ビタミンCは、コラーゲンをつくるのに欠かせない水溶性ビタミンで、体の中で抗酸化物質としても働きます。人は体内でビタミンCをつくれないため、食事から摂る必要があります。この記事では、ビタミンCが不足すると起こる病気と、かぜや目の病気、生活習慣病との関係で分かっていることをまとめます。
数値と考え方は厚生労働省の日本人の食事摂取基準(2025年版)に基づき、症状や原因はMSDマニュアル家庭版「ビタミンC欠乏症」と国立健康・栄養研究所の「健康食品」の安全性・有効性情報(ビタミンC)で確かめています。
ビタミンCの不足で起こる病気
壊血病
ビタミンCが欠乏するとコラーゲンをつくれなくなり、血管がもろくなって出血しやすくなります。これが壊血病です。2025年版では、壊血病の症状として、疲れやだるさ、いらいら、顔色が悪い、皮膚の下や歯ぐきからの出血、貧血、筋肉の減少、心臓の障害、呼吸困難などを挙げています。
MSDマニュアルによると、壊血病はビタミンCが足りない状態が数か月続いたあとに起こります。歯ぐきが紫色に腫れて歯がぐらつく、あざができやすい、髪や皮膚が乾燥する、傷が治りにくいといった症状も見られます。乳児や子どもでは、骨の成長が妨げられることがあります。治療を始めると、多くの症状は1〜2週間で消えます。
2025年版によると、1日10mg程度のビタミンCを摂っていれば壊血病は起こりません。MSDマニュアルでは、食料が十分にある国ではまれな病気ですが、野菜や果物をほとんど食べない人やお酒を多く飲む人、栄養の足りない高齢者などでは起こることがあるとしています。症状の詳しい説明はビタミンC不足の症状を確認してください。
壊血病の手前の軽い不足
2025年版では、血液中のビタミンCの濃度が下がると、壊血病の症状が出る前に、疲れやだるさなどの軽い症状が現れるとしています。このため2025年版の推奨量(成人100mg/日)は、壊血病を防ぐ最小量(1日10mg程度)ではなく、体の中のビタミンCを良い状態に保てる量として決められています。
鉄の吸収と貧血
ビタミンCには、消化管で鉄の吸収を高める働きがあります。旧版の記事では、ビタミンCの不足で鉄欠乏性貧血になると書いていましたが、資料で確かめられたのは「鉄の吸収を高める」という働きまでです。壊血病の症状の一つとして貧血が起こることは、2025年版にも書かれています。
かぜとの関係
ビタミンCを飲むとかぜを防げる、という話はよく聞かれます。ランダム化比較試験をまとめたコクラン・レビュー(2013年)の結果は次のとおりです。
- 一般の人が毎日ビタミンC(1日0.2g以上)を飲んでも、かぜをひく割合は変わりませんでした。
- マラソン選手やスキー選手、寒冷地で訓練する兵士など、短期間に激しい運動をする人では、かぜをひく割合がおよそ半分になりました。
- 毎日飲んでいた人では、かぜの期間が大人で8%、子どもで14%短くなりました。
- かぜをひいてから飲み始めた試験では、はっきりした効果は見られませんでした。
ビタミンCの不足でかぜをひきやすくなるかどうかは、この研究からは分かりません。
目の病気との関係
白内障
旧版の記事では、1日260mg以上のビタミンCで白内障を予防できると書いていました。抗酸化ビタミン(β-カロテン、ビタミンC、ビタミンE)の補給を調べた試験9件(約11万7千人)をまとめたコクラン・レビュー(2012年)では、白内障を防いだり進行を遅らせたりする証拠は見られませんでした。そのため、この記述は削除しました。
加齢黄斑変性
加齢黄斑変性は、目の網膜の中心にある黄斑が年齢とともに傷み、見え方がゆがんだり暗く見えたりする病気です。
- 予防:ビタミンCの補給で加齢黄斑変性を予防できなかったと、コクラン・レビュー(2017年)は結論づけています。
- 進行:すでに早期・中期の加齢黄斑変性がある人では、ビタミンC、ビタミンE、β-カロテン、亜鉛などを組み合わせたサプリメントで、後期への進行が少なくなるという報告があります(コクラン・レビュー(2023年)、確実性は中等度)。主に米国の1つの大規模試験の結果で、ビタミンCだけの効果ではありません。
加齢黄斑変性のサプリメントは眼科医に相談して使ってください。
生活習慣病との関係
2025年版では、ビタミンCの摂取量と糖尿病、脂質異常症、高血圧、慢性腎臓病との関係を調べた観察研究が複数あるとしています。ビタミンCを多く摂る人ほど発症のリスクが低いという報告と、関係が見られないという報告があり、結果が分かれています。そのため、生活習慣病の予防を目的とした目標量は決められていません。
ビタミンCのサプリメントについても試験29件をまとめたコクラン・レビュー(2012年)では、死亡率は変わりませんでした。
旧版から削除した内容
旧版の記事にあった次の記述は、資料で確かめられないため削除しました。
- ビタミンCが不足すると、動脈硬化や胃がんになりやすい
- ビタミンCが不足すると、うつ病になったり、うつ病が重くなったりする
- ビタミンCが不足すると、骨粗鬆症になる
ビタミンCが不足しやすい人
- 野菜や果物をあまり食べない人(食事が極端に偏っている人、一人暮らしの高齢者など)
- お酒を多く飲む人
- たばこを吸う人、受動喫煙のある人(ビタミンCの必要量が多くなります)
- 妊娠中・授乳中の人
- 高い熱や炎症を伴う病気、甲状腺機能亢進症、長く続く下痢、手術、やけどなどで必要量が増えている人
国立健康・栄養研究所の情報では、たばこを吸う人はビタミンCを多く摂ることより、まず禁煙を考えるのが適切だとしています。
予防のための食事
ビタミンCは、緑黄色野菜や果物に多く含まれます。水に溶けやすく熱にも弱いため、洗ったり加熱したりすると減ります。MSDマニュアルでは、新鮮な果物や野菜を毎日食べることで予防できるとしています。
サプリメントで大量に摂っても、吸収される割合が下がり、尿に出ていく量が増えます。2025年版では、通常の食品以外から1日1g以上を摂ることはすすめられていません。
ビタミンCの摂取基準についてはビタミンCの機能・役割と食事摂取基準を、食品ごとの含有量は食品別ビタミンCの含有量一覧を確認してください。
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