マンガン(manganese)は原子番号25、元素記号Mnのマンガン族元素で、微量ミネラルに分類されます。成人の体内には12~20mgのマンガンがあり、体の組織や臓器にほぼ均等に分布しています。体の維持に必要な必須ミネラルです。
マンガンの機能・役割
マンガンの主な働きは酵素の働きを助けることです。抗酸化作用のあるマンガンスーパーオキシドジスムターゼなどの酵素の成分になり、アルギナーゼなどの酵素を活性化して、骨や糖、脂質、皮膚の代謝、運動機能、内耳の発育、生殖能、成長や脳の働きに関わっています。マンガンは特にミトコンドリアの中に多く、そのほか網膜、毛髪、皮膚の色素沈着部など、体の色素のある部分に高い濃度で含まれます。このように、マンガンは酸化還元酵素、加水分解酵素、脱水素酵素、転移酵素など多くの酵素の働きに影響しており、体の機能を保つために必要なミネラルです。
マンガンの効果については必須ミネラル-マンガンの効果効能と不足欠乏の症状をご覧ください。
マンガンの食事摂取基準

マンガンの食事摂取基準は以下の通りです。数値は厚生労働省の日本人の食事摂取基準(2025年版)に基づいています(2025年度から2029年度まで使用)。
マンガンが不足して健康障害が起きたという報告は見当たらず、現在の日本人のマンガンの摂取に問題はないと判断されています。そのため、日本人の摂取量をもとに目安量が決められています(成人男性3.5mg/日、成人女性3.0mg/日)。日本人は穀物など植物性の食品を多く食べるため、マンガンの摂取量はアメリカ人よりかなり多く、体格の差を考えると、摂取量が目安量の半分程度でも問題はないと考えられています。
マンガンの食事摂取基準(mg/日)
| 年齢等 | 男性 | 女性 | ||
|---|---|---|---|---|
| 目安量 | 耐容上限量 | 目安量 | 耐容上限量 | |
| 0~5(月) | 0.01 | ─ | 0.01 | ─ |
| 6~11(月) | 0.5 | ─ | 0.5 | ─ |
| 1~2(歳) | 1.5 | ─ | 1.5 | ─ |
| 3~5(歳) | 2.0 | ─ | 2.0 | ─ |
| 6~7(歳) | 2.0 | ─ | 2.0 | ─ |
| 8~9(歳) | 2.5 | ─ | 2.5 | ─ |
| 10~11(歳) | 3.0 | ─ | 3.0 | ─ |
| 12~14(歳) | 3.5 | ─ | 3.0 | ─ |
| 15~17(歳) | 3.5 | ─ | 3.0 | ─ |
| 18~29(歳) | 3.5 | 11 | 3.0 | 11 |
| 30~49(歳) | 3.5 | 11 | 3.0 | 11 |
| 50~64(歳) | 3.5 | 11 | 3.0 | 11 |
| 65~74(歳) | 3.5 | 11 | 3.0 | 11 |
| 75以上(歳) | 3.5 | 11 | 3.0 | 11 |
| 妊婦 | 3.0 | ─ | ||
| 授乳婦 | 3.0 | ─ | ||
妊娠中の血液中のマンガン濃度が低すぎても高すぎても、生まれる子どもの体重や神経の発達に影響する可能性が示されています。妊娠中はマンガンの摂取が極端にならないよう注意が必要です。
マンガンを摂取できる食物
穀類、豆類、種実類、小魚などに含まれます。
マンガンを多く含む食品と吸収のされ方
文部科学省の日本食品標準成分表(八訂)増補2023年で、主な食品のマンガンの量(可食部100g当たり)を見ると次のとおりです。
| 食品 | マンガン(mg/100g) |
|---|---|
| あおのり(素干し) | 13.00 |
| くるみ(いり) | 3.44 |
| えごま(乾) | 3.09 |
| しじみ(生) | 2.78 |
| アーモンド(乾) | 2.45 |
| ごま(乾) | 2.24 |
| 糸引き納豆 | 1.39 |
| 玄米ごはん | 1.04 |
| 大豆(国産、ゆで) | 1.01 |
| 精白米ごはん(うるち米) | 0.35 |
| せん茶(浸出液) | 0.31 |
国立健康・栄養研究所のHFNetによると、食事から摂ったマンガンが吸収される割合は0.5~3%と低く、吸収されたマンガンも胆汁とともに腸へ出され、ほとんどが便として排泄されます。マンガンの吸収は鉄と競い合うので、食事に鉄が多いとマンガンは吸収されにくいという関係もあります。マンガンを多く含む食品はマンガンが多い食品ランキングで調べられます。
マンガンが不足した場合の影響
通常の食生活でマンガンが不足することはないと考えられています。マンガンが不足すると、骨の異常、成長障害、妊娠障害などが起こる可能性があります。
マンガンの不足・欠乏については以下をご覧ください。
マンガンの過剰摂取
マンガンを摂りすぎると、パーキンソン病に似た症状など、神経の障害が起こる可能性があります。マンガンは穀物や豆類などの植物性食品に多く含まれるため、厳しい菜食など偏った食べ方をすると摂りすぎになる可能性があり、日本の菜食の人でも1日10mg近くを摂っている可能性があるとされています。
成人の耐容上限量(これ以上摂ると健康障害のリスクが高まる量)は、男女とも11mg/日です。小児・乳児、妊婦、授乳婦の耐容上限量は設定されていませんが、妊娠後期に血液中のマンガン濃度が高いと低出生体重児の割合が高いという報告があり、妊娠中はマンガンを摂りすぎないよう注意すべきとされています。
マンガンの過剰摂取については必須ミネラル-マンガンの過剰摂取による副作用(過剰症)をご覧ください。
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