乳酸菌とビフィズス菌の違いと効果は?含む食品、便秘・下痢への研究結果と副作用の注意

乳酸菌やビフィズス菌は、ヨーグルトや乳酸菌飲料などに含まれる細菌です。体に役立つことを期待して摂る生きた微生物は「プロバイオティクス」と呼ばれ、乳酸菌とビフィズス菌はその代表です。

乳酸菌・ビフィズス菌は栄養素ではないため、厚生労働省の日本人の食事摂取基準(2025年版)には摂る量の基準がありません。この記事では、学会のガイドラインや国立健康・栄養研究所、系統的レビュー(多くの研究をまとめて評価した研究)などの資料をもとに、乳酸菌とビフィズス菌の違い、含まれる食品、効果についての研究の結果、注意したい人を説明します。

 

乳酸菌・ビフィズス菌とは

プロバイオティクスの定義

プロバイオティクスは、国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)が示した定義で、「適正な量を摂ったときに、摂った人の健康に役立つ生きた微生物」とされています。この定義は2014年に国際的な専門家の会議でも妥当なものとして確認されました。

ヨーグルトや乳酸菌飲料のほか、サプリメントにも使われています。よく使われるのは乳酸菌(ラクトバシラスなど)とビフィズス菌で、酵母が使われることもあります。

乳酸菌とビフィズス菌の違い

「乳酸菌」は、特定の菌の名前ではありません。糖から多くの乳酸をつくり、くさい臭いのもとになる物質をつくらない細菌をまとめた呼び名です。

ビフィズス菌は、ビフィドバクテリウム属という仲間の細菌の総称です。糖を分解して、乳酸と酢酸をつくります。酸素があるところでは生きにくい性