなくなる仮面様顔貌、歩行・平衡拙劣化、小人症、筋硬直、下肢けいれん、躯幹・四肢の震えなどの症状がおこります。
後期・末期症状
植物人間、廃疾者になります。
その他の症状として、高血圧、中枢神経の異常、過敏症、暴力行為、幻覚・活動障害、統合性運動失調、腎炎、精巣障害、勃起不全、肝障害、脳障害、精神病、傾眠、浮腫、筋肉痛、頭痛、精神興奮がおこる可能性があります。
マンガンの不足・欠乏については以下をご覧ください。
コメント