カルシウムの効果とは?骨や歯をつくる働きと骨折・高血圧・妊娠高血圧腎症の研究、サプリメントの注意

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カルシウムは体の中に最も多くあるミネラルで、体重の1~2%を占めています。そのうち99%は骨と歯にあり、残りの1%は血液などの中で、血液を固める働きや心臓の働き、筋肉の収縮などに関わっています。

この記事では、カルシウムについて言われてきた効果と、現在わかっていることを、厚生労働省の日本人の食事摂取基準(2025年版)と、国立健康・栄養研究所の「健康食品」の安全性・有効性情報(カルシウム)をもとに整理します。

カルシウムの摂取基準はカルシウムの機能・役割と食事摂取基準を確認してください。

 

カルシウムの効果・効能

カルシウムについて言われてきた効果ごとに、研究で分かっていることをまとめた表

骨や歯をつくる

カルシウムは骨や歯の主な成分です。カルシウムの摂取量と骨量・骨密度の間には、多くの研究で関連が認められており、骨量を保つには十分なカルシウムが必要です。栄養機能食品では「カルシウムは、骨や歯の形成に必要な栄養素です。」と表示することが認められています。

神経・筋肉・血液の働きを調節する

カルシウムは、神経や筋肉の興奮、筋肉の収縮、血液を固める働き、ホルモンや神経伝達物質を出す働きなど、生きていくうえで大切な体の働きを調節しています。そのため血液中のカルシウムの濃度は、ビタミンDやホルモンによって一定に保たれています。カルシウムが足りず血液中の濃度が下がると、骨からカルシウムが溶け出して補われます。

旧版の記事では、カルシウムに神経の興奮をおさえてイライラを解消する効果があるとしていました。カルシウムが神経の働きに関わっているのは確かですが、カルシウムを多く摂ってイライラがおさまるという根拠は、2025年版の食事摂取基準には示されていません。

骨粗鬆症・骨折の予防

2025年版の食事摂取基準では、カルシウムの摂取量が少ないことは、骨量が少なくなるリスク因子になるとされています。日本の研究では、カルシウムの摂取量が少ない集団で骨折が多いことが認められています。

一方で、世界の研究をまとめた分析では、カルシウムの摂取量と骨折の発生率の間に意味のある関連は認められていません。中高年がカルシウムの摂取量を増やしても、骨密度の低下や骨折を防ぐ効果は小さいと考えられています。

骨粗鬆症と食事の関係は骨粗鬆症を防ぐ食事と栄養素を確認してください。

高血圧の予防

カルシウムの摂取量が多いほど血圧が低いことが、多くの研究で示されています。カルシウムを補った研究をまとめた分析でも、血圧が下がる作用が示されていますが、その程度は大きくありません。また、2025年版の食事摂取基準では、カルシウムと高血圧、脂質異常症、糖尿病、慢性腎臓病の間に、特に強い関連は認められていないとされています。

食塩と血圧の関係は1日の食塩の目標量は何g?減塩で血圧はどれだけ下がるかを確認してください。

大腸がんの予防について

旧版の記事では、カルシウムに大腸がんを防ぐ効果があるとしていました。2025年版の食事摂取基準には、カルシウムががんを防ぐという記述はなく、この記事では効果として扱いません。

大腸ポリープ(腺腫)を切除したことがある人を対象にした2つの試験をまとめたコクラン・レビューでは、カルシウムのサプリメントで腺腫の再発がやや少なくなりました。ただし、大腸がんを防ぐためにサプリメントを勧めるには根拠が不十分とされています。

妊娠高血圧腎症について

妊娠中にカルシウムのサプリメント(1日1g以上)を飲んだ試験をまとめたコクラン・レビューでは、妊娠高血圧腎症(妊娠中に血圧が上がり、尿にたんぱくが出るなどの病気)が少なくなっていました。ただし、効果がはっきりしていたのはふだんの食事でカルシウムが少ない女性で、根拠の質は低いとされています。妊娠中にサプリメントを使うときは、医師に相談してください。

 

カルシウムが不足しやすい人

日本人のカルシウムの摂取量は、目標を満たしていないことが知られています。カルシウムの不足は、食事から摂る量が少ないことや、腸からの吸収が悪いことで起こります。カルシウムの吸収にはビタミンDが必要なため、ビタミンDの不足でカルシウムが不足することもあります。2019(令和元)年の国民健康・栄養調査では、平均の摂取量は男性で1日517mg、女性で494mgでした。

長い期間カルシウムが不足すると、子どものくる病や、骨量の減少、骨粗鬆症が起こります。極端に不足すると、筋肉のけいれんが起こることがあります。

血液中のカルシウムが低くなる低カルシウム血症について、MSDマニュアル家庭版では、副甲状腺の働きの低下(甲状腺の手術で副甲状腺が傷ついた場合など)、マグネシウムやビタミンDの不足、腎臓の病気、一部の薬(抗てんかん薬、ビスホスホネート、ステロイドなど)が原因に挙げられています。カルシウムの不足と病気についてはカルシウムが不足すると起こる病気は?を確認してください。

 

カルシウムを多く含む食品と摂り方

カルシウムは、牛乳・乳製品、魚介類、大豆製品、種実類、藻類などに多く含まれています。

1食あたりのカルシウムの量の例は次のとおりです(HFNetより。日本食品標準成分表2020年版(八訂)の値)。

  • 煮干し15g:330mg
  • 低脂肪牛乳200g:260mg
  • ししゃも干物(焼き)60g:228mg
  • 普通牛乳200g:220mg
  • さば缶詰(みそ煮)90g:189mg
  • 生揚げ75g:180mg
  • 木綿豆腐150g:140mg
  • プロセスチーズ20g:126mg
  • 小松菜(ゆで)80g:120mg
  • いりごま5g:60mg

2025年版の推奨量は、18~29歳の男性で1日800mg、30歳以上の男性で750mg、18~74歳の女性で650mg、75歳以上の女性で600mgです。12~14歳は男性1,000mg、女性800mgで、成長期には多くなっています。

食品ごとの含有量はカルシウムが多い食品ランキングを確認してください。

カルシウムは、1回の食事でまとめて摂るより、何回かの食事に分けて摂るほうが効率よく吸収されます。野菜に含まれるシュウ酸や、穀物に含まれるフィチン酸は、カルシウムの吸収を妨げることが知られています。

 

サプリメントで摂るときの注意

ふつうの食事からカルシウムを摂りすぎることはまれです。しかし、サプリメントなどで摂りすぎると、高カルシウム血症、尿路の結石、ミルクアルカリ症候群、便秘、鉄や亜鉛、マグネシウムなどの吸収の妨げなどが起こることがあります。

成人の耐容上限量(これ以上摂ると健康障害のリスクが高まる量)は1日2,500mgです。また、カルシウムのサプリメントを使うと、心臓や血管の病気のリスクが上がるという報告があります。ビタミンDを含まないカルシウムのサプリメント(1日500mg以上)の試験をまとめた分析では、心筋梗塞が約3割多くなっていました。これにはさまざまな議論がありますが、2025年版では、サプリメントやカルシウム剤の形で摂るときには注意が必要とされています。特に1日1,000mg以上のカルシウムのサプリメントは、慎重に考えたほうがよいとされています。

カルシウムを含む栄養機能食品は、1日に摂る目安の量に含まれるカルシウムが204~600mgの範囲に決められています。

活性型ビタミンDの薬と一緒に使うと、より少ない量でも血液中のカルシウムが高くなることがあります。薬を飲んでいる人は、サプリメントを使う前に医師や薬剤師に相談してください。

 

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