ナイアシンが不足すると起こる病気は?ペラグラと脂質異常症との関係

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ナイアシン(ビタミンB3)は、体内でNADやNADPという補酵素に変わり、エネルギーをつくる反応や、脂肪酸の合成など多くの代謝に関わるビタミンです。この記事では、ナイアシンが不足すると起こる病気(ペラグラ)とその検査・治療、脂質異常症などの生活習慣病との関係をまとめます。

数値と考え方は厚生労働省の日本人の食事摂取基準(2025年版)に基づき、症状や原因はMSDマニュアル家庭版「ナイアシン欠乏症」と国立健康・栄養研究所の「健康食品」の安全性・有効性情報(ナイアシン)で確かめています。

 

ナイアシンの不足で起こる病気

ペラグラ(ナイアシン欠乏症)

ナイアシンが欠乏すると、ペラグラという病気になります。主な症状は皮膚炎、下痢、精神神経症状で、治療しないと命に関わります。

  • 皮膚:日光が当たる手や腕、足、首、顔に、日焼けに似た左右対称の赤い発疹が出ます。長引くと茶色くなり、うろこ状になります。
  • 口と消化管:舌や口が赤く腫れ、口内炎ができます。吐き気、嘔吐、便秘、下痢が起こります。
  • 神経:初めは疲れやすさ、不眠、無気力が現れ、進むと錯乱、記憶障害、幻覚、抑うつなどが起こることがあります。

症状の詳しい説明はナイアシン不足の症状を確認してください。

トリプトファンの不足とペラグラ

ナイアシンは、必須アミノ酸のトリプトファンからも体内でつくられます。2025年版では、ナイアシンそのものよりも、トリプトファンの不足のほうがペラグラの起こりやすさに大きく影響するとしています。トリプトファンは成人でたんぱく質1g当たり6mgが推定平均必要量で、ナイアシンの栄養状態を良く保つには、たんぱく質1g当たり12mgを摂ることが望ましいとされています。

そのため、たんぱく質の少ない食事や、トリプトファンの少ないとうもろこしを主食にしている地域でペラグラが起こりやすくなります。

 

ペラグラの検査と治療

MSDマニュアル家庭版によると、ペラグラは、ふだんの食事の内容と症状から診断されます。尿に出るナイアシンの代謝物を測ると診断の助けになりますが、いつも測れるとは限りません。ナイアシンを補って症状が良くなれば、診断が確定します。

治療にはナイアシンのうち、ニコチン酸アミドを毎日服用します。もう一つの形のニコチン酸と比べ、皮膚が赤くなる、かゆい、ほてるといった症状を起こしにくいためです。ペラグラの人はほかの栄養素も不足していることが多いため、ほかのビタミンB群もあわせて補い、バランスのよい食事を摂ることが大切です。

 

生活習慣病との関係

脂質異常症

ナイアシン(ニコチン酸)を大量に使う方法は、脂質異常症の治療法として長く使われてきました。2025年版では、韓国の3つのコホート研究をまとめた解析で、食事から摂るナイアシンが多い人ほど脂質異常症のリスクが低い関係が見られたと紹介しています。ただし、予防のための摂取量を決めるには根拠がまだ足りないとして、目標量は決められていません。

薬として大量に使う場合についても、大規模な試験で慎重な結果が出ています。動脈硬化による病気がある約2万5千人を対象にしたHPS2-THRIVE試験では、コレステロールを下げる薬(スタチン)にナイアシン製剤を加えると、LDLコレステロールは下がり、HDLコレステロールは上がりました。しかし、心筋梗塞や脳卒中などは減らず、糖尿病の悪化や消化器の症状、感染症、出血などの重い副作用が増えたと報告されています。

旧版の記事では、ナイアシンが不足すると脂質異常症や動脈硬化が重くなり、ナイアシンの摂取がそれらの予防に役立つと書いていました。上の結果をふまえ、この記述は改めました。脂質異常症の治療については脂質異常症の記事も参考にしてください。

糖尿病・循環器の病気

2025年版では、糖尿病の発症とナイアシンの摂取には関連がないという研究もあるとしています。2型糖尿病や循環器の病気がある人にナイアシンを補った試験は、多くがふつうの食品から摂れる量を超えており、結果も一致していません。そのため、重症化予防のための量も決められていません。

うつ病などの精神の病気

旧版の記事では、ナイアシンの不足がうつ病や統合失調症の原因になると書いていました。ペラグラが進むと抑うつなどの精神症状が出ることはありますが、ふつうのうつ病や統合失調症がナイアシンの不足で起こる、またはナイアシンで良くなるという確かな根拠は見当たらないため、削除しました。

 

ナイアシンが不足しやすい人

  • お酒を多く飲む人(たんぱく質やほかのビタミンの不足とともに起こりやすい)
  • とうもろこしを主食にしている人
  • 下痢が続く人、肝硬変の人
  • 結核の薬(イソニアジド)を長く飲んでいる人
  • トリプトファンの吸収や利用がうまくいかない病気(ハートナップ病、カルチノイド症候群)がある人

日本ではペラグラはまれですが、アルコール依存症の人に、たんぱく質やほかのビタミンの不足とともに見られることがあります。ナイアシンが不足する人は、たんぱく質、ビタミンB2、ビタミンB6も不足していることが多いとされています。

 

予防のための食事

ナイアシンは魚介類、肉類、きのこ類、種実類などに含まれます。トリプトファンを含むたんぱく質の多い食品もナイアシンの供給源になります。ナイアシンは熱や光に強い一方、水に溶けやすいため、煮物にすると煮汁に移ります。

サプリメントや強化食品のナイアシンには耐容上限量(これ以上摂ると健康障害のリスクが高まる量)が決められています。脂質異常症などの治療でナイアシン製剤を使う場合は、医師の指示に従ってください。

ナイアシンの摂取基準についてはナイアシンの機能・役割と食事摂取基準を確認してください。

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