ナイアシンの機能・役割と食事摂取基準

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ナイアシン活性を有する主要な化合物は、ニコチン酸、ニコチンアミド、トリプトファンで、水溶性ビタミンに分類されます。またナイアシンはビタミンB3ともいいます。狭義では、ニコチン酸とニコチンアミドを指し、広義では、トリプトファンを含みます。トリプトファンはアミノ酸(たんぱく質)の一種です。ここではナイアシン(mgNE)=ナイアシン(mg)+1/60トリプトファン(mg)をナイアシンとしています。なお、ナイアシンはニコチン酸という言葉が有害物質であるニコチンと混同されるのを避けるために付けられたもので、タバコに関連するニコチンとは関係がありません。

 

ナイアシンの機能・役割

ナイアシンは循環系、消化系、神経系の働きを促進する役割があります。ナイアシン活性を有する主要な化合物のニコチン酸、ニコチンアミドは、体内でピリジンヌクレオチドに生合成された後、アルコール脱水素酵素やグルコース─6─リン酸脱水素酵素、ピルビン酸脱水素酵素、2─オキソグルタル酸脱水素酵素等、酸化還元反応の補酵素として作用します。また、エネルギー減であるATP産生、ビタミンC・ビタミンEを介する抗酸化系、脂肪酸の生合成、ステロイドホルモンの生合成等の反応に関与しています。ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)は、アデノシン二リン酸(ADP-)リボシル化反応の基質となり、DNAの修復、合成、細胞分化の役割もあります。

 

ナイアシンの効果・効能については以下を確認してください。

ナイアシンの効果・効能

 

ナイアシンの食事摂取基準

ナイアシンの食事摂取基準は以下の通りです。

 

ナイアシンの食事摂取基準(mgNE/日)(男性)

年齢等推定平均必要量推奨量目安量耐容上限量
0~5(月)32
6~11(月)3
1~2(歳)5560(15)
3~5(歳)6780(20)
6~7(歳)79100(30)
8~9(歳)911150(35)
10~11(歳)1113200(45)
12~14(歳)1215250(60)
15~17(歳)1416300(75)
18~29(歳)1315300(80)
30~49(歳)1315350(85)
50~69(歳)1214350(80)
70以上(歳)1113300(75)

 

ナイアシンの食事摂取基準(mgNE/日)(女性)

年齢等推定平均必要量推奨量目安量耐容上限量
0~5(月)32
6~11(月)3
1~2(歳)4560(15)
3~5(歳)6780(20)
6~7(歳)78100(25)
8~9(歳)810150(35)
10~11(歳)1012200(45)
12~14(歳)1214250(60)
15~17(歳)1113250(65)
18~29(歳)911250(65)
30~49(歳)1012250(65)
50~69(歳)911250(65)
70以上(歳)810250(60)

※NE=ナイアシン当量=ナイアシン+1/60トリプトファン
※ニコチンアミドのmg量、( )内はニコチン酸のmg量。参照体重を用いて算定
※単位はmg/日

妊婦の場合も上記の表を参照してください。

 

ナイアシンを取得できる食物

魚介類、肉類、海藻類、種実類などに含まれます。

 

ナイアシンが不足した場合の影響

ナイアシンが欠乏すると、ナイアシン欠乏症(ペラグラ)が発症します。ペラグラの主症状は、皮膚炎、口内炎、下痢、神経炎、精神神経症状です。様々な症状ですが致命的でない症状です。

 

ナイアシンの不足・欠乏については以下を確認してください。

ナイアシンの不足と生活習慣病・病気

ナイアシンの不足・欠乏の症状

 

ナイアシンの過剰摂取

ニコチンアミドは動物性食品に存在しますが、高い食品でも10mg/100g程度で、ニコチン酸は植物性食品に存在しますが、高い食品でも数mg/100g程度です。このため、通常の食品を摂取している人で、過剰摂取による健康障害が発現したという報告はありません。ただし、通常の食品以外の場合、摂取量に応じて様々な症状が出る場合が確認されています。ナイアシンを1日100mg以上の摂取で皮膚が赤くなり(皮膚紅潮)ヒリヒリしたり、痒みが出る(掻痒感)がでます。これをナイアシンフラッシュと呼び、独特の感覚を引き起こします。ナイアシン徐放剤を1日2000mg以上で肝障害の可能性があります。ナイアシンアミドを1日3000mg以上の摂取で肝障害の可能性があります。また、高用量では血糖値を上昇させる可能性があり、糖尿病では注意が必要です。同様に、高用量では尿酸値を上昇させる可能性があり痛風では注意が必要です。

 

ナイアシンの過剰摂取については以下を確認してください。

ナイアシンの過剰摂取による病気・過剰症

 

 

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