パントテン酸の効果・効能

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パントテン酸はビタミンB群に含まれ、D(+)-N-(2,4-ジヒドロキシ-3,3-ジメチルブチリル)-β-アラニンのことでビタミンB5とも呼ばれていました。コエンザイムA(CoA)の構成成分として、糖代謝や脂肪酸代謝において重要な反応に関わるビタミンです。パントテン酸は、糖質、脂質、たんぱく質の代謝とエネルギー生産に不可欠な酵素を補助する役割をしています。その他、ホルモンやステロール(細胞膜・胆汁酸・ホルモンなどの材料であるコレステロールなど)、神経伝達物質(アセチルコリン)の合成、免疫抗体の合成、薬剤の解毒作用、皮膚などの健康維持を助ける作用にも関与しています。また、細胞膜の構成成分としてリン脂質、赤血球の中にあるヘモグロビンの構成成分としてプロフィリンにそれぞれ存在しています。パントテン酸は様々な物質の合成・作用を助けています。なお、体内のパントテン酸はカフェインやアルコールをとることによって消費されるため留意してください。

 

エネルギー代謝(エネルギー消費効果)

パントテン酸はコエンザイムA(CoA)と呼ばれる補酵素の構成成分として糖質、脂質、アミノ酸代謝に関わっています。体内でパントテン酸が分解され合成されたコエンザイムAは、人間の生命活動に必要不可欠なエネルギーの生産活動に幅広く利用されます。アデノシン3リン酸(ATP)を生成する際に補酵素として活躍し、エネルギー生産を助ける重要な役割を担っています。食品から摂取した糖質、たんぱく質、脂質などのエネルギー源は、体内で酵素によって分解され、アデノシン3リン酸(ATP)というエネルギー物質に変えられます。このアデノシン3リン酸(ATP)がエネルギー代謝として身体活動のエネルギーに利用利用され消費されます。また、パントテン酸から作られたコエンザイムA(CoA)は糖質、脂質、アミノ酸代謝で補酵素として関わる酵素反応はピルビン酸脱水素酵素、脂肪酸酸化酵素、脂肪酸合成酵素、HMG-CoAカルボキシラーゼ、α-ケトグルタール酸脱水素酵素、アシル・CoA合成酵素など140以上になります。

糖質の代謝ではピルビン酸とコエンザイムA(CoA)からアセチルCoAが作られ、エネルギーを作り出すクエン酸回路(TCA回路)へと入ります。パントテン酸はビタミンB1とともに糖の代謝の中心的な役割を担っています。脂質の代謝ではまず脂肪酸とコエンザイムA(CoA)からアシルCoAが作られ、アシルCoAはβ酸化と呼ばれる脂肪の燃焼を経て、アセチルCoAが作られ、クエン酸回路へと入ります。ビタミンBとともに脂質代謝に関わります。このため、パントテン酸はエネルギーを消費する効果があるといえます。

 

コラーゲンの合成補助(肌・髪の健康を保つ効果)

パントテン酸はビタミンCの働きを助ける役割をしています。ビタミンCは、肌や髪の毛をつくるたんぱく質の合成に不可欠な成分です。特に、肌の奥にある真皮層の約70%は、コラーゲンというたんぱく質で作られており、潤いや弾力を保っています。髪の毛もコラーゲンなどのたんぱく質でできています。パントテン酸はコラーゲンを合成するときに必要なビタミンCの作用を補助して髪や肌を健康に保ってくれます。また、ニキビの要因であるストレスを軽減させる効果もあります。パントテン酸はストレスを緩和させる副腎皮質ホルモンの働きを促進させます。ストレスが生じると副腎から副腎皮質ホルモンが分泌され、体内でエネルギーを増大させてストレスに耐えるように身体を作りますが、パントテン酸はこの過程に関与します。皮脂を改善する効果もあります。脂質を分解することで、余分な脂質を減らし、ニキビや肌荒れなどの対策としても有効です。このため、パントテン酸は肌・髪の健康を保つ効果があります。

 

ストレスの抵抗力を高める効果

人間はストレスを感じると抗ストレスホルモンである副腎皮質ホルモンを合成しますが、パントテン酸はそのホルモン合成にも関与しており、ストレスに対する防御反応においてパントテン酸が重要な働きを担います。パントテン酸は抗ストレスビタミンとも呼ばれています。ストレスを感じると、副腎皮質ホルモン(抗ストレスホルモン)が分泌されます。このホルモンは血糖値を上昇させることにより、使えるエネルギー量を増やし、ストレスに対する抵抗力を強めます。このため、パントテン酸はストレスをやわらげる副腎皮質ホルモンの働きを促進させて、ストレスへの抵抗力を高める効果があります。また、パントテン酸はビタミンB6や葉酸などとともに免疫力の強化します。パントテン酸が不足すると、疲労の要因にもなり、免疫力が低下することで風邪をひきやすくなる可能性があります。

 

神経伝達を正常に維持する効果

パントテン酸は脂肪酸に結合することで糖質、脂質、たんぱく質からエネルギー生産の反応に関わるアセチルCoAや、脂肪酸の合成と分解に関わるアシルCoAを作ります。アセチルCoAは、代謝の過程で作られ、神経伝達物質、細胞膜の材料となるコリンを神経伝達物質であるアセチルコリンに変えることで、神経細胞の合成を促し、神経伝達に関わる働きもあります。このため、パントテン酸は新家伝達を正常に維持する効果があります。

 

動脈硬化を予防する効果

パントテン酸は、血中の善玉コレステロール(HDL)の合成促進に関わり、動脈硬化を予防する効果があります。コレステロールは脂質のひとつで、食事から摂取後に肝臓で作られ細胞膜やホルモンの材料となります。このコレステロールは取りすぎると動脈硬化などの原因となります。コレステロールは悪玉コレステロール(LDL)と善玉コレステロール(HDL)の2種類のたんぱく質によって運ばれます。肝臓から体の隅々にまでコレステロールを運ぶ役割が悪玉コレステロール(LDL)で、余ったコレステロールを回収して肝臓に再び運ぶ役割をするのが善玉コレステロール(HDL)です。悪玉コレステロール(LDL)が増えすぎると活性酸素と反応して酸化LDLとなり、血管を傷付けはじめます。酸化LDLは白血球の1種であるマクロファージによって処理されますが、処理しきれなくなるとマクロファージ自体が貯まって泡沫細胞化し、こぶ状になり血管を狭めます。これにより、余ったコレステロールが血管の内側の壁に付着して血管が硬くなり、動脈硬化につながります。パントテン酸は善玉コレステロール(HDL)の合成を促進し、善玉コレステロール(HDL)を増やすことで、動脈硬化を予防します。なお、悪玉コレステロール(LDL)と善玉コレステロール(HDL)はどちらも体にとって必要なものでバランスが取れていることが重要です。

 

解毒作用

パントテン酸から作られるコエンザイムA(CoA)は除草剤、殺虫剤などに配合されている有害な化学化合物に対する解毒作用があります。

 

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