ビタミンKは脂溶性ビタミンの1つです。緑黄色野菜、海藻、緑茶、植物油などに含まれるビタミンK1(フィロキノン)と、腸内細菌などがつくるビタミンK2(メナキノン)があります。食品に多いビタミンK2は、動物性食品に含まれるメナキノン-4と、納豆菌がつくるメナキノン-7です。
この記事では、ビタミンKについて言われてきた効果と、現在わかっていることを、厚生労働省の日本人の食事摂取基準(2025年版)と、国立健康・栄養研究所の「健康食品」の安全性・有効性情報(ビタミンK)をもとに整理します。あわせて、ビタミンKを多く含む食品と、血液を固まりにくくする薬を飲んでいる人の注意も紹介します。
ビタミンKの摂取基準はビタミンKの機能・役割と食事摂取基準を確認してください。
ビタミンKの効果・効能
血液を正常に固める
ビタミンKは、たんぱく質の一部を変化させる酵素を助ける補酵素として働きます。この働きによって、血液を固める成分(血液凝固因子)がカルシウムと結びつけるようになり、血液が正常に固まります。ビタミンKが不足すると、血液が固まるのが遅くなります。栄養機能食品では「ビタミンKは、正常な血液凝固能を維持する栄養素です。」と表示することが認められています。
骨をつくる・骨粗鬆症の予防
ビタミンKは、骨の中のたんぱく質(オステオカルシン)が働くために必要で、骨にカルシウムが沈着するのを促すとされています。日本では、ビタミンK2のメナキノン-4(メナテトレノン)が骨粗鬆症の治療薬として使われています。
ただし、治療薬として使われる量は1日45mgで、食事でとれる量ではありません。2025年版の食事摂取基準では、ビタミンKを使った臨床試験で背骨の骨折を減らす効果は認められておらず、骨粗鬆症の予防のためにビタミンKを積極的に摂ることを勧める根拠はないとされています。一方で、ビタミンKの摂取量が少ないと骨折のリスクが高くなる可能性は示されています。
骨粗鬆症と食事の関係は骨粗鬆症を防ぐ食事と栄養素を確認してください。
血管の石灰化・心臓の病気について
旧版の記事では、ビタミンK2に血管の石灰化を防ぐ効果があるとしていました。2025年版の食事摂取基準によると、ビタミンKと心臓や血管の病気の関係を調べた研究はいくつかありますが、数は十分ではなく、結果も一致していません。ビタミンKを十分に摂ることが生活習慣病の予防に役立つ可能性は示されているものの、はっきりした結論は出ていません。
ビタミンKを多く含む食品
ビタミンKは、緑の葉野菜や納豆に多く含まれます。国立健康・栄養研究所の資料にある1食あたりの量は、次のとおりです(日本食品標準成分表2020年版(八訂)の値)。
- ほうれん草(ゆで)80g:256µg
- 小松菜(ゆで)80g:256µg
- 納豆40g:240µg
- しゅんぎく(ゆで)50g:230µg
- ブロッコリー(電子レンジ)50g:110µg
- 鶏もも 皮つき(ゆで)100g:47µg
成人の目安量は1日150µgです。2019年の国民健康・栄養調査では、1日の平均の摂取量は男性で246µg、女性で235µgで、男女とも目安量を満たしています。ビタミンKは、脂肪を少し含む食事と一緒に摂ると吸収されやすくなります。
食品ごとの量はビタミンKが多い食品ランキングを確認してください。
ビタミンKが不足しやすい人
ふつうの食事をしている人で、ビタミンKが不足することはほとんどありません。不足するのは、長い期間抗生物質を使って腸内細菌がつくるビタミンKが減ったときや、胆道の病気、脂肪をうまく吸収できない病気、肝臓の病気があるときなどです。不足すると、鼻血、胃腸からの出血、月経の量が多くなる、血尿などが起こります。
MSDマニュアル家庭版では、極端に脂肪の少ない食事や、抗てんかん薬(フェニトインなど)・一部の抗菌薬も、ビタミンKの不足を招くことがあるとしています。
生まれたばかりの赤ちゃんは、腸内細菌が育っておらず、母乳に含まれるビタミンKも少ないため、ビタミンKが不足して出血しやすいことが知られています。そのため、生まれてすぐの赤ちゃんには、予防のためにビタミンKが与えられています。
ビタミンKの不足・欠乏については以下を確認してください。
サプリメントで摂るときの注意
ビタミンK1とK2は、多く摂っても毒性がないことが報告されており、耐容上限量(これ以上摂ると健康障害のリスクが高まる量)は決められていません。
ただし、血液を固まりにくくする薬(血液凝固阻止薬)を飲んでいる人は注意が必要です。栄養機能食品では、「血液凝固阻止薬を服用している方は本品の摂取を避けてください。」と表示することになっています。このような薬を飲んでいる人は、ビタミンKを含むサプリメントを使う前に、医師や薬剤師に相談してください。
血液を固まりにくくする薬のワルファリンは、ビタミンKを使って血液凝固因子がつくられるのを妨げる薬です。国立健康・栄養研究所によると、ビタミンKの製剤(薬)はワルファリンと一緒に使ってはいけないとされています。また、ワルファリンを飲んでいる人は、納豆・青汁・クロレラなどを摂ることについて、必ず医師に相談するよう呼びかけています。薬との関係はビタミンKの機能・役割と食事摂取基準でも説明しています。
ビタミンKの過剰摂取についてはビタミンKの過剰摂取による病気・過剰症を確認してください。
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