ビタミンB6は水溶性ビタミンの1つで、ピリドキシン、ピリドキサール、ピリドキサミンなどをまとめた呼び名です。体の中では、主にピリドキサール5′-リン酸(PLP)という補酵素の形で働きます。
この記事では、ビタミンB6について言われてきた効果と、現在わかっていることを、厚生労働省の日本人の食事摂取基準(2025年版)と、国立健康・栄養研究所の「健康食品」の安全性・有効性情報(ビタミンB6)をもとに整理します。
ビタミンB6の摂取基準はビタミンB6の機能・役割と食事摂取基準を確認してください。
ビタミンB6の効果・効能
たんぱく質(アミノ酸)の代謝を助ける
ビタミンB6は補酵素として、アミノ酸を別のアミノ酸につくりかえる反応(アミノ基転移反応)などに関わり、主にたんぱく質の代謝を助けます。そのため、たんぱく質を多く摂る人ほど、ビタミンB6が多く必要になります。栄養機能食品では「ビタミンB6は、たんぱく質からのエネルギーの産生と皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です。」と表示することが認められています。
神経伝達物質などをつくる
ビタミンB6は、ヒスタミン、セロトニン、ドーパミンなどをつくる反応(脱炭酸反応)にも関わっています。ビタミンB6が欠乏すると、うつ状態、錯乱、脳波の異常、けいれん発作などが起こることがあります。
皮膚や粘膜・免疫を保つ
ビタミンB6は免疫の維持にも大切です。欠乏すると、脂漏性皮膚炎、舌炎、口角炎、リンパ球の減少などが起こります。
うつ・月経前症候群・つわり・アレルギーなどについて
旧版の記事では、ビタミンB6にうつ病を安定させる効果、月経前症候群(PMS)やつわりをやわらげる効果、高血圧や動脈硬化、脂肪肝を防ぐ効果、アレルギーをやわらげる効果などがあるとしていました。2025年版の食事摂取基準には、これらの効果の記述はありません。この記事では、根拠のある効果として扱いません。
月経前症候群については、9つの臨床試験をまとめた系統的レビューで、ビタミンB6を飲んだ人のほうが症状がよくなったという報告があります。ただし、もとになった試験の多くは質が低く、結論ははっきりしていません。このレビューで検討された量(1日100mgまで)には、耐容上限量を超える量も含まれます。
妊娠初期の吐き気(つわり)については、コクランの系統的レビューで、ビタミンB6を含めてどの方法にも効果を示す質の高い根拠は足りないとされています(報告)。つわりや月経前症候群でビタミンB6を使いたいときは、医師に相談してください。
大腸がんについて
日本の調査では、男性でビタミンB6の摂取量が多いグループほど大腸がんのリスクが低かったという報告があります。ただし、報告の数が少ないため、2025年版では目標量は決められていません。
ビタミンB6が不足しやすい人
ビタミンB6が不足するのは、ビタミンB6の少ない食事を続けたときや、ビタミンB6の働きを妨げる薬などを使ったときです。ビタミンB6だけが不足することは少なく、ほかのビタミンの不足と同時に起こることが多いとされています。また、たんぱく質を多く摂る人や、食事制限でエネルギーが足りていない人は、必要量が増えます。
MSDマニュアル家庭版では、不足の原因として、吸収不良を起こす病気、アルコール使用症(お酒の飲みすぎ)、血液透析でビタミンB6が多く失われること、重いたんぱく質・エネルギーの低栄養が挙げられています。ビタミンB6の働きを妨げる薬には、抗てんかん薬、結核の治療薬のイソニアジド、高血圧の治療薬のヒドララジン、副腎皮質ステロイド、関節リウマチなどに使うペニシラミンがあります。
ビタミンB6の不足・欠乏については以下を確認してください。
ビタミンB6を多く含む食品
ビタミンB6は、レバー、魚、肉、卵、乳製品、豆類などに含まれます。
国立健康・栄養研究所のHFNetによると、1回に食べる量に含まれるビタミンB6は、豚ヒレ(焼き)100gで0.76mg、かつお(生)80gで0.61mg、鶏むね肉(皮つき、焼き)100gで0.60mg、しろさけ(焼き)80gで0.46mg、バナナ100gで0.38mg、玄米ごはん150gで0.32mgです。成人の推奨量は男性1.4~1.5mg/日、女性1.2mg/日なので、豚ヒレ100gだけで女性の推奨量の半分以上になります。ほかの食品の量はビタミンB6が多い食品ランキングで調べられます。
サプリメントで摂るときの注意
ふつうの食品から摂っている人で、ビタミンB6の摂りすぎによる健康障害が起きたという報告はありません。一方、サプリメントなどでピリドキシンを大量に摂る(1日に数gを数か月程度)と、手足のしびれなどの神経の障害(感覚性ニューロパシー)が起こることがわかっています。骨の痛みや筋力の低下などが起こることも知られています。
成人の耐容上限量(これ以上摂ると健康障害のリスクが高まる量)は、男性が1日50~60mg、女性が1日40~45mgです。ビタミンB6は水溶性ですが、サプリメントを使うときはこの量を超えないように注意してください。
ビタミンB6は薬の効き目に影響することもあります。HFNetではパーキンソン病の治療薬のレボドパと一緒に使うと、レボドパの効き目が弱まることがあるとされています。薬を使っている人がビタミンB6のサプリメントを使うときは、医師・薬剤師に相談してください。薬との関係はビタミンB6の機能・役割と食事摂取基準でも説明しています。
ビタミンB6の過剰摂取についてはビタミンB6の過剰摂取による病気・過剰症を確認してください。
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