マグネシウムはほとんどすべての体の合成反応や代謝の反応に欠かせないミネラルです。体の中のマグネシウムの50~60%は骨にあり、カルシウムとともに骨の健康を保っています。
この記事では厚生労働省の日本人の食事摂取基準(2025年版)や、国立健康・栄養研究所の情報をもとに、マグネシウムの働きと、期待されている効果について現在わかっていることを整理します。マグネシウムを多く含む食品も紹介します。
マグネシウムの効果・効能
酵素の働きを助ける
マグネシウムは300種類以上の酵素の反応で補酵素として働いています。そのため、エネルギーの代謝をはじめ、ほとんどすべての合成反応や代謝の反応に必要です。
骨の健康を保つ
体の中のマグネシウムの多くは骨にあり、骨の弾力を保つ働きをしています。血液中のマグネシウムが減ると、骨に蓄えられたマグネシウムが使われます。
神経や筋肉の働き
マグネシウムは、神経が刺激を伝える働き、体液のバランスを保つ働き、ホルモンの分泌、筋肉の収縮など、多くの生命活動に関わっています。
血圧を下げる効果
マグネシウムを補うと血圧が下がることを示す分析がある一方、血圧を下げる効果がなかったという報告もあります。2025年版ではサプリメントによるマグネシウムの血圧を下げる働きについて、科学的な根拠は十分ではないとされています。
34の試験をまとめた分析では、1日368mg(中央値)のマグネシウムを3か月ほど補うと、上の血圧が2.00mmHg、下の血圧が1.78mmHg下がりました。この量はサプリメントなどから摂るマグネシウムの耐容上限量(これ以上摂ると健康障害のリスクが高まる量)である成人1日350mgを超えています。
糖尿病の予防
マグネシウムの摂取量が多いほど2型糖尿病になるリスクが低く、摂取量が1日100mg増えるとリスクが0.86倍に下がったという分析があります。一方、日本人を対象にした研究では、はっきりした関係は見られていません。
精神の安定・うつ病・頭痛
旧版の記事ではマグネシウムに精神を安定させる効果や、うつ病・片頭痛を改善する効果があるとしていました。2025年版の食事摂取基準では、こうした効果は取り上げられておらず、この記事では根拠のある効果として扱いません。
マグネシウムの不足・欠乏の症状
マグネシウムが不足すると、骨粗鬆症、神経や精神の病気、不整脈、心臓の病気、筋肉の収縮の異常などが起こることが知られています。
マグネシウムは精製や加工をしていない食品に広く含まれているため、ふつうの食事をしている健康な人では、不足することはほとんどありません。マグネシウムを失わせる利尿薬を長く使っているときや、アルコール依存症のときには、不足が見られます。
MSDマニュアル家庭版では、血液中のマグネシウムが低くなる低マグネシウム血症の原因として、大量の飲酒、長引く下痢、利尿薬や抗がん剤のシスプラチン、胃酸を減らす薬(プロトンポンプ阻害薬)の長い使用などが挙げられています。症状は、吐き気、嘔吐、眠気、脱力感、筋肉のけいれん、ふるえ、食欲不振などで、低カルシウム血症や低カリウム血症を一緒に起こすことがあります。
マグネシウムの不足についてはマグネシウムの不足と生活習慣病と病気を確認してください。
マグネシウムを多く含む食品
マグネシウムは体のすべての細胞や骨にあるため、精製・加工していない食品に広く含まれています。
1食あたりのマグネシウムの量の例は次のとおりです(HFNetより。日本食品標準成分表2020年版(八訂)の値)。
- がんもどき100g:98mg
- 絹ごし豆腐150g:75mg
- うまづらはぎ70g:61mg
- ほたてがい100g:59mg
- そば(ゆで)200g:54mg
- きんめだい70g:51mg
- 生揚げ75g:41mg
- アーモンド(フライ味付け)15g:41mg
- ほうれん草(ゆで)80g:32mg
- バナナ100g:32mg
2025年版の推奨量は、18歳以上の男性で1日330~380mg、女性で270~290mgです(年齢区分ごとに値が違います)。2019(令和元)年の国民健康・栄養調査では、平均の摂取量は男性で1日261mg、女性で235mgでした。
食品ごとの含有量はマグネシウムが多い食品ランキングを確認してください。
サプリメントで摂るときの注意
サプリメントなど食品以外からマグネシウムを摂りすぎると、下痢が起こることがあります。食品以外から摂る量の耐容上限量は、成人で1日350mgです。2025年版では、サプリメントなどでマグネシウムを摂ることは勧められていません。
便秘の薬などに使われる酸化マグネシウムでは、腎臓の働きが落ちている人、高齢の人、便秘の人が長く飲み続けた場合に、血液中のマグネシウムが高くなりすぎる高マグネシウム血症が起こることがあり、国内でも死亡を含む副作用が報告されています。このような人は特に注意が必要です。
酸化マグネシウムは、一部の抗菌薬や骨粗鬆症の薬(ビスホスホン酸塩)などと一緒に飲むと、その薬の吸収を妨げることがあります。薬の飲み合わせはマグネシウムの働きと1日の摂取量は?の記事を確認してください。
マグネシウムの過剰摂取についてはマグネシウム過剰摂取による副作用(過剰症)を確認してください。
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