たんぱく質と病気の関係は?フレイル・腎臓病・糖尿病・脳卒中と摂る量の目安

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たんぱく質は、足りなくても摂りすぎても、いくつかの病気と関係すると考えられています。この記事では、たんぱく質と、フレイル(加齢で体が弱った状態)、慢性腎臓病、糖尿病、高血圧、肥満、脳卒中との関係について、研究で分かっていることと、まだ分かっていないことを整理します。

数値と考え方は、厚生労働省の日本人の食事摂取基準(2025年版)のたんぱく質の章と、慢性腎臓病(CKD)の章に基づいています。

 

たんぱく質の摂る量の目安

2025年版では、成人の推奨量(ほとんどの人が必要量を満たす量)を、男性は18〜64歳で65g/日、65歳以上で60g/日、女性は18歳以上で50g/日としています。

生活習慣病の予防のために目指す量(目標量)は、1日に摂るエネルギーのうち、たんぱく質から摂る割合で示しています。

年齢 目標量(%エネルギー)
1〜49歳 13〜20
50〜64歳 14〜20
65歳以上 15〜20

※男女共通です。範囲は、おおむねの値です。

たんぱく質には、耐容上限量(これ以上摂ると健康障害のリスクが高まる量)は決められていません。2025年版によると、健康な人がたんぱく質を多く摂っても、腎臓の働きが下がるという十分な根拠はありませんでした。ただし、目標量の上限を20%エネルギーとしているのは、20〜23%エネルギー前後の摂取が、成人では代謝に、高齢者では腎臓の働きに好ましくない影響を与える可能性が残っているためです。また、推奨量より多く摂ることで健康によい影響があるという根拠は乏しく、たんぱく質は多く摂るほどよいわけではないとしています。

年齢・性別ごとの量はたんぱく質の機能・役割と食事摂取基準を確認してください。

 

フレイル・サルコペニア

2025年版によると、たんぱく質の不足が影響する可能性が高い病気に、高齢者のフレイルとサルコペニア(筋肉の量や力が減った状態)があります。

研究をまとめた結果では、サルコペニアのある人は、ない人に比べて、たんぱく質の摂取量が少ないことが報告されています。70歳以上の男性を対象にした試験では、推奨量にあたる体重1kgあたり0.8g/日を摂った人たちは手足の筋肉が減りましたが、その2倍の1.6g/日を摂った人たちは筋肉が保たれました。

2025年版は、これらの研究をもとに、少なくとも高齢者では、推奨量より多めの体重1kgあたり1.2g/日以上を摂るほうが、フレイルやサルコペニアの予防につながる可能性があるとしています。65歳以上の目標量の下限が、ほかの年代より高い15%エネルギーになっているのは、このためです。ただし、研究の質も量もまだ十分ではなく、フレイルを改善するための量について結論は出ていません。

2025年版の高齢者の章では、ヨーロッパ臨床栄養代謝学会(ESPEN)が、健康な高齢者に少なくとも体重1kgあたり1.0〜1.2g/日のたんぱく質を摂るよう勧めていることも紹介しています。一方で、体重1kgあたり約1.6g/日を超えて摂っても、脂肪を除いた体の重さ(除脂肪量)はそれ以上増えなかったという報告もあります。2025年版は、たんぱく質を摂る量に比例して筋肉の量や働きが増えるわけではないと考えるのが妥当だとしています。

同じ章では、ビタミンDの不足も、筋力の低下やフレイルと関係すると考えられています。ビタミンDについてはビタミンDが不足すると起こる病気を確認してください。

体が小さい人や、75歳以上で体を動かす量が大きく減った人など、食べる量が少ない人では、目標量の下限が推奨量を下回ることがあります。その場合でも、推奨量以上を摂ることが望ましいとされています。

 

慢性腎臓病(CKD)

慢性腎臓病は、腎臓の働きが少しずつ下がっていく病気です。2025年版によると、末期の腎不全になるまで症状が出ないことが多いため、健康診断などで腎臓の働きを定期的に調べることが大切です。

