ふつうの食品だけを食べている人で、葉酸の摂りすぎによる健康障害が起きたという報告はありません。一方、サプリメントや葉酸を加えた食品に含まれる葉酸(プテロイルモノグルタミン酸)は、摂りすぎると健康障害を起こしうると考えられています。
この記事では厚生労働省の日本人の食事摂取基準(2025年版)や、国立健康・栄養研究所の情報をもとに、葉酸を摂りすぎたときに起こることと、薬やサプリメントの注意をまとめます。
葉酸の耐容上限量
葉酸の耐容上限量(これ以上摂ると健康障害のリスクが高まる量)は、サプリメントや葉酸を加えた食品など、ふつうの食品以外から摂る葉酸に当てはまります。成人では、18~29歳と65歳以上が1日900µg、30~64歳が1日1,000µgです。
子どもの耐容上限量は1~2歳の1日200µgから、年齢が上がるにつれて高くなります。年齢別の値は次のとおりで、男女とも同じです。
| 年齢 | 耐容上限量(µg/日、男女とも) |
|---|---|
| 1~2歳 | 200 |
| 3~5歳 | 300 |
| 6~7歳 | 400 |
| 8~9歳 | 500 |
| 10~11歳 | 700 |
| 12~14歳 | 900 |
| 15~17歳 | 900 |
| 18~29歳 | 900 |
| 30~49歳 | 1,000 |
| 50~64歳 | 1,000 |
| 65~74歳 | 900 |
| 75歳以上 | 900 |
※日本人の食事摂取基準(2025年版)の値です。葉酸(プテロイルモノグルタミン酸、分子量=441.4)相当量で、サプリメントや葉酸を加えた食品に含まれる葉酸に当てはまります。0~11か月の乳児の値はありません。
なお、妊娠を計画している女性、妊娠の可能性がある女性、妊娠初期の妊婦は、胎児の神経管閉鎖障害のリスクを減らすため、ふつうの食品以外から葉酸を1日400µg摂ることが望まれるとされています。
葉酸の摂取基準については葉酸の機能・役割と食事摂取基準を確認してください。
葉酸を摂りすぎたときに起こること
ビタミンB12の欠乏に気づきにくくなる
ビタミンB12が欠乏している人が葉酸を大量に摂ると、貧血はよくなるため、ビタミンB12の欠乏に気づきにくくなります。その一方で、神経の症状が現れたり悪くなったりした例が多く報告されています。プテロイルモノグルタミン酸を1日5mg以上摂ると、神経症状がはっきり現れることが知られています。
天然の葉酸と、サプリメントなどに使われる合成の葉酸の違いについては、天然葉酸と合成葉酸の違いを参考にしてください。
がんとの関係を調べた研究
葉酸のサプリメントを摂ると、がんが増えるかどうかも調べられています。葉酸とプラセボ(偽薬)を比べた13件のランダム化比較試験、約5万人のデータをまとめたメタアナリシス(2013年)では、平均5年あまり葉酸を摂っても、がん全体の発生も、大腸・前立腺・肺・乳房などの部位ごとのがんの発生も、はっきりとは増えも減りもしませんでした。ただし、これは治療を始めてから約5年間の結果です。この結果は、耐容上限量を超えて摂ってよいという意味ではありません。
葉酸の薬で報告されている副作用
葉酸の薬(フォリアミン)は、葉酸欠乏症の治療などに、成人で1日5~20mg使われます。これは医療用の薬の量です。添付文書には、副作用として紅斑やかゆみ、全身のだるさ、食欲不振、吐き気、むくみ、体重の減少があげられています(頻度は不明)。悪性貧血の人に使うと、血液の状態はよくなっても神経の症状には効かないため、ビタミンB12の薬と併用することとされています。
代謝されないまま血液に残る葉酸
合成の葉酸を飲むと、体の中で変換されなかった分が、そのままの形で血液に現れることがあります。米国オレゴン州立大学ライナス・ポーリング研究所の解説によると、これが健康に悪い影響を与えるという根拠はかなり限られています。ビタミンB12が欠乏している60歳以上の人では、血液の異常や認知機能の低さとの関連が報告されています。一方、妊娠中の母親の濃度と、乳児のアレルギーや幼児の自閉的な傾向、言葉の遅れとの関連は、観察研究では見られませんでした。
腎臓病の人で調べた試験
糖尿病による腎臓病の患者238人を対象にしたランダム化比較試験DIVINeでは、葉酸2.5mg、ビタミンB6 25mg、ビタミンB12 1mgを毎日飲んだ人は、プラセボの人より腎臓の働きの低下が大きく、心筋梗塞、脳卒中、死亡などを合わせた発生も約2倍でした。3種類を一緒に飲んだ試験なので、葉酸だけの影響は分かりません。腎臓の病気がある人は、サプリメントを使う前に医師に相談してください。
サプリメントで摂るときの注意
葉酸のサプリメントを使うときは、耐容上限量を超えないようにしてください。ビタミンB12が不足しやすい高齢者や、胃を切除した人などは、医師や薬剤師に相談してください。
薬を使っている人も注意が必要です。同じ解説によると、コレステロールを下げる薬のコレスチラミンやコレスチポールと同時に飲むと、葉酸の吸収が減ることがあります。フェニトインなどの抗てんかん薬やメトトレキサートを使っている人は葉酸が不足しやすいことがありますが、自分の判断でサプリメントを足さず、医師に相談してください。
葉酸を含む栄養機能食品は、1日に摂る目安の量に含まれる葉酸が72~200µgの範囲と決められています。「本品は、多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。1日の摂取目安量を守ってください。」「葉酸は、胎児の正常な発育に寄与する栄養素ですが、多量摂取により胎児の発育が良くなるものではありません。」という注意の表示も必要です(国立健康・栄養研究所 HFNet)。妊娠を計画している人も、たくさん飲めばよいわけではありません。複数のサプリメントを使うときは、表示を見て合計の量を確かめてください。
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