ビタミンKの効果・効能

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ビタミンKは油脂に溶ける脂溶性ビタミンに分類されます。ビタミンKには植物でつくられるビタミンK1のフィロキノンと、細菌や動物体でつくられるビタミンK2のメナキノンです。その他、天然作られないビタミンKが3種類あります。血液凝固に関わる多くの因子がビタミンK依存性タンパク質であり、ビタミンKは正常な血液凝固に効果があります。成人では、通常の食事で血液凝固に関してビタミンK不足になることはほとんどありませんが、新生児、乳児、肝疾患等により、出血症が出る可能性があります。

 

出血を止める効果

ビタミンKは血液を凝固させる作用があるため止血の際に血を止める効果があります。出血が起こると血漿中に含まれるフィブリノーゲンという物質がフィブリンという物質に変化し、血液がゼラチン状になることで血液が凝固します。フィブリンを合成するのにトロンビンとプロトロンビンというたんぱく質が必要になります。ビタミンKはプロトロンビンの合成に必要な補酵素として働きます。このため、ビタミンKは血液の凝固に効果があります。その他、ビタミンKは血液の凝固を防ぐ物質の生成にも関与しており、出血している箇所以外の血液が正常に流れるように凝固の抑制にも働きかけています。

 

血管の石灰化を防止する効果

ビタミンK(ビタミンK2)は血管の石灰化の予防効果が報告されています。石灰化とは血管にカルシウムが沈着するすることです。動脈の石灰化は動脈硬化を引き起こす最も重要な症状と認識されています。ビタミンK依存性たんぱく質は血管の石灰化を防ぐ働きをしているため、血管にカルシウムが沈着する石灰化を予防することができます。ビタミンK依存性たんぱく質の1つであるマトリックスGlaたんぱく質(MGP)を欠損したマウスは、全身の動脈にカルシウムが沈着し死亡することが確認されています。また、欧州でビタミンK2摂取量が多い人は動脈硬化による死亡率が低いことが報告されています。心臓病とビタミンK摂取量を調べた研究では、ビタミンK2の摂取量が高い群では低い群と比べて動脈石灰化が抑制され、心臓病による死亡率が半分程度であったことが報告されています。その他、臨床試験においてビタミンKを3年間投与すると血管の弾力性が維持されることが確認されています。このため、ビタミンK(ビタミンK2)は血管の石灰化を抑制することにより、動脈硬化や心臓病を予防する効果があります。

 

骨を丈夫にする効果

ビタミンKは骨形成を促進し、骨の破壊を抑える効果があります。ビタミンKのビタミンK2は骨の代謝に関与するオステオカルシンを活性化させます。この活性により骨組織に対して直接的に骨形成を促進し、骨の破壊を抑える効果があります。また、ビタミンK2は、骨のコラーゲン生産を促進し、骨質を改善する効果もあります。納豆に含まれるビタミンK2を多く食べる習慣のある地方では、納豆をあまり食べない地方よりも骨折が少ないことが知られいます。このため、ビタミンK2が骨折を予防する効果があると考えられています。ビタミンK2は骨粗鬆症の治療薬としても利用されています。

また、骨からカルシウムが排出されるのを抑制する働きもあります。カルシウムが骨から排出されることを抑制する働きがあるため、骨粗鬆症の薬としても使われています。疫学調査でもビタミンKとその関連物質が大腿骨の頚部骨折の危険性を低下させることが報告されています。骨吸収抑制作用に関してはビタミンK1にはなく、ビタミンK2のみにあるので、ビタミンK2の方がより効果があります。

 

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