慢性腎臓病の食事療法は、腎臓を守るために、たんぱく質の量を制限することが中心です。日本腎臓学会の基準では、腎臓の働きの段階(ステージ)ごとに、次の目安が示されています。

ステージ たんぱく質の目安(体重1kgあたり)
G1〜G2(軽症) 摂りすぎない(目安1.3g/日まで)
G3a 0.8〜1.0g/日
G3b以降 0.6〜0.8g/日

※体重は標準体重を使います。実際の量は、医師と管理栄養士が一人ひとりの病状に合わせて決めます。

たんぱく質の制限には、尿に出るたんぱく質を減らす効果が一定程度あると考えられています。一方、腎不全への進行を遅らせる効果については、結果が分かれています。糖尿病のない慢性腎臓病の人を対象にしたコクランの系統的レビューでは、ふつうの低たんぱく食では透析が必要になる人の数はほとんど変わらない可能性がありました。一方、かなり厳しく制限した食事では、進行した慢性腎臓病の人で、透析が必要になる人が減る可能性が高いと報告されています。

高齢の人では、腎不全よりも、ほかの原因で亡くなるリスクのほうが高いことが分かっています。慢性腎臓病の人は、フレイルやサルコペニアも起こしやすくなります。そのため2025年版は、高齢の軽い慢性腎臓病の人に、たんぱく質の目標を一律に示すのは適切ではないとしています。日本腎臓学会の提言では、サルコペニアやフレイルのある軽い慢性腎臓病の人で、その対策を優先する場合、たんぱく質の上限の目安を体重1kgあたり1.5g/日まで引き上げています。

腎臓の病気がある人は、自分でたんぱく質を減らしたり増やしたりせず、医師や管理栄養士に相談してください。

 

糖尿病

2025年版によると、たんぱく質を多く摂ることが2型糖尿病のリスクになる可能性が報告されていますが、どのくらいの量からリスクになるのかについては結論が出ていません。糖尿病の章では、動物性たんぱく質、特に赤身肉や加工肉を多く摂る人で糖尿病になるリスクが高いという研究がある一方、植物性たんぱく質ではこの関係が見られないとしています。ただし、欧米の人より動物性たんぱく質の摂取量が少ない日本人が、さらに減らす意義は明らかではありません。

糖尿病で腎臓の働きが下がっている人は、食塩とたんぱく質の摂り方が重要になります。糖尿病の食事については糖尿病の食事を確認してください。

 

高血圧

2025年版によると、たんぱく質の摂取量と血圧の関係を調べた研究は結果が一致しておらず、十分な結論を出すのは難しいとされています。旧版の記事では、たんぱく質に軽い降圧効果があるとしていましたが、2025年版に合わせて改めました。

 

肥満

たんぱく質の摂取量と肥満そのものとの関係について、2025年版は結論を示していません。減量のときの食べ方については、研究があります。エネルギーを控えた食事で、たんぱく質の割合を多くした場合と、ふつうの割合の場合を比べたランダム化比較試験のメタアナリシスでは、たんぱく質の多い食事のほうが、体重と体脂肪がやや多く減り、筋肉などの減少が少なくなりました。ただし、差は大きくありません。旧版の記事では、たんぱく質を摂ると基礎代謝が上がるとしていましたが、この研究で分かったのは、減量中にエネルギーの消費量が下がるのを抑えたということです。

 

脳卒中

たんぱく質の摂取量と脳卒中の関係を調べた研究もあります。7つの研究、約25万人をまとめたメタアナリシスでは、たんぱく質を最も多く摂っている人たちは、最も少ない人たちに比べて、脳卒中のリスクが約2割低いという結果でした。ただし、これは観察研究の結果で、たんぱく質を増やせば脳卒中を防げると確かめられたわけではありません。

 

骨の健康

2025年版によると、たんぱく質の摂取量と骨密度の関係を調べた研究も、結果が一致しておらず、十分な結論を出すのは難しいとされています。骨を丈夫に保つ食事については骨粗鬆症を防ぐ食事を確認してください。

病気の治療のためにたんぱく質の量を制限したり増やしたりする必要がある人は、目標量よりも、医師の指示を優先してください。

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