葉酸が不足すると起こる病気は?貧血・神経管閉鎖障害と脳卒中との関係

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葉酸は、DNAの材料づくりやアミノ酸の代謝に関わり、細胞が増えるときに欠かせないビタミンです。赤血球をつくることや、おなかの赤ちゃんが正常に育つことにも関わっています。この記事では、葉酸が不足すると起こる病気とその検査・治療、生活習慣病との関係、不足しやすい人をまとめます。

数値と考え方は厚生労働省の日本人の食事摂取基準(2025年版)に基づき、症状や原因はMSDマニュアル家庭版「葉酸欠乏症」と国立健康・栄養研究所の「健康食品」の安全性・有効性情報(葉酸)で確かめています。

 

葉酸の不足で起こる病気

巨赤芽球性貧血

葉酸が不足すると、細胞の分裂がうまく進まず、造血の働きに異常が起こります。赤血球が正常に育たず、大きく未熟な赤血球ができる巨赤芽球性貧血になります。2025年版の推定平均必要量も、この貧血を防ぐことを目安に決められています。

貧血はゆっくり進み、疲れやすさが最初の症状になることがあります。顔色が青白い、いらいらする、息切れ、めまいなどが現れ、重くなると舌の赤みや痛み、下痢、体重の減少などが起こることがあります。

症状の詳しい説明は葉酸不足の症状を確認してください。

ビタミンB12不足との見分け

ビタミンB12が不足しても同じ種類の貧血が起こるため、医療機関では血液検査で両方の値を調べます。ビタミンB12が不足している人が葉酸を大量に摂ると、貧血は良くなっても、ビタミンB12不足による神経の障害は良くならず、悪くなるおそれがあります。

胎児の神経管閉鎖障害

おなかの赤ちゃんの脳や脊髄のもとになる神経管は、妊娠のごく初期にできあがります。この時期に葉酸が不足していると、神経管がうまく閉じない神経管閉鎖障害(二分脊椎や無脳症など)のリスクが高まります。

神経管閉鎖障害は遺伝などさまざまな要因で起こり、葉酸だけで防げるものではありません。それでも、受胎の前後に葉酸のサプリメントを摂るとリスクが下がることは、多くの介入試験で明らかになっています。ランダム化比較試験をまとめたコクラン・レビュー(2015年)では、葉酸を毎日摂った女性は、摂らなかった女性に比べて神経管閉鎖障害が約3分の1に減っていました(質の高い根拠)。

そのため2025年版では、妊娠を計画している女性、妊娠の可能性がある女性、妊娠初期の妊婦は、ふつうの食品以外の食品(サプリメントや葉酸を加えた食品)から葉酸を1日400µg摂ることが望まれるとしています。

高ホモシステイン血症

葉酸が不足すると、血液中のホモシステインというアミノ酸が増えます。ホモシステインが高いことは、動脈硬化の危険因子とされています。

 

葉酸欠乏症の検査と治療

MSDマニュアル家庭版によると、葉酸欠乏症は血液検査の結果から診断されます。貧血や栄養不足の人の血液検査で大きな赤血球が見つかったときは、血液中の葉酸の値を測ります。値が低ければ、葉酸欠乏症が疑われます。

このとき、ビタミンB12の値もあわせて測ります。上の「ビタミンB12不足との見分け」のとおり、葉酸で治療を始める前に、ビタミンB12の不足ではないことを確かめる必要があるためです。

治療では葉酸を飲み薬で毎日補います。多くの場合、これで葉酸欠乏症は良くなるとされています。葉酸の吸収や利用を妨げる薬を使っている人では、欠乏を防ぐために葉酸を補うことがあります。

 

生活習慣病との関係

脳卒中・心筋梗塞

2025年版では、葉酸の摂取量が多い人ほど、脳卒中や心筋梗塞などの循環器の病気のリスクが低いという報告が複数あるとしています。ただし、どれくらい摂ればよいかははっきりせず、介入試験も十分ではないため、目標量は決められていません。

介入試験では、結果が病気によって分かれています。

  • 中国の高血圧の成人約2万人を対象にしたランダム化比較試験(CSPPT、2015年)では、降圧薬に葉酸0.8mgを加えたグループで、初めての脳卒中が少なくなりました(2.7%対3.4%)。心筋梗塞や死亡には差がありませんでした。もともと葉酸の摂取が少ない地域での結果です。
  • ビタミンB6・葉酸・ビタミンB12でホモシステインを下げた試験をまとめたコクラン・レビュー(2017年)では、心筋梗塞や死亡は減らず、脳卒中がわずかに少なかっただけでした。

ホモシステインを下げれば心臓病を防げる、とまでは言えないのが現在の状況です。

がん

旧版の記事では、葉酸が食道がんや胃がん、大腸がんなどのリスクを下げると書いていました。2025年版では、葉酸とがんとの関係は目標量の根拠として扱われておらず、この記事で使った資料でも確かめられなかったため、この記述は削除しました。

旧版から削除した内容

旧版の記事にあった、葉酸の不足でダウン症のリスクが上がる、月経前症候群(PMS)やつわり、生理不順、うつ病が起こるといった記述は、資料で確かめられないため削除しました。

 

葉酸が不足しやすい人

  • お酒を多く飲む人(飲酒は葉酸の吸収と利用も妨げる)
  • 食事が偏っている人、全体に栄養が足りていない人
  • 妊娠中・授乳中の人、透析を受けている人(必要量が増える)
  • 栄養の吸収が悪くなる腸の病気がある人
  • 一部の薬を使っている人(フェニトインなどの抗てんかん薬、メトトレキサート、トリアムテレン、メトホルミン、ST合剤〔トリメトプリム-スルファメトキサゾール〕)

薬を使っている人は、自己判断で薬をやめたりサプリメントを始めたりせず、医師・薬剤師に相談してください。

 

予防のための食事

葉酸はレバー、豆類、ほうれん草やブロッコリーなどの緑の野菜、果物に含まれます。水に溶けやすく熱にも弱いため、ゆでると減ります。

サプリメントや葉酸を加えた食品の葉酸には耐容上限量(これ以上摂ると健康障害のリスクが高まる量)が決められています。妊娠を計画している人がサプリメントを使うときも、表示の量を守ってください。

葉酸の摂取基準については葉酸の機能・役割と食事摂取基準を確認してください。

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