ビタミンEの不足と生活習慣病・病気

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ビタミンEは強い抗酸化作用を持っているため様々な体を守る効果があります。このため、不足すると体内の酸化による様々な病気になる可能性があります。病気・症状は貧血、不妊、目の障害など様々です。

 

生活習慣病

ビタミンEのサプリメントを用いた多くの介入試験の結果は、冠動脈疾患発症に対して有用であったとする報告と全く効果がないとする報告、死亡率を増加させるとする報告まで様々です。このため参考として記載します。

動脈硬化

コレステロールが増え悪玉コレステロール(LDL)が増加すると、活性酸素により酸化され酸化LDLとなります。酸化LDLは運搬機能を失い、マクロファージによって処理されますが、処理しきれなくなると血管内に付着してしまいコブのような状態となり、動脈硬化の原因となります。複数の試験でアテローム性動脈硬化の発生を左右すると考えられている悪玉コレステロール(LDL)の酸化をビタミンEが阻害することが観察されています。また、ビタミンEには悪玉コレステロール(LDL)値を下げ、善玉コレステロール(HDL)値を上げる効果があります。このため、動脈硬化を予防することができる可能性があります。

がん(癌)

ビタミンEなど抗酸化作用を持つ栄養素はがんの発生の原因となるフリーラジカルによる損傷から細胞成分を保護します。さらに、ビタミンEは、食品中の亜硝酸化合物によって胃内に形成される発がん性ニトロソアミンの形成を遮断し、免疫機能を高めてがんを予防する可能性があります。しかしながら、ビタミンEの摂取と発がんの関連の試験や調査ではほとんどの場合有効ではないというデータがあります。

 

ビタミンE欠乏症

ビタミンE欠乏症の発症については胆汁がたまることによる脂肪吸収障害、無βリポ蛋白血症、未熟児おけるビタミンEの運搬障害で起こるが場合あります。溶血性貧血、脊髄後索障害、小脳性運動失調、歩行不調、位置感覚障害、腱反射消失、筋力の低下、多発性ニューロパチーなどの病気や症状になる可能性があります。

 

貧血(溶血性貧血)

赤血球は不飽和脂肪酸で形成されており、活性酸素によって酸化されると、赤血球膜が破れて赤血球が壊れてしまいます。ビタミンEが不足すると赤血球の膜が壊れやすくなります。これにより、血中の赤血球の数が少なくなる溶血性貧血になります。

 

加齢性黄斑変性症(AMD)

加齢性黄斑変性症(AMD)と白内障は酸化的ストレスの累積的影響が関与していると考えられています。試験で食事から高用量のビタミンEを摂取している人は、低用量の人よりも加齢性黄斑変性症(AMD)の発症率が約20%低いという結果が得られていいます。別の試験からは5年にわたるビタミンE、ベータカロチン、ビタミンC、亜鉛、銅のサプリメントの連日摂取によって進行性加齢性黄斑変性症(AMD)発症リスクが、25%低くなった報告があります。また、同様のサプリメント製剤による加齢性黄斑変性症(AMD)進行抑制効果が確認されています。ビタミンEなどの抗酸化剤機能をもつ栄養素が加齢性黄斑変性症(AMD)の予防・治療として有用である可能性があります。

 

白内障

いくつかの観察研究で、ビタミンEサプリメントと白内障形成リスクに何らかの関連性があることが確認されています。試験では、ビタミンEサプリメントを摂っている被験者およびビタミンEの血中レベルが高い被験者のほうが眼球水晶体の透明度が高いという結果が得られています。また、別の試験では、ビタミンEサプリメントの長期使用により、加齢に伴う眼球水晶体の混濁が遅延する報告もあります。しかし、長期のビタミンEを摂取する試験では、白内障の発生・進行のいずれにも明白な効果が得られていません。現在、ビタミンEサプリメントが、白内障の発生リスクを低減させるかは一貫した報告がありません。ただし、ビタミンE、その他抗酸化剤、亜鉛、銅の摂取には、進行の抑制に期待ができる可能性があります。

 

不妊症・更年期障害

ビタミンEはもともとラットの不妊の研究で発見されたビタミンで、別名「トコフェロール(tocopherol)」とは、tocos(子どもを産む)、phero(力を与える)、ol(水酸基をもつ化合物の総称)という意味からきています。不妊治療や更年期障害の治療に使用されることもあります。動物実験では不妊との関連は報告されていすが、人での実験が難しいため関連性する報告はほとんどありません。

 

 

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