リンの機能・役割と食事摂取基準

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リン(phosphorus)は原子番号15、元素記号Pの窒素族元素の1つで多量ミネラルに分類されます。リンは、有機リンと無機リンに大別できます。成人の生体内には最大850gのリンが存在し、その85%が骨組織に、14%が軟組織や細胞膜に、1%が細胞外液に存在します。体の維持に必要な必須ミネラルです。有機リンと無機リンについてはリンの種類を参考にしてください。

 

リンの効果・機能

リンは、カルシウムと共にハイドロキシアパタイトとして骨格を形成するだけでなく、ATPの形成、その他の核酸や細胞膜リン脂質の合成、細胞内リン酸化を必要とするエネルギー代謝などに必須の成分です。血清中のリン濃度の基準範囲は、2.5~4.5mg/dLと、カルシウムに比べて広く、食事からのリン摂取量の増減がそのまま血清リン濃度と尿中リン排泄量に影響します。血清リン濃度と尿中リン排泄量は、副甲状腺ホルモン(PTH)、線維芽細胞増殖因子(FGF23)、活性型ビタミンDによって主に調節されています。

 

リンの食事摂取基準

リンの食事摂取量は以下の通りです。

 

リンの食事摂取基準(mg/日)

年齢等目安量(男性)耐容上限量(男性)目安量(女性)耐容上限量(女性)
0~5(月)120120
6~11(月)260260
1~2(歳)500500
3~5(歳)800600
6~7(歳)900900
8~9(歳)1,000900
10~11(歳)1,1001,000
12~14(歳)1,2001,100
15~17(歳)1,200900
18~29(歳)1,0003,0008003,000
30~49(歳)1,0003,0008003,000
50~69(歳)1,0003,0008003,000
70以上(歳)1,0003,0008003,000

 

妊婦の目安量は800mg/日です。妊娠によって必要量が異なることを示唆する報告はないため、成人女性の目安量と同様の値になります。

 

リンを取得できる食物

魚介類、牛乳・乳製品、豆類、肉類などに含まれます。

 

リンが不足した場合の影響

通常の食事摂取で様々な食品に含まれいるため、健康な人は不足することはほとんどありません。リンが不足した場合、食欲不振や体重減少、骨軟化症、くる病、胸郭の変形、筋萎縮、溶血性貧血などになる可能性があります。特にリンは骨や歯に多く存在するた、リンが不足で骨や歯の弱体化やくる病、歯槽膿漏、、骨軟化症、骨や関節、歯の形成障害といった欠乏症が起こる可能性があります。

 

リン不足・欠乏については以下をご覧下ください。

リンの不足と生活習慣病と病気

リンの効果効能と不足欠乏の症状

 

リンの過剰摂取

リンは、様々な食品に含まれており、加工食品などではリン酸塩やピロリン酸、ポリリン酸などの食品添加物としてのリンの使用も多い傾向にあります。使用量までの表示義務がないため、過剰症のリスクがあります。特にリンを過剰摂取し、カルシウムの摂取量が少ない状態が長期間続くと、骨量や骨密度の低下を招きます。その他、腎不全、腎臓結石、低カルシウム血症、腎臓結石になる可能性があります。

 

リンの過剰摂取についてはリンの過剰摂取による副作用・過剰症を確認してください。

 

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