ビタミンCの効果・効能

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ビタミンCは水に溶ける水溶性ビタミンに分類されます。ビタミンCの特徴は酸化してしまった物質をもとに戻す働き(還元作用)です。この還元作用により活性酸素による体内の老化や酸化を抑え、シミの原因となるメラニン色素の無色化、動脈硬化の予防、抗ストレスホルモンの生成、鉄の吸収促進など様々な反応に関与します。その他、コラーゲンの生成、免疫力の亢進、アルコールの分解など多くの生理作用と関わります。このためビタミンCには様々効果があります。

 

黒色メラニンを改善する効果(しみ、そばかす、しわを防ぐ効果)

ビタミンCはシミの原因であるメラニンをつくるチロシナーゼという酵素を抑制したり、メラニンそのものに働きかけたりしてシミを薄くする効果があります。肌のシミやソバカスの原因はメラニンですが、メラニンは紫外線を吸収することで肌を守ってくれる役割があります。メラニンが不足した場合、紫外線が表皮の下の真皮にまで侵入するとコラーゲンやヒアルロン酸などからなる網目状の細胞に乱れや壊れてしまいます。その結果、保湿性、弾力性が失われ、肌がしわになります。黒色メラニン(ユーメラニン)は、紫外線などの外部からの刺激があるとチロシンというアミノ酸が酵素チロシナーゼと合体し、ドーパキノンなどの化合物に変化した後、最終的に黒色メラニンになります。ビタミンCには一度できてしまった黒色メラニン(ユーメラニン)を肌色(フェオメラニン)の還元型メラニンへと変化させ、目立たなくする効果があります。

 

抗酸化作用(老化防止、風邪予防などの効果)

ビタミンCの特徴に抗酸化作用があります。ビタミンCは血管内では還元型であるアスコルビン酸として存在し、抗酸化力を発揮して対象物質を還元し、自身は酸化されて酸化型のデヒドロアスコルビン酸になります。動物実験では、壊血病を発症しない程度のビタミンCの欠乏で老化が進行し、これを人に換算した予想では、1日に2.5mgのビタミンCしか摂取しない期間が約3年間続くと老化が速く進行し、死亡する可能性があると報告されています。酸化作用は細胞の老化、風邪をひきやすくなる、心筋梗塞、動脈硬化、狭心症、ガン、白内障などがあるため、ビタミンCの摂取によって抗酸化作用を高めることでこれらの予防・防止に効果があります。

 

ビタミンEの再生機能(抗酸化作用)

ビタミンCはビタミンEを再生する効果があります。活性酸素等のフリーラジカルはDNAやタンパク質を攻撃し、また、脂質を連鎖的に酸化させますが、ビタミンEは脂質中のフリーラジカルを消失させることにより自らがビタミンEラジカルとなり、フリーラジカルによる脂質の連鎖的酸化を阻止することができます。このため、ビタミンCにはビタミンEの効果である抗酸化作用をひきだし、老化や病気などの酸化をとめる効果があります。

 

老化を防止する効果

活性酸素は体に侵入したウイルスや細菌を攻撃する働きがあり、体には必要な物質ですが、活性酸素が過剰に働くと正常な細胞にも攻撃をしてしまいます。これにより活性酸素が細胞内や核酸、血管内など体の様々な部位に悪影響を与えてしまい、老化の要因となります。ビタミンCが持つ抗酸化力は、活性酸素の増加を抑えて老化を予防する効果があります。

 

免疫機能を高める効果

ビタミンCには免疫機能を高める効果があります。ビタミンCは免疫機能を担う白血球の1つ好中球の活性維持や増強に関与します。また、抗ウイルスたんぱく質で細胞の強化とナチュラルキラー細胞の活性化の作用をもつ抵抗性インターフェロンの分泌も促進します。その他、ビタミンCは粘膜の形成にも関与しているため、口や鼻からウィルスが侵入するのを防ぐ効果もあります。

 

アルコールを分解する効果

ビタミンCはアセトアルデヒドから酢酸への分解を助け、アルコールを分解する効果があります。体内において、アルコールはアセトアルデヒドに分解され、続いて酢酸になり、最終的には二酸化炭素と水に分解されて排出されます。ビタミンCが不足するとアセトアルデヒドが分解されずに体内に残ってしまい、頭痛や吐き気などの二日酔いの症状が出る可能性があります。

 

