ビタミンKは、血液を固める成分(血液凝固因子)や骨のたんぱく質が働くために必要な脂溶性ビタミンです。この記事では、ビタミンKが不足したときに出る症状と、不足しやすい人、不足を防ぐ方法をまとめます。
数値と考え方は厚生労働省の日本人の食事摂取基準(2025年版)に基づき、症状はMSDマニュアル家庭版「ビタミンK欠乏症」と国立健康・栄養研究所の「健康食品」の安全性・有効性情報(ビタミンK)で確かめています。
ビタミンK不足の主な症状は出血
ビタミンKが不足すると、血液が固まるのに時間がかかり、出血しやすくなります。2025年版によると、日本の健康な大人でこうした症状が出ることはまれです。症状が出やすいのは、生まれたばかりの赤ちゃんと、ビタミンKの吸収や利用が妨げられる病気や薬がある人です。
大人に出る症状
国立健康・栄養研究所の情報やMSDマニュアルによると、次のような症状が現れます。
- 鼻血が出る
- 傷からの出血が止まりにくい
- あざ(皮膚の下の出血)ができやすい
- 月経の量が多くなる
- 尿に血が混じる(血尿)
- 胃や腸から出血し、血を吐く、便に血が混じる、黒いタールのような便が出る
黒い便や血を吐いたときは、すぐに医療機関を受診してください。MSDマニュアルによると、診断では血液が固まる速さを調べる血液検査を行います。治療は、ビタミンKを飲むか注射して補います。
MSDマニュアルによると、血液を固める成分は肝臓でつくられるため、肝臓の病気があると出血のリスクが高くなります。薬が原因でビタミンKが不足しているときは、薬の量を調整するか、ビタミンKを追加で使います。使っている薬は、自己判断でやめたり減らしたりせず、医師に相談してください。
赤ちゃんに出る症状
生まれたばかりの赤ちゃんは、胎盤を通って移るビタミンKがわずかで、腸内細菌も育っておらず、母乳に含まれるビタミンKも少ないため、ビタミンKが不足しやすくなります。国立健康・栄養研究所の情報では、母乳で育つ赤ちゃんのほうが発症しやすいとされています。
生後数日で起こるのが新生児メレナ(新生児出血症)で、胃や腸から出血し、血を吐いたり、黒っぽい便が出たりします。生後1か月ごろには、頭の中で出血する乳児ビタミンK欠乏性出血症が起こることがあり、命に関わることもあります。
新生児への予防を調べたコクラン・レビュー(2000年)によると、生後2〜12週に起こる遅いタイプの出血は、頭の中、皮膚、胃腸に多く見られます。日本では、これらを防ぐため、生まれた直後から赤ちゃんにビタミンKを与えています。予防の方法や回数は、出産した医療機関や小児科の指示に従ってください。
骨への影響
国立健康・栄養研究所の情報やMSDマニュアルでは、ビタミンKの不足が続くと骨が弱くなり、骨粗鬆症や骨折につながることがあるとしています。2025年版でも、ビタミンKの摂取量が少ないと骨折のリスクが高くなる可能性が示されています。
ただし、ビタミンKを積極的に摂って骨粗鬆症を防げるという根拠はないと、2025年版はしています。骨を守るにはカルシウムやビタミンDなどもあわせて考える必要があります。詳しくは骨粗鬆症を防ぐ食事と栄養素を確認してください。
旧版の記事では、骨粗鬆症が進んだときの痛みや背中が曲がるといった症状を、ビタミンK不足の症状として並べていました。これらは骨粗鬆症そのものの症状で、ビタミンKの不足だけで起こるものではないため、記述を改めました。
ビタミンKが不足しやすい人
- 生まれたばかりの赤ちゃん、特に母乳で育つ赤ちゃん
- 長い期間、抗生物質を使っている人
- 胆道がふさがる病気や、脂肪を吸収しにくい病気がある人
- 肝臓の病気がある人
- 極端に脂肪を減らした食事を続けている人
- 一部の抗てんかん薬(フェニトインなど)を使っている人
不足を防ぐ食事
ビタミンKは、緑黄色野菜、海藻、緑茶、植物油、納豆などに多く含まれます。脂肪を含む食事と一緒に摂ると吸収されやすくなります。食品ごとの量はビタミンKが多い食品ランキングで確かめられます。2025年版の目安量は、成人の男女とも1日150µgです。ビタミンKは多く摂っても毒性が見られないため、耐容上限量(これ以上摂ると健康障害のリスクが高まる量)は決められていません。
ただし、血液を固まりにくくする薬のワルファリンを飲んでいる人は、ビタミンKの摂り方に注意が必要です。国立健康・栄養研究所の情報では、納豆・青汁・クロレラなどを摂ることについて、必ず医師に相談するよう呼びかけています。
不足と病気との関係はビタミンKが不足すると起こる病気を確認してください。
関連記事
ビタミンKが不足すると起こる病気は?新生児の出血症・出血しやすさと骨折との関係
ビタミンKの働きと1日の摂取量は?血液を固める・骨をつくる働きと納豆・ワルファリンの注意
ビタミンKの効果とは?血液を固める・骨をつくる働きと骨粗鬆症の薬、血液凝固阻止薬を飲む人の注意
ビタミンKは摂りすぎても大丈夫?耐容上限量とワルファリンを飲んでいる人の注意
ビタミンKが多い食品ランキング|100gあたりの含有量を食品群別に一覧
骨粗鬆症を防ぐ食事とは?カルシウム・ビタミンD・たんぱく質の摂り方と注意点
