ふつうの食品からビタミンB6を摂りすぎて、健康障害が起きたという報告はありません。ただし、サプリメントなどでピリドキシン(ビタミンB6)を大量に摂り続けると、手足のしびれなどの神経障害が起こることがわかっています。
この記事では厚生労働省の日本人の食事摂取基準(2025年版)や、国立健康・栄養研究所の情報をもとに、ビタミンB6を摂りすぎたときに起こることをまとめます。
ふつうの食品では摂りすぎにならない
ふつうの食品で、食べられる部分100gあたりのビタミンB6が1mgを超えるものはありません。ふつうの食品を食べている人で、摂りすぎによる健康障害が起きたという報告はありません。
ビタミンB6の耐容上限量
耐容上限量(これ以上摂ると健康障害のリスクが高まる量)は、ピリドキシンの量で、成人男性が1日50~60mg、成人女性が1日40~45mgです。サプリメントなどで大量に摂ったときに起こる神経障害をもとに決められています。
子どもの耐容上限量は1~2歳の1日10mgから、年齢が上がるにつれて高くなります。年齢・男女別の値は次のとおりです。
| 年齢 | 男性(mg/日) | 女性(mg/日) |
|---|---|---|
| 1~2歳 | 10 | 10 |
| 3~5歳 | 15 | 15 |
| 6~7歳 | 20 | 20 |
| 8~9歳 | 25 | 25 |
| 10~11歳 | 30 | 30 |
| 12~14歳 | 40 | 40 |
| 15~17歳 | 50 | 45 |
| 18~29歳 | 55 | 45 |
| 30~49歳 | 60 | 45 |
| 50~64歳 | 60 | 45 |
| 65~74歳 | 55 | 45 |
| 75歳以上 | 50 | 40 |
※日本人の食事摂取基準(2025年版)の値です。ピリドキシン(分子量=169.2)相当量です。0~11か月の乳児の値はありません。
ビタミンB6の摂取基準についてはビタミンB6の機能・役割と食事摂取基準を確認してください。
ビタミンB6を摂りすぎたときの症状
感覚性ニューロパシー(末梢神経障害)
ピリドキシンを1日に数gという量で数か月程度摂り続けると、手足のしびれなどの感覚性ニューロパシー(末梢神経障害)が起こります。
症状が出た量は人によって違います。ライナス・ポーリング研究所の解説によると、多くは1日1,000mgを超える量で起きていますが、1日500mg未満を数か月から数年摂った人の症例もわずかに報告されています。欧州食品安全機関(EFSA)の2023年の評価でも、摂る量が多いほど症状が早く出るという関係が示されています。1日に数gに届かない量でも、長く飲み続けるときは注意が必要です。
MSDマニュアル家庭版によると、足や脚に痛みやしびれが出るほか、腕や脚がどこにあるかがわかりにくくなったり、振動を感じにくくなったりして、歩くのが難しくなることがあります。治療はサプリメントをやめることですが、回復には時間がかかることがあり、歩きにくさがある程度残る場合もあります。
そのほかの症状
大量に摂ったときには、骨の痛み、筋肉の弱さ、精巣の萎縮、精子の数の減少なども報告されています。
医薬品のピリドキサールリン酸エステルの添付文書には、新生児や乳幼児に大量に使ったときに、横紋筋融解症(筋肉の細胞が壊れる病気)、下痢、嘔吐、肝機能の異常などが起こることがあると書かれています。
サプリメントで摂るときの注意
ビタミンB6のサプリメントを使うときは、食事から摂る分と合わせて耐容上限量を超えないように注意してください。ビタミンB6はマルチビタミンやビタミンB群のサプリメントなど、いくつもの製品に含まれていることがあります。複数のサプリメントを使うときは、それぞれの表示を見て合計の量を確かめてください。
ビタミンB6を含む栄養機能食品は、1日に摂る目安の量に含まれるビタミンB6の上限が10mgと決められていて、「本品は、多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。1日の摂取目安量を守ってください。」という注意の表示が必要です。また、医薬品の塩酸ピリドキシン(ビタミンB6製剤)でも、長い期間、大量に使うと、手足のしびれや感覚の異常などの末梢神経障害が起こることがあるとされています(国立健康・栄養研究所 HFNet)。
ビタミンB6をパーキンソン病の治療薬のレボドパと一緒に使うと、レボドパの効き目を弱めることがあるとされています。薬を使っている人がビタミンB6のサプリメントを使うときは、医師・薬剤師に相談してください。
大量のビタミンB6はてんかんなどの治療に使う抗けいれん薬のフェノバルビタールとフェニトインの効き目も弱めるとされています(ライナス・ポーリング研究所の解説)。
月経前症候群などの症状に高用量のビタミンB6が使われることもありますが、MSDマニュアル家庭版では、効果を示す証拠はほとんどないとされています。手足のしびれや痛みが出たときは、サプリメントをやめて医師に相談してください。
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