天然に存在するビタミンDを有する化合物として、キノコ類に含まれるビタミンD2(エルゴカルシフェロール)と魚肉や魚類肝臓に含まれるビタミンD3(コレカルシフェロール)があります。ビタミンDは脂溶性ビタミンに分類されます。ビタミンDを補給する方法には2通りの方法があります。1つは、食品から摂取されたビタミンD2とビタミンD3です。もう1つは、体内で生成する方法です。人の皮膚には、プロビタミンD3(7─デヒドロコレステロール、プロカルシフェロール)がコレステロール生合成過程の中間体として存在し、日光の紫外線によりプレビタミンD3(プレカルシフェロール)となり、体温による熱異性化によりビタミンD3(カルシフェロール)が生成されます。つまり、ビタミンDは、食品からの摂取以外にも、紫外線の作用下で皮膚においても産生されます。
ビタミンDの機能・役割
ビタミンDの主な役割は、ビタミンD依存性たんぱく質の働きを介して、腸管や腎臓でカルシウムとリンの吸収を促進し、骨の形成と成長を促すことです。また、ビタミンDは肝臓で25─ヒドロキシビタミンDに代謝され、腎臓で活性型である1α、25─ジヒドロキシビタミンDに代謝されます。1α、25─ジヒドロキシビタミンDは、標的細胞の核内に存在するビタミンD受容体と結合し、ビタミンD依存性たんぱく質の遺伝子発現を誘導します。
ビタミンDの効果・効能については以下を確認してください。
ビタミンDの食事摂取基準
ビタミンDの食事摂取基準は以下の通りです。
ビタミンDの食事摂取基準(μg/日)(男性)
年齢等 | 目安量 | 耐容上限量 |
---|---|---|
0~5(月) | 5.0 | 25 |
6~11(月) | 5.0 | 25 |
1~2(歳) | 2.0 | 20 |
3~5(歳) | 2.5 | 30 |
6~7(歳) | 3.0 | 40 |
8~9(歳) | 3.5 | 40 |
10~11(歳) | 4.5 | 60 |
12~14(歳) | 5.5 | 80 |
15~17(歳) | 6.0 | 90 |
18~29(歳) | 5.5 | 100 |
30~49(歳) | 5.5 | 100 |
50~69(歳) | 5.5 | 100 |
70以上(歳) | 5.5 | 100 |
ビタミンDの食事摂取基準(μg/日)(女性)
年齢等 | 目安量 | 耐容上限量 |
---|---|---|
0~5(月) | 5.0 | 25 |
6~11(月) | 5.0 | 25 |
1~2(歳) | 2.0 | 20 |
3~5(歳) | 2.5 | 30 |
6~7(歳) | 3.0 | 40 |
8~9(歳) | 3.5 | 40 |
10~11(歳) | 4.5 | 60 |
12~14(歳) | 5.5 | 80 |
15~17(歳) | 6.0 | 90 |
18~29(歳) | 5.5 | 100 |
30~49(歳) | 5.5 | 100 |
50~69(歳) | 5.5 | 100 |
70以上(歳) | 5.5 | 100 |
妊婦の目安量は7.0μg/日です。
ビタミンDを取得できる食物
肝油、魚、きくらげ、しいたけに含まれます。
ビタミンDが不足した場合の影響
ビタミンDが不足すると、小腸や腎臓でのカルシウム吸収量が減少し腸管からのカルシウム吸収の低下と腎臓でのカルシウム再吸収が低下します。その結果、低カルシウム血症となり、小児ではくる病、成人では骨軟化症を発症するリスクが高まります。特に高齢者において、ビタミンD不足の状態が長期にわたって続くと、骨粗鬆症性骨折のリスクが高まります。また、低カルシウム血症に伴い二次性副甲状腺機能亢進症が引き起こされる可能性があります。
ビタミンDの不足・欠乏については以下を確認してください。
ビタミンDの過剰摂取
ビタミンDの過剰摂取により、高カルシウム血症、腎障害、軟組織の石灰化障害などが起こる可能性があります。
ビタミンDの過剰摂取については以下を確認してください。
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