パントテン酸の不足と生活習慣病・病気

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パントテン酸の欠乏症はまれです。パントテン酸が不足すると細胞内のCoA濃度が低下するため、成長停止や副腎傷害、手や足のしびれと灼熱感、頭痛、疲労、不眠、胃不快感を伴う食欲不振などの症状が起こる可能性があります。また、コラーゲンの合成、神経伝達などにも関わるため、それらに関連する病気になる可能性があります。

 

生活習慣病

発症予防及び重症化予防に関連した論文はありません。ただし、動脈硬化の予防が期待できます。

動脈硬化

パントテン酸は血中の善玉コレステロール(HDL)の合成促進に関わります。肝臓からコレステロールを運ぶ役割が悪玉コレステロール(LDL)ですが、余ったコレステロールを回収して肝臓に再び運ぶ役割をするのが善玉コレステロール(HDL)です。このため、パントテン酸が不足すると、善玉コレステロール(HDL)が余ったコレステロールを回収できなくなり動脈硬化の原因となります。

 

パントテン酸欠乏症

パントテン酸はコエンザイムA(CoA)の補酵素の構成成分として代謝に関わっています。このため、不足すると代謝障害を引き起こす可能性があります。働きを阻害する薬のパントテン酸拮抗剤を人に投与した実験では、感覚衝動異常、体位性の低血圧症、副腎皮質ホルモンに対する反応の低下などの症状が報告されています。主な症状としては四肢のしびれ感、足の先端が焼け付くような感覚となる足の灼熱感です。動物実験ではニワトリにパントテン酸欠乏食を投与したところ、顕著な副腎の機能障害と皮膚炎、神経線維の軸索に関わるミエリンの崩壊が見られた報告があります。

 

皮膚炎(湿疹・肌荒れなども含む)

パントテン酸はビタミンCによるコラーゲン生成を補助する効果があります。パントテン酸が不足したニワトリが皮膚炎を起こすことがわかっています。なお、パントテン酸は湿疹、アトピー性皮膚炎、肌荒れを治療に使用される場合があります。

 

高脂血症(脂質異常症)

血液中のコレステロール値が異常になる病気です。パントテン酸はコレステロール低下作用、HDLコレステロール(善玉コレステロール)増加作用があるため、パントテン酸製剤としてパントシンなどの医療用医薬品に使われることがあります。

 

便秘

パントテン酸は臓器の運動を高め、腸の便を押し出す蠕動運動を促す効果があります。パントテン酸が不足した場合、消化不良を招いたり腸の運動が鈍くなったりして便秘の原因となる可能性があります。パントテン酸は便秘の方に対して処方される場合があり、腸の動きが鈍くなった弛緩性便秘を改善する効果があります。動物実験では、大腸の一部の虫垂を切除したウサギの腸運動を促進することが確認されています。

 

末梢神経障害

パントテン酸は体内でコエンザイムA(CoA)からアセチルCoAとなって、神経刺激伝達に不可欠であるアセチルコリンの生成します。このため、パントテン酸の不足が末梢神経の障害につながる可能性があります。

 

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