ビタミンAは、レチノイドといい脂溶性ビタミンに分類されます。ビタミンAはその末端構造によりレチノール(アルコール)、レチナール(アルデヒド)、レチノイン酸(カルボン酸)に別けられます。体内でビタミンAに変わるカロテノイドはプロビタミンAと呼ばれており、経口摂取した場合、体内でビタミンA活性を有する化合物として、レチノール、レチナール、レチニルエステル、β─カロテン、α─カロテン、β─クリプトキサンチンなど約50種類に及ぶプロビタミンAカロテノイドが知られています。
ビタミンAの機能・役割
ビタミンAのレチノールとレチナールは、網膜細胞の保護作用や視細胞における光刺激反応に重要な物質です。また、ビタミンAは、成長、生殖、視覚、感染予防など幅広い生理機能に関与しています。レチノールは上皮組織を保持して感染を予し、成長、生殖、視覚、聴覚に関与し、レチナールはロドプシンの成分として,正常な視覚機能を維持する役割があります。このため、ビタミンAは、目の健康維持や皮膚・粘膜の免疫力の向上・抗酸化作用、成長、生殖などの役割を担っています。その他、レチノールの代謝物質のレチノイン酸は核内レセプターを介して遺伝子の発現調節に関与し,細胞の増殖や分化の制御に重要な役割を担っています。
ビタミンAの効果・効能については以下を確認してください。
ビタミンAの食事摂取基準
ビタミンAの食事摂取基準は以下の通りです。ビタミンAの食事摂取基準はレチノール相当量として示し、レチノール活性当量(retinol activity equivalents:RAE)という単位で算定しています。
ビタミン A の食事摂取基準(μg RAE/日)(男性)
年齢等 | 推定平均必要量 | 推奨量 | 目安量 | 耐容上限量 |
---|---|---|---|---|
0~5(月) | ─ | ─ | 300 | 600 |
6~11(月) | ─ | ─ | 400 | 600 |
1~2(歳) | 300 | 400 | ─ | 600 |
3~5(歳) | 350 | 500 | ─ | 700 |
6~7(歳) | 300 | 450 | ─ | 900 |
8~9(歳) | 350 | 500 | ─ | 1,200 |
10~11(歳) | 450 | 600 | ─ | 1,500 |
12~14(歳) | 550 | 800 | ─ | 2,100 |
15~17(歳) | 650 | 900 | ─ | 2,600 |
18~29(歳) | 600 | 850 | ─ | 2,700 |
30~49(歳) | 650 | 900 | ─ | 2,700 |
50~69(歳) | 600 | 850 | ─ | 2,700 |
70以上(歳) | 550 | 800 | ─ | 2,700 |
ビタミン A の食事摂取基準(μg RAE/日)(女性)
年齢等 | 推定平均必要量 | 推奨量 | 目安量 | 耐容上限量 |
---|---|---|---|---|
0~5(月) | ─ | ─ | 300 | 600 |
6~11(月) | ─ | ─ | 400 | 600 |
1~2(歳) | 300 | 400 | ─ | 600 |
3~5(歳) | 350 | 500 | ─ | 700 |
6~7(歳) | 300 | 450 | ─ | 900 |
8~9(歳) | 350 | 500 | ─ | 1,200 |
10~11(歳) | 450 | 600 | ─ | 1,500 |
12~14(歳) | 550 | 800 | ─ | 2,100 |
15~17(歳) | 650 | 900 | ─ | 2,600 |
18~29(歳) | 600 | 850 | ─ | 2,700 |
30~49(歳) | 650 | 900 | ─ | 2,700 |
50~69(歳) | 600 | 850 | ─ | 2,700 |
70以上(歳) | 550 | 800 | ─ | 2,700 |
妊婦は推定平均必要量と推奨量にそれぞれ以下の付加量が必要になります。
- 初期 +0 +0
- 中期 +0 +0
- 後期 +60 +80
【補足】
- 食事摂取基準はレチノール活性当量(μgRAE)=レチノール(μg)+β─カロテン(μg)×1/12+α─カロテン(μg)×1/24+β─クリプトキサンチン(μg)×1/24+その他のプロビタミンAカロテノイド(μg)×1/24
- 推定平均必要量と推奨量はプロビタミンAカロテノイドを含みます。
- 目安量はプロビタミンAカロテノイドを含みません。
ビタミンAを取得できる食物
レバー、卵、緑黄色野菜に含まれています。
ビタミンAが不足した場合の影響
ビタミンAが不足すると、乳幼児では角膜乾燥症から失明に至ることもあり、成人では眼所見として暗順応障害が生じ、やがて夜盲症になる可能性がいあります。角膜上皮や結膜上皮の角質化によって角膜や結膜が肥厚し、ビトー斑という泡状の沈殿物が白眼に現れることもあります。また、皮膚でも乾燥、肥厚、角質化が起こります。その他、成長阻害、骨や神経系の発達抑制もみられ、上皮細胞の分化・増殖の障害、皮膚の乾燥・肥厚・角質化、免疫能の低下や粘膜上皮の乾燥などから感染症にかかりやすくなります。
ビタミンAの不足・欠乏については以下を確認してください。
ビタミンAの過剰摂取
ビタミンAの過剰摂取による健康障害が報告されているのは、サプリメントあるいは大量のレバー摂取などによるものがあります。ビタミンAの過剰摂取による臨床症状では頭痛が特徴です。急性毒性では脳脊髄液圧の上昇が起こり、慢性毒性では頭蓋内圧亢進、皮膚の落屑、脱毛、筋肉痛が起こります。
ビタミンAの過剰摂取については以下を確認してください。
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