クロムの場合、通常の食品において過剰摂取が生じることはほぼありません。ただし、サプリメントの不適切な使用が過剰摂取を招く可能性はあります。通常クロムサプリメントには3価クロム化合物が用いられていますが、クロムサプリメントの健康障害に関する報告はあまりありません。長期間の過剰摂取では、嘔吐、下痢、腹痛、下痢、腎尿細管障害、肝障害、造血障害、中枢神経障害が起こる可能性があります。6価クロムを過剰に摂取すると、腎臓、脾臓、肝臓、肺、骨に蓄積し毒性をもちます。しかし、6価クロムは人為的に産出されるものであり、自然界にはほとんど存在しません。
クロムの摂取基準については必須ミネラル-クロムの機能・役割と食事摂取基準を確認してください
クロムの過剰症
3価クロム
3価クロムは通常の食品やサプリメントで摂取できるクロムです。3価クロムを過剰摂取した副作用に関する報告はほどんどありません。動物実験の研究では、血清生化学検査においては,100µg/gのクロムをピコリン酸クロムの形態で与えたグループにおいて肝機能障害を起こす可能性があるとしています。ただし、光学顕微鏡による肝臓組織の観察で異常はありませんでした。これはクロムの吸収率が低いことが要因であると考えられます。その他、造血障害、中枢神経障害などの報告がありますが、他の成分が要因の可能性もあります。3価クロム過剰症については研究データが不十分です。
6価クロム
6価クロムは人工的につくられた物質で酸化力が強く、人体に有害です。食品として摂取することはありません。6価クロムは、工場などの産業現場で扱われており、6価クロムが体内に入ると呼吸障害を起こすことがあります。3価クロムよりも吸収率が高く、発がん性もあるため、6価クロムの取り扱いには注意が必要です。6価クロムを扱う職業についている方の健康問題や、産業保健上の問題となることがあります。6価クロムを過剰に摂取すると、腎臓、脾臓、肝臓、肺、骨に蓄積し、皮膚炎、腫瘍、肺がんになる場合があります。
クロムの不足・欠乏については以下をご覧ください。
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