ビタミンEは、細胞膜などに含まれる脂質が酸化されるのを防ぐ脂溶性ビタミンです。この記事では、ビタミンEが不足したときに出る症状と、不足しやすい人、不足を防ぐ食事をまとめます。
数値と考え方は厚生労働省の日本人の食事摂取基準(2025年版)に基づき、症状はMSDマニュアル家庭版「ビタミンE欠乏症」と国立健康・栄養研究所の「健康食品」の安全性・有効性情報(ビタミンE)で確かめています。
ビタミンE不足の症状が出ることはまれ
2025年版によると、今の日本人の摂取量であれば、必要なビタミンEは足りていると考えられています。国立健康・栄養研究所の情報でも、人でビタミンEの欠乏による症状が見られることはほとんどないとしています。
MSDマニュアルによると、大人は脂肪組織に多くのビタミンEを蓄えているため、病気で吸収が悪くなっても症状が出ることはまれです。症状が出るのは、脂肪を吸収しにくい病気が長く続いた場合や、早く生まれた赤ちゃんなどに限られます。
ビタミンE欠乏症の主な症状
2025年版では、ビタミンEが欠乏すると赤血球がこわれやすくなり、神経の細胞も傷むため、欠乏症として溶血性貧血と神経の症状が挙げられています。
神経や筋肉の症状
MSDマニュアルによると、ビタミンEが欠乏すると次のような症状が現れます。
- 反射が鈍くなる
- 歩きにくくなる
- 体の動きをうまく合わせられなくなる
- 目で見なくても手足の位置が分かる感覚(位置覚)がなくなる
- 筋力が落ちる
これらは、手足の末梢神経や脊髄の神経が傷むことで起こります。
溶血性貧血の症状
ビタミンEが足りないと、赤血球の膜が傷みやすくなり、赤血球がこわれて数が減る溶血性貧血が起こります。国立健康・栄養研究所の情報によると、未熟児では、多価不飽和脂肪酸が多く、鉄を加えた食事で、溶血性貧血が起こることが確認されています。
早産児の症状
MSDマニュアルによると、早く生まれた赤ちゃんは溶血性貧血を起こしやすく、脳内の出血や未熟児網膜症が起こることもあります。生まれたばかりの赤ちゃんでは、筋力が弱いことがあります。早産児には予防のためにビタミンEが与えられることがあります。
赤ちゃんが不足しやすいのは、ビタミンEが胎盤をわずかしか通らず、生まれたときの体の蓄えが少ないためです。早く生まれた赤ちゃんでは、このリスクがさらに高くなります。正期産の赤ちゃんは、ふつうは母乳や人工乳から必要な量を摂れるため、サプリメントはいりません。
旧版の記事で挙げていた症状について
旧版の記事では、ビタミンE不足の症状として、加齢黄斑変性や白内障による見え方の変化、更年期障害の症状(ほてり、冷え、イライラなど)、しみ・しわ・肌荒れを挙げていました。
これらがビタミンEの不足で起こるという根拠は、2025年版やMSDマニュアルには示されていません。また、加齢黄斑変性と白内障については、コクラン・レビュー(2017年)とコクラン・レビュー(2012年)で、ビタミンEのサプリメントで発症を防ぐ効果は見られませんでした。そのため、この記事ではビタミンE不足の症状として扱いません。
ビタミンEが不足しやすい人
- 脂肪を吸収しにくくなる病気がある人(肝臓や胆のうの病気、膵炎など)
- 無βリポたんぱく血症など、脂肪の運び方に関わる生まれつきの病気がある人
- 極端に脂肪を減らした食事を続けている人
- 早く生まれた赤ちゃん
MSDマニュアル プロフェッショナル版では、このほか、栄養を吸収しにくくなる短腸症候群や嚢胞性線維症も原因に挙げています。また、脂肪の吸収には問題がないのに、肝臓でのビタミンEの扱いに異常がある、まれな遺伝性の欠乏症もあるとしています。
上のような病気があって、歩きにくさや手足の感覚の異常に気づいたときは、医師に相談してください。MSDマニュアルによると、診断では症状や診察の結果をもとに、必要に応じて血液中のビタミンEの値を調べます。治療はビタミンEのサプリメントで行います。
不足を防ぐ食事
ビタミンEは、植物油(コーン油、大豆油、サフラワー油など)、ナッツ類、種実類、小麦胚芽、緑の葉野菜に多く含まれます。脂肪と一緒に摂ると吸収されやすくなります。食品ごとの量はビタミンEが多い食品ランキングで確かめられます。2025年版の目安量は、成人の男性で1日6.5〜7.5mg、女性で1日5.0〜7.0mg、妊婦と授乳婦で1日5.5mgです。
サプリメントで多く摂ると、出血しやすくなることがあります。成人の耐容上限量(これ以上摂ると健康障害のリスクが高まる量)は、男性で1日800mg、女性で1日650〜700mgです。血液を固まりにくくする薬を使っている人は、サプリメントを始める前に医師や薬剤師に相談してください。
不足と病気との関係はビタミンEが不足すると起こる病気を確認してください。
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