鉄の吸収を促進する効果

ビタミンCはその還元作用により、非ヘム鉄をヘム鉄へと還元する効果があります。ヘム鉄は吸収率が15%~25%ほどで、非ヘム鉄は2%~5%のため、より効率的に鉄の吸収が促進されます。

 

抗ストレスホルモンの生成に関与

ビタミンCは副腎皮質ホルモン(抗ストレスホルモン)の生成時において補酵素として必要となります。人間はストレスを感じると腎臓の上部にある副腎からアドレナリンやノルアドレナリン等の副腎皮質ホルモンを分泌し、この作用により血糖値が上昇してエネルギーを増やすことでストレスへの体制を整えます。副腎皮質ホルモンが生成される際に中間体であるドーパミンをヒドロキシドーパミンに変化させる水酸化酵素の還元化が必要になり、ビタミンCはこの水酸化酵素を還元化を補助しています。

 

コラーゲンの合成(骨、血管、筋肉、皮膚、骨、粘膜を形成する効果)

ビタミンCは体を構成するたんぱく質の30%を占めるコラーゲンの生成に関わります。コラーゲンの構成物質のアミノ酸ヒドロキシリシンとヒドロキシプロリンは、リシンとプロリンが酵素反応により作られます。体内ではたんぱく質鎖が形成された後で酸化酵素によりプロリン・リジン残基がそれぞれ水酸化(ヒドロキシ化)を受けてヒドロキシプロリン・ヒドロキシリジン残基に変化し、水素結合によってたんぱく質鎖が結びつくことによってコラーゲンができます。この反応に際にビタミンCを必要とするため、ビタミンCが不足した場合コラーゲン合成ができなくなります。コラーゲンは皮膚、骨、血管、筋肉、粘膜に関わるため、細胞と細胞をつなぐ働き、骨を丈夫にする働き、血管を保つ、筋肉を丈夫に保つ、皮膚の形成、骨の形成、粘膜の形成などの効果があります。コラーゲンが不足すると、血管の結合が緩み出血しやすなる壊血病なります。また、切り傷などの治りも悪くなり、歯茎からの出血なども見られます。骨がもろくなり、骨粗鬆症の要因にもなります。皮膚の場合は、コラーゲンの減少によってシワができやすくなったり、ターンオーバーが遅くなったりします。

 

ノルアドレナリンを合成(意欲を向上させる効果)

ビタミンCはチロシンからノルアドレナリンへの代謝します。ノルアドレナリンは、目覚め、集中力、積極性、興奮、攻撃、不安、恐怖、痛みの軽減という感覚を司っています。

 

カルニチンの合成(脂肪を分解する効果)

ビタミンCはアミノ酸の一種であるリジンに作用して、脂肪の分解酵素であるカルニチンを合成します。カルニチンはリジン、メチオニン、ビタミンC、ビタミンB6、ナイアシン、鉄で合成されており、1つでも不足すると合成できないため、ビタミンCにはカルニチンを合成し、脂肪を分解する効果があるといえます。

 

アレルギー反応を緩和する効果

ビタミンCはコルチゾール(ステロイドホルモン)が副腎から作られる際に使われるビタミンです。コルチゾール(ステロイドホルモン)はストレスを感じると分泌される炎症を抑えるホルモンで、ストレスを感じ続けることによって副腎から分泌されます。コルチゾール(ステロイドホルモン)の分泌が長く続くと、副腎が疲労して分泌量が減ってしまいます。このため炎症を抑えられなくなり、アレルギー症状が起こりやすくなる可能性があります。また、血中のビタミンC濃度が高い人は、ヒスタミンが少ないことが示されており、血中ヒスタミンの多い人がビタミンCを摂るとヒスタミンが減少する報告があります。このため、ビタミンCはステロイドの合成による抗ヒスタミン作用によって、血中のヒスタミンの濃度をおさえてアレルギー反応を緩和する効果があります。

 

血糖値を下げる効果

ビタミンCにはインスリンとよく似た血糖値コントロール作用があります。ビタミンCは、糖代謝の基本的な代謝経路となるHMP経路がスムーズに流れるように作用します。インスリンと併用することで血糖下げる効果を少し高めます。

 

コレステロール値を改善する効果

ビタミンCには善玉コレステロールを増やし、悪玉コレステロールを減らしてコレステロール値を正常にする効果があります。実験では、ビタミンCを長期間摂取した際に、血中の悪玉コレステロール値がビタミンCの摂取量が多いほど悪玉コレステロールが減少し、善玉コレステロールが増加した報告があります。なお、悪玉コレステロール値が正常範囲の人においてはビタミンCを摂取しても、悪玉コレステロール値はほとんど変わらない結果になっています。

