銅は鉄とともに血液をつくる働きに関わり、鉄の代謝や運搬、活性酸素の除去、神経伝達物質の代謝などに重要な役割を担っています。銅が不足すると、鉄を補っても治らない貧血や、白血球の減少、骨の異常などが起こります。
この記事では厚生労働省の日本人の食事摂取基準(2025年版)や、国立健康・栄養研究所の情報をもとに、銅の不足で起こる病気と、検査と治療、生活習慣病との関係をまとめます。
銅が不足しやすい人
健康な人では、ふつうの食生活で銅が不足することはほとんどありません。日本人は平均すると十分な量の銅を摂っており、ふつうの食生活であれば銅の摂取は適切に保たれていると考えられています。
銅の不足は生まれつき銅を吸収しにくい病気のほか、次のような場合に起こります。
- 銅を加えていない点滴(高カロリー輸液)を続けているとき
- 銅の少ないミルクを主な栄養にしている乳児や、未熟児
- たんぱく質の栄養障害があるとき
- セリアック病やクローン病など、栄養の吸収を妨げる病気があるとき
- 減量のための手術を受けたあと
また、亜鉛を大量に摂り続けると銅の吸収が妨げられ、銅が不足することがあります。日本でも、極端な偏食で1日約70mgの亜鉛を長く摂り続けた女性に、銅の不足による脊髄の障害(ミエロパチー)が起こった例が2025年版で紹介されています。
男の赤ちゃんに起こる生まれつきの銅欠乏症は、メンケス病(メンケス症候群)と呼ばれます(MSDマニュアル家庭版)。
銅の摂取基準については必須ミネラル銅の機能・役割と食事摂取基準を確認してください。
銅の不足で起こる症状と病気
貧血
銅は赤血球のヘモグロビンをつくるために鉄を運ぶ働きをしています。そのため銅が不足すると、鉄を補っても治らない貧血が起こります。鉄の不足による貧血については鉄が不足すると起こる病気は?で説明しています。
白血球の減少
銅が不足すると、白血球が減ることがあります。
骨の異常
銅は骨をつくる働きにも関わっており、不足すると骨の異常が起こります。MSDマニュアル家庭版では、骨粗しょう症が起こることがあるとされています。
神経の障害
銅が不足すると神経が傷つき、手足のピリピリ感や感覚がなくなるといった症状が出ることがあります。MSDマニュアル家庭版では、筋力の低下や、体の動きをうまく合わせられない協調運動障害のほか、錯乱、いらいら、軽い抑うつが起こることもあるとされています。
そのほかの症状
頻度は少ないものの、成長の障害、皮膚や毛髪の色素が少なくなる、筋肉の緊張の低下、免疫機能の低下、心臓・血管の異常、コレステロールや糖の代謝の異常なども起こります。
銅不足の検査と治療
MSDマニュアル家庭版によると、銅の不足は、症状に加えて、血液検査で銅と、血液中で銅を運ぶたんぱく質であるセルロプラスミンの濃度が低いことを確かめて診断します。早く診断して治療するほど、よい結果が得られると考えられています。
治療では原因になっている病気を治し、銅のサプリメントを口から補います(自分の判断で使わないことは、下の「サプリメントの注意」を見てください)。不足が重い場合は、静脈から銅を補います。メンケス病の赤ちゃんには、銅を皮下に注射します。
生活習慣病との関係
糖尿病
銅の摂取量と糖尿病のなりやすさとの関係を調べた研究の結果は、一致していません。
高血圧
1日1.57mg未満の範囲では、食事から摂る銅が多いほど高血圧になりにくく、それより多い範囲では、銅が多いほど高血圧になりやすいとする研究があります。
サプリメントの注意
高齢の女性を対象にした研究では、銅のサプリメントを使っている人で死亡率が高くなっていました。2025年版では、銅が糖尿病や高血圧に関わる可能性はあるものの、推奨量を超えて銅を積極的に摂ると、耐容上限量(これ以上摂ると健康障害のリスクが高まる量)より少なくても健康に悪い影響が出る可能性は否定できないとされています。
銅の不足の治療は、原因になっている病気の治療と、銅のサプリメントによる補給です。原因がわからないまま自分の判断でサプリメントを使わず、医師に相談してください。
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