葉酸の不足・欠乏の症状

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葉酸の不足は貧血、うつ、動脈硬化、胎児において神経管閉鎖障害、発育不全、ダウン症などの症状を起こす可能性があります。

 

葉酸不足による貧血(巨赤芽球性貧血)の症状

葉酸は赤血球の合成にかかわるため、貧血の症状を起こす可能性があります。貧血の症状としては舌炎、深部知覚低下、年齢に不相応な白髪、腱反射減弱、しびれ、倦怠感、疲れやすい、だるい、めまい、動悸、息切れ、眠気、吐き気、胃痛、頭痛、肩こり、頭が重い、顔色が悪い、食べ物が飲み込みづらい、口の端が切れる、舌の表面がツルツルになる、硬いものを大量に食べたくなる、酸味がしみる、爪が割れやすい、枝毛・抜け毛が増える、肌がカサカサするなどがあります。

 

葉酸不足による神経管閉鎖障害の症状

神経管閉鎖障害は脳や脊髄などの中枢神経のもとになる神経管の一部が塞がり、脳や脊髄が正常に機能しなくなる疾患です。主に二分脊椎症と無脳症があります。

二分脊椎症

二分脊椎症は神経管の下部が塞がってしまうことで発症します。脊椎から飛び出した脊髄が、体の表面にこぶのように現れた状態で生まれます。二分脊椎症は脊髄の損傷部位によって現れる神経障害が異なり、様々な神経障害が起こります。症状としては、下半身の神経が麻痺して足が動かしずらくなることによる歩行障害・運動障害、熱さや痛みを感じにくい感覚障害、膀胱や直腸などを動かす筋肉の麻痺による排尿・排便障害があります。成長すると性機能障害になる可能性や軽度から中程度の知的障害を発症する可能性があります。潜在性の二分脊椎症の場合、幼児期はあまり症状が見られず、学童期や思春期、場合によっては大人になってから障害が起こることもあります。たとえば、腰の部分で癒着した脊髄が身長の伸びについていけず、引き伸ばされることで転びやすくなったり、尿を漏らしたりといったことが起こります。また、水頭症や頭蓋骨の中にある小脳・脳幹が脊椎側に落ち込み圧迫した状態であるキアリ奇形を合併症として引き起こすこともあります。二分脊椎症の発症率は、1万人に約5人といわれています。

無脳症

神経管の上部に閉塞障害が現れるのが無脳症です。神経管から脳が正常に作られず、頭蓋と大脳が欠損した状態になるのが特徴です。脳以外の臓器には異常がない場合がほとんどで、脳が形成ため流産や死産の割合が高くなります。また、無脳症の場合、産後でも生存率が低く、死亡する場合が多い傾向にあります。症状は奇形になることです。超音波検査により、妊娠14週頃には診断でき、場合によっては20~25週頃に再検査することで診断されます。

 

葉酸不足によるダウン症の症状

葉酸が不足するとDNAの異常が起きやすくなり、海外で行われた研究によると葉酸を十分に摂取しているとダウン症のリスクが70%軽減されるということが報告されています。肉量が少なく、筋緊張が低いことから立ちや歩行が出来るようになるまでに時間がかかるなどの運動機能や言語機能の発達など、発達が遅くなる傾向にあります。新生児期の特徴には、おとなしい、あまり泣かない、体がふにゃふにゃで柔らかい、おっぱいの飲みが悪いなどがあります。難聴や視覚障害などの合併症を持つことも多く、新生児の約40~50%に先天性心臓疾患、約60%に先天性白内障や緑内障などの眼障害が見られます。ただし個人差が大きく一様ではありません。また、目尻がつり上がっている、顔が丸くて平坦、鼻が低い、耳が小さい、耳が変形している、口角が下を向いている、後頭部が平ら、手の指が少し短い、指の関節が1つ少ないといった外見上の特徴がでる場合があります。

 

葉酸不足による月経前症候群(PMS)の症状

葉酸を含むビタミンB群にはホルモンバランスを整える働きがあるため月経前症候群(PMS)症状の緩和が期待できます。月経前症候群(PMS)の症状は吐き気、憂うつ、イライラ、肩こり、頭痛、腰痛、全身のだるさなどの様々な症状が起こります。

 

葉酸不足によるうつ病の症状

特にうつ病の患者の食事を調査するとおよそ8割の方が葉酸の不足がみられたという研究結果があります。実際にうつ病患者は、葉酸欠乏症かそれに近い状態になっている人が多い傾向があり、精神科、心療内科でも葉酸の摂取を推奨するところがあります。症状としては抑うつ気分、思考力の低下、意欲の低下、眠れない(入眠困難)、早く目が覚める(早朝覚醒)、夜中に何度も目を覚ます(中途覚醒)、寝れた気がしない(熟眠障害)、食欲不振、体重の増減、甘い物が欲しくなる、疲労、倦怠感、頭痛、頭重感、様々な部位の痛み、便秘、動悸、胃痛、息苦しさ、窒息感、発汗、月経の不順、勃起の障害、性欲の低下など様々な症状を引き起こします。

 

葉酸不足による動脈硬化の症状

葉酸はビタミン6やビタミン12とともに動脈硬化を起こす原因でもあるホモシステインを減させる働きがあります。動脈硬化は心筋梗塞、脳梗塞、脳卒中、心不全、肥満などの原因になりますが、自覚症状はほとんどありません。

 

葉酸不足による症状まとめ

葉酸の不足による症状は以下の通りです。

  • 抑うつ気分、意欲の低下、憂うつ、イライラ、心理的不安定
  • 睡眠障害、思考力の低下眠れない(入眠困難)、早く目が覚める(早朝覚醒)、夜中に何度も目を覚ます(中途覚醒)、寝れた気がしない(熟眠障害)、眠気
  • 食欲不振、体重の増減、甘い物が欲しくなる
  • 疲労、倦怠感、全身のだるさ
  • 頭痛、頭重感、腰痛、様々な部位の痛み、肩こり
  • 便秘、胃痛
  • 動悸、窒息感、発汗、息苦しさ
  • 月経の不順、勃起の障害、性欲の低下
  • 嘔吐、吐き気
  • ダウン症:視覚障害、眼障害、運動機能の発育不良、言語機能の発達の遅れ、目尻がつり上がっている、顔が丸くて平坦、鼻が低い、耳が小さい、耳が変形している、口角が下を向いている、後頭部が平ら、手の指が少し短い、指の関節が1つ少ない
  • 神経障害、歩行障害、運動障害、感覚障害、排便障害、性機能障害、知的障害
  • 奇形、キアリ奇形

 

葉酸の不足・欠乏による病気については以下を確認してください。

葉酸の不足と生活習慣病・病気

 

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