 

中性脂肪を減らす効果

ビタミンCを長期間摂取する実験では、ビタミンCの摂取で中性脂肪の値が下がることが確認されています。

 

ニコチンを無毒化する効果

タバコを吸うことでニコチンなどの多量の有害物質が体内に送り込まれ、多量の活性酸素が発生します。体内に入ってきた有害物質を代謝して無害化するための酵素やホルモンなどが分泌されるのですが、これらの生成にビタミンCが必要になります。

 

動脈硬化を予防

コレステロールをとりすぎると血管内で活性酸素と反応して酸化LDLに変化します。酸化LDLはマクロファージに取り込まれ泡沫細胞となり、動脈壁に蓄積して動脈硬化の原因になります。ビタミンCには抗酸化作用があるため、摂取することで活性酸素を無毒化する効果があります。

 

病気の予防効果

酸化作用の悪影響には細胞の老化の他、心筋梗塞、動脈硬化、狭心症、ガン、白内障などがあります。ビタミンCには抗酸化作用があるため、ビタミンCの摂取はこれらの症状の予防にも効果があります。

 

胃がんの予防効果

ビタミンCには胃がんの原因の1つとされるニトロソアミンという物質を防ぐ効果があります。ニトロソアミンは食事による体外からの摂取、または、体内で合成されます。アミンという有機化合物が亜硝酸化合物と結合するとニトロソアミンが生成されますが、ビタミンCはアミンといち早く結合するため、ニトロソアミンの合成を防いでくれます。また、ビタミンCには抗がん剤にも使用されるインターフェロンの生成を促進する働きもあります。インターフェロンにより抗ウイルスたんぱく質が生成され、ウイルスの活動を抑制します。がん細胞にも同じように働きかけ、細胞分裂を抑制してがん細胞の増殖を抑えます。

 

白内障の予防・改善効果

ビタミンCは高い抗酸化作用で活性酸素が原因の白内障の予防効果があるとされています。白内障は、目の水晶体のたんぱく質が変性し、もとは透明であった水晶体が白く濁ってしまう病気です。研究では1日260mg以上のビタミンCの摂取で白内障の予防効果が得られたとの報告があります。

 

加齢黄斑変性(AMD)の進行の遅延効果

加齢黄斑変性(AMD)は黄斑という組織が加齢とともにダメージを受けて変化し視力の低下を引き起こす病気です。ビタミンCの抗酸化作用が加齢黄斑変性(AMD)の発症に関与することは研究で示されていませんんが、いくつかの報告では抗酸化作用が加齢黄斑変性(AMD)の進行を遅らせることが確認されています。加齢黄斑変性(AMD)の人を対象にした研究では、高用量抗酸化作用の高いビタミンC 500 mg、ビタミンE 400 IU、βカロテン 15 mg、亜鉛 80 mg、銅 2 mgの摂取で進行性加齢黄斑変性への悪化のリスクが28%低下した報告があります。

 

 

うつ病の予防効果

ビタミンCはアミノ酸の1種であるチロシンに作用して神経伝達物質であるノルアドレナリンの生成を助けます。ノルアドレナリンは覚醒、集中、記憶、積極性、痛みをなくするなどの働きがあります。ノルアドレナリンが不足すると無気力、無関心、意欲の低下、うつ病の原因となります。このため、ビタミンCにはうつ病を予防する効果や意欲を向上させる効果があるといえます。

 

壊血病の予防・治療効果

壊血病は出血性の障害が体内の各器官で生じる病気で、皮膚や歯肉からの出血、貧血、衰弱などの症状があります。壊血病はビタミンCの不足よっておこります。ビタミンCは体内のタンパク質を構成するアミノ酸の1つであるヒドロキシプロリンの合成に必須であるため、これが不足すると組織間をつなぐコラーゲンや象牙質、骨の間充組織の生成と保持に障害がおこり、血管等への損傷につながることがあります。壊血病はビタミンCの投与を行うことによって治療でき、壊血病の予防にも用いられています。ビタミンCを含まない食事を約60-90日間続けた場合、体内のビタミンCの蓄積総量が300mg以下になり、出血性の障害をもたらす壊血病を発症する可能性があります。このため、ビタミンCは壊血病の予防・治療に効果があります。

 

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