マグネシウムは多くが骨に含まれ、カルシウムとともに骨の健康を保っています。また、体内で300種類以上の酵素の働きを助けています。マグネシウムが不足すると、骨粗鬆症、神経や精神の病気、不整脈、心臓の病気、筋肉の収縮の異常などが起こることが知られています。
この記事では厚生労働省の日本人の食事摂取基準(2025年版)や、国立健康・栄養研究所の情報をもとに、マグネシウムの不足で起こる病気とその検査・治療、生活習慣病との関係をまとめます。
マグネシウムが不足する原因
マグネシウムの不足は、摂取量の不足、腸からの吸収不良、体の外に出ていく量が増えることで起こります。マグネシウムを失わせる利尿薬を長く使っているときや、生活習慣病、アルコール依存症のときには、腎臓から出ていくマグネシウムが増えて不足が見られます。ただし、ふつうの食事をしている健康な人では、不足することはあまりありません。
マグネシウムの摂取基準についてはマグネシウムの働きと1日の摂取量は?推奨量・サプリメントの耐容上限量と酸化マグネシウムの注意を確認してください。
MSDマニュアル家庭版では、血液中のマグネシウムが少なくなる(低マグネシウム血症)原因として、次のようなものも挙げられています。
- 大量の飲酒
- 長く続く下痢
- 胃酸を減らす薬(プロトンポンプ阻害薬)を長く使うこと
- 一部の抗がん剤(シスプラチン)や抗真菌薬(アムホテリシンB)
- 授乳(必要な量が増える)
マグネシウムの不足で起こる症状
血液中のマグネシウムが少なくなると、吐き気、嘔吐、眠気、脱力感、食欲不振、筋肉のけいれん、手のふるえ、性格の変化などが起こります。重いときには、けいれん発作が起こることがあり、特に子どもに多いとされています。また、血液中のカルシウムやカリウムも下がることがあります。胃酸を減らす薬や利尿薬を長く使っていて気になる症状がある人は、医師や薬剤師に相談してください。
低マグネシウム血症の検査と治療
MSDマニュアル家庭版によると、低マグネシウム血症は、血液検査でマグネシウムの値が低いことを確かめて診断します。このとき、血液中のカルシウムやカリウムも低くなっていることがあります。原因を調べるために、ほかの検査をすることもあります。
症状が出ているときや、マグネシウムの低い状態が続くときは、マグネシウムの飲み薬で補います。アルコール使用症の人には、ふつうマグネシウムを補います。マグネシウムの値がとても低く症状が重いときや、口から摂れないときは、筋肉や静脈への注射で補います。
あわせて、低くなっているカルシウムやカリウムも治療し、原因になっている病気があれば、その病気も治療します。
生活習慣病との関係
高血圧
マグネシウムを補うと血圧が下がることを示す分析がある一方、血圧を下げる効果がなかったという報告もあります。サプリメントによるマグネシウムの血圧を下げる働きについては科学的な根拠が十分ではなく、耐容上限量(これ以上摂ると健康障害のリスクが高まる量)との関係もあるため、2025年版ではサプリメントなどでマグネシウムを摂ることは勧められていません。
糖尿病
マグネシウムの摂取量が多いほど2型糖尿病になるリスクが低く、マグネシウムの摂取量が1日100mg増えると、リスクが0.86倍に下がったという分析があります。一方、日本人を対象にした研究では、マグネシウムの摂取と糖尿病の間にはっきりした関係は見られていません。日本人の摂取量が少ないことが原因の1つと考えられています。
メタボリックシンドローム
2022年の中国の研究では、食事からのマグネシウムの摂取量が1日280mg未満の場合、マグネシウムを多く摂るほどメタボリックシンドロームのリスクが下がっていました。
慢性腎臓病
慢性腎臓病の人で、血液中のマグネシウムが少ない(低マグネシウム血症)人は、死亡率が高く、腎臓の機能が早く低下するという報告があります。特に糖尿病性腎症の人では血液中のマグネシウムが下がりやすいとされています。
2025年版では、生活習慣病を防ぐためのマグネシウムの目標量を決めるには科学的な根拠が十分ではないとして、目標量は決められていません。
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