ナイアシンの効果・効能

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ナイアシンとはニコチン酸とニコチン酸アミドの総称で、ビタミンB3ともいいます。糖質、脂質、たんぱく質の代謝に不可欠で、循環系、消化系、神経系の働きを促進するなどの働きがあります。エネルギー代謝中の酸化還元酵素の補酵素として重要です。ナイアシンが関与して生産されるエネルギーの総量は、体内で必要とされるエネルギーの薬60~70にもなると言われ、体内に存在する酵素の約500種がナイアシンを必要としているといわれています。ナイアシンは体内では活性型ニコチン酸であるニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)やニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)となって、エネルギーを産生する際に働く酸化還元酵素の補酵素として働き、栄養素に存在する水素を奪い、奪った水素をミトコンドリアに存在する電子伝達系に送り込み、そこで水素が受け渡される過程でエネルギーが生成されるのに重要な役割を担っています。代謝以外にも必要なビタミンで、抗酸化作用やホルモンの合成に関わります。

 

代謝

ナイアシンはエネルギー産生と関わりがあります。体内でエネルギーとして使われるATP(アデノシン三リン酸)の生成は主に細胞のミトコンドリアの電子伝達系で行われます。糖質、たんぱく質、脂質の代謝経路である解糖系やクエン酸回路、β-酸化の過程で脱水素酵素の働きにより水素が放出されさる際に、水素を受け取るのがナイアシンであるニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)です。ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)は水素を受け取りニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)なり、電子の受け渡しが行われます。この過程でるエネルギー源であるATPが生成されます。このため、エネルギーの水素を受け取り、それを電子伝達系まで運び、ATPを生成する橋渡しの役割をナイアシンが担っています。また、ナイアシンには脂質の代謝を促進する働きもあり、1日に1500mgのナイアシン摂取で中性脂肪やコレステロール値が低下することが確認されています。ビタミンEとナイアシンの合剤が高脂血症や動脈硬化の医薬品としても使われているため、高脂血症や動脈硬化の改善に効果があるといえます。

 

アルコールの分解・二日酔いの予防効果

ナイアシンはアルコールの分解にかかわります。このため、ナイアシンは二日酔いを防ぐ効果があります。お酒のアルコール分は腸で吸収され、血液によって肝臓に運ばれます。肝臓でアルコールはアルコール脱水素酵素(ADH)によってアセトアルデヒドに分解され、アセトアルデヒドはアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)によって酢酸に分解・解毒されます。その時に働くアルコール分解酵素がのアルコール脱水素酵素(ADH)とアルデヒド脱水素酵素(ALDH)がナイアシンであるニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)を補酵素として使用します。アセトアルデヒドは、アルコールの主成分であるエタノールが酸化作用によって分解されることにより、体内に生じる物質で、肝機能の活動を阻害する有害物質となります。このため、アセトアルデヒドが体内に残っていると、頭痛や吐き気などの二日酔いが症状として現れます。お酒を対象に摂取した際にナイアシンが大量消費されるため、ナイアシンが不足すると、体内にアセトアルデヒドが残り、二日酔いや、頭痛・吐き気などの原因となります。

 

血行を促進する効果

ナイアシンは毛細血管を広げる作用があるため、血行がよくなり冷え・肩こり・頭痛を改善し、脳神経の働きをよくする効果があります。

 

抗酸化作用

ナイアシンには抗酸化作用があります。体を構成する細胞は不飽和脂肪酸と呼ばれる細胞膜によって覆われていますが、活性酸素はこの不飽和脂肪酸を酸化させて過酸化脂質を形成し、その結、老化の進行やガンの誘発などの原因となります。過酸化脂質は活性酸素除去酵素であるグルタチオンペルオキシダーゼによって水とアルコールに分解されます。この際グルタチオンが消費され酸化型グルタチオンとなります。ナイアシンはニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADPH)となり酸化型グルタチオンをグルタチオンに戻す働きがあります。 このため、ナイアシンには抗酸化作用があり、老化やガンの進行を予防する効果があります。

 

皮膚を健康に保つ効果

ナイアシンは、他の体内物質と結びつくと、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)という物質になります。このNADが補酵素として働くのですが、その際、さらに他の物質と結びつき、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)という物質へ変化していきます。ナイアシンからできるニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)はDNAをつくることにも関わっています。細胞の分裂には特にDNAを複製する必要があるため、ナイアシンは細胞の生まれ変わりに必要です。また、ナイアシンには血行を促進して代謝を活性化し皮膚の健康を維持する働きがあります。このため、ナイアシンは皮膚のターンオーバーを促し、ニキビや肌荒れにも効果があるとされています。また、ニキビなどの肌トラブルだけでなく、しみやしわなども防ぐためアンチエイジングにも役立ちます。ナイアシンには抗酸化作用もあり、健康なお肌を保つ働きがあります。体の全ての細胞は不飽和脂肪酸を含む細胞膜によって覆われており、紫外線や喫煙などによって増える活性酸素は、この細胞膜を攻撃して過酸化脂質という有害な物質に変換させてしまいます。この酸化作用を抑える働きを抗酸化作用と呼び、ナイアシンにもこの働きがあります。このため、ナイアシンは皮膚を健康に保つ効果があります。また、同様に粘膜にも同じことがいえ、目の粘膜の保護や口内炎などの予防にもつながります。特に消耗が激しい口や胃腸に効果があります。最近ではナイアシンアミドを含む化粧品があり、角質層のセラミドを増やして保水力を高めたり、界面活性剤などの刺激を防ぐ作用もあるとされています。またメラニンの抑制作用もあるため色素沈着などニキビ跡の予防にも役立ちます。

 

髪を健康に保つ効果

ナイアシンは健康な髪に必要なビタミンです。髪の成分はたんぱく質からなるケラチンですが、アミノ酸からこの髪の成分であるケラチンを合成するためにはナイアシンが必要です。また、ナイアシンは毛細血管を広げて血行を良くする働きがあります。このため、頭皮の血行を促進し、発毛、抜け毛を防ぐ効果があります。

 

生活習慣病の予防効果

ナイアシンであるニコチン酸誘導体には動脈硬化などの脂質異常症を予防・治療する効果、悪玉コレステロール(LDL)の値を低下させ、脂質の分解を促進させる効果があります。分解されるのは悪玉コレステロール(LDL)だけで、善玉コレステロール(HDL)は分解されないという特徴があり、さまざまな脂質異常症に活用されています。脂質異常症は、分解されきれなかった糖質や脂質が血管の中に溜まり、血液の流れを阻害する壁となってしまう症状です。生活習慣病の原因ともなっています。このため、動脈硬化、高脂血症、脳卒中、心不全、肥満の予防に役立ちます。なお、ビタミンEとナイアシンの合剤が高脂血症や動脈硬化の医薬品としても使われています。医薬的に薬としても用いられている手法として、大量にナイアシンを投与することで、血液中のコレステロールや中性脂肪を減らし、動脈硬化などの脂質異常症を防ぐ働きもあります。悪玉コレステロール(LDL)値を低下させ、脂質の代謝を改善します。

 

うつ病・統合失調症の改善効果

ナイアシンの効果として精神疾患のうつや統合失調症に効果が期待されています。うつに関係するといわれるセロトニン合成など、ナイアシンはそのすべての神経伝達物質に関わっているビタミンです。統合失調症にはナイアシンレセプターが関わっているとしている論文あります。

 

ホルモンの合成

ナイアシンはホルモンの合成に関与し、特に性ホルモンを作る補助を行う効果があり、性ホルモン、コルチゾン、チロキシン、インスリン、メラトニンの合成に関与します。特に性ホルモンであるエストロゲン(卵胞ホルモン)やプロゲストロン(黄体ホルモン)などの性ホルモンの合成に重要な役割を担っています。

 

 

ナイアシンの摂取基準については以下を確認してください。

ナイアシンの機能・役割と食事摂取基準

 

ナイアシンの不足・欠乏については以下を確認してください。

ナイアシンの不足と生活習慣病・病気

ナイアシンの不足・欠乏の症状

 

ナイアシンの過剰摂取については以下を確認してください。

ナイアシンの過剰摂取による病気・過剰症

 

 

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