パントテン酸は様々な食品に含まれる水溶性ビタミンで、ふつうの食品から摂りすぎて健康障害が起きたという報告はありません。
この記事では厚生労働省の日本人の食事摂取基準(2025年版)や、国立健康・栄養研究所の情報をもとに、パントテン酸を摂りすぎたときのことと、サプリメントや医薬品で摂るときの注意をまとめます。
ふつうの食品では摂りすぎにならない
ふつうの食品で、食べられる部分100gあたりのパントテン酸が5mgを超えるものは、レバーを除いてありません。ふつうの食品を食べている人で、摂りすぎによる健康障害が起きたという報告はありません。
パントテン酸の耐容上限量
パントテン酸だけを大量に与えたという報告は見当たらず、耐容上限量(これ以上摂ると健康障害のリスクが高まる量)を決められるだけの情報がないため、2025年版では耐容上限量は設定されていません。
なお、パントテン酸をほかのビタミンと一緒に大量に3か月与えた試験では、一部の人が吐き気、食欲不振、腹痛を訴えて試験が中止されたという記録があります。
海外の解説にも、大量に摂ったときの報告が載っています。米国オレゴン州立大学ライナス・ポーリング研究所の解説によると、パントテン酸に人への毒性は知られておらず、報告されている害は、パントテン酸カルシウムを1日10~20gというきわめて多い量で摂ったときの下痢だけとされています。ただし、ビオチン10mgとパントテン酸300mgを毎日2か月飲んだ高齢の女性に、肺や心臓を包む膜の内側に液体がたまる命に関わる症状が出たという報告が1例あります。
サプリメントや医薬品で摂るときの注意
パントテン酸を含む栄養機能食品は、1日に摂る目安の量に含まれるパントテン酸が1.44~30mgの範囲に決められています。また、「本品は、多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。1日の摂取目安量を守ってください。」という注意の表示が必要です(国立健康・栄養研究所 HFNet)。
医療用の薬には、体の中でパントテン酸に変わるパンテチンがあります。パンテチン製剤の添付文書では、大人の量は通常1日30~180mg、病気によっては1日300~600mgとされ、副作用として下痢・軟便、おなかの張り、嘔吐(吐くこと)、食欲不振が挙げられています。医師が診断して処方する薬です。量や飲み続ける期間は医師の指示に従ってください。
先ほどのライナス・ポーリング研究所の解説では、パンテチンをスタチン(コレステロールを下げる薬)やニコチン酸と一緒に使うと、血液の脂質への作用が重なる可能性があるとされています。脂質異常症の薬を使っている人は、パンテチンについても医師や薬剤師に伝えてください。
大量のパントテン酸は、腸や細胞に取り込まれるときにビオチンと同じ輸送体を使うため、ビオチンの取り込みと競合する可能性も指摘されています。
パントテン酸の摂取基準についてはパントテン酸の機能・役割と食事摂取基準を確認してください。
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