モリブデン(molybdenum)は原子番号42、元素記号Moのクロム族元素で、微量ミネラルに分類されます。モリブデンは骨、皮膚、肝臓、腎臓に多くあります。体の維持に必要な必須ミネラルです。
モリブデンの機能・役割

モリブデンは複数の酵素の成分になっています。特にキサンチンオキシダーゼ、アルデヒドオキシダーゼ、亜硫酸オキシダーゼが知られており、尿酸の合成や物質の代謝に関わっています。
キサンチンオキシダーゼ
キサンチンオキシダーゼは、プリン体が分解されて尿酸がつくられるときに働く酵素です。
アルデヒドオキシダーゼ
アルデヒドオキシダーゼは、アルデヒドをカルボン酸に変える働きがあります。
亜硫酸オキシダーゼ
亜硫酸オキシダーゼはミトコンドリアにある酵素で、毒性のある亜硫酸イオンを毒性の低い硫酸イオンに変える解毒の働きがあります。
モリブデンの効果についてはモリブデンの効果効能と不足欠乏の症状をご覧ください。
モリブデンの食事摂取基準

モリブデンの食事摂取基準は以下の通りです。数値は厚生労働省の日本人の食事摂取基準(2025年版)に基づいています(2025年度から2029年度まで使用)。
モリブデンは穀類や豆類に多く含まれるため、穀物や豆類をよく食べる日本人の摂取量は欧米人より多く、平均で1日225µgとされています。通常の日本人の食生活であれば推奨量の10倍近くを摂っていることになり、献立を考えるときにモリブデンを気にする必要は事実上ないとされています。
モリブデンの食事摂取基準(µg/日)
| 年齢等 | 男性 | 女性 | ||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 推定平均必要量 | 推奨量 | 目安量 | 耐容上限量 | 推定平均必要量 | 推奨量 | 目安量 | 耐容上限量 | |
| 0~5(月) | ─ | ─ | 2.5 | ─ | ─ | ─ | 2.5 | ─ |
| 6~11(月) | ─ | ─ | 3.0 | ─ | ─ | ─ | 3.0 | ─ |
| 1~2(歳) | 10 | 10 | ─ | ─ | 10 | 10 | ─ | ─ |
| 3~5(歳) | 10 | 10 | ─ | ─ | 10 | 10 | ─ | ─ |
| 6~7(歳) | 10 | 15 | ─ | ─ | 10 | 15 | ─ | ─ |
| 8~9(歳) | 15 | 20 | ─ | ─ | 15 | 15 | ─ | ─ |
| 10~11(歳) | 15 | 20 | ─ | ─ | 15 | 20 | ─ | ─ |
| 12~14(歳) | 20 | 25 | ─ | ─ | 20 | 25 | ─ | ─ |
| 15~17(歳) | 25 | 30 | ─ | ─ | 20 | 25 | ─ | ─ |
| 18~29(歳) | 20 | 30 | ─ | 600 | 20 | 25 | ─ | 500 |
| 30~49(歳) | 25 | 30 | ─ | 600 | 20 | 25 | ─ | 500 |
| 50~64(歳) | 25 | 30 | ─ | 600 | 20 | 25 | ─ | 500 |
| 65~74(歳) | 20 | 30 | ─ | 600 | 20 | 25 | ─ | 500 |
| 75以上(歳) | 20 | 25 | ─ | 600 | 20 | 25 | ─ | 500 |
| 妊婦(付加量) | +0 | +0 | ─ | ─ | ||||
| 授乳婦(付加量) | +2.5 | +3.5 | ─ | ─ | ||||
モリブデンを摂取できる食物
豆類、穀類、レバーに多く含まれます。
文部科学省の日本食品標準成分表(八訂)増補2023年で、主な食品のモリブデンの量(可食部100g当たり)を見ると次のとおりです。大豆やあずきなどの豆類と、その加工品、レバーで値が大きくなっています。
| 食品 | モリブデン(µg/100g) |
|---|---|
| 黒大豆(国産、乾) | 570 |
| きな粉(黄大豆、全粒大豆) | 380 |
| 黄大豆(国産、乾) | 350 |
| 糸引き納豆 | 290 |
| えだまめ(生) | 240 |
| あずき(全粒、乾) | 210 |
| そらまめ(未熟豆、生) | 150 |
| 豚レバー(生) | 120 |
| 牛レバー(生) | 94 |
| 鶏レバー(生) | 82 |
| 木綿豆腐 | 44 |
| 玄米ごはん | 34 |
| 精白米ごはん | 30 |
| そば(ゆで) | 11 |
| 普通牛乳 | 4 |
1回に食べる量で比べると、国立健康・栄養研究所のHFNetでは、納豆40gで116µg、木綿豆腐150gで66µg、精白米ごはん150gで45µg、豚レバー40gで48µgとされています。納豆1パックや茶わん1杯のごはんだけで、成人の推奨量(25~30µg/日)を超える量になります。
HFNetによると、モリブデンは胃や小腸で吸収されやすく、食品に含まれるモリブデンのうち体で利用される割合は約75%と見積もられています。モリブデンを含む食品はモリブデンが多い食品ランキングで調べられます。
モリブデンが不足した場合の影響
モリブデンは通常の食生活で不足することはほとんどありません。長期間にわたって点滴だけで栄養をとる(完全静脈栄養)などで不足した場合、頻脈、頻呼吸、神経過敏、昏睡などの症状が出た例が報告されています(モリブデンが不足した報告はこの1例だけです)。
モリブデンの不足・欠乏については以下をご覧ください。
モリブデンの過剰摂取
モリブデンは穀類や豆類に多く含まれるため、大豆製品をたくさん使う献立では1日300µgを超えることもあります。厳しい菜食をしている日本人女性の献立を調べた研究では、平均で1日540µgを摂っていましたが、健康障害は見られませんでした。
食事からモリブデンを多く摂っていた人に高尿酸血症や痛風のような症状が見られたという報告がありますが、これにモリブデンが関わっているかは疑わしいとされています。成人の耐容上限量(これ以上摂ると健康障害のリスクが高まる量)は、男性600µg/日、女性500µg/日です。
モリブデンの過剰摂取についてはモリブデンの過剰摂取による副作用(過剰症)を確認してください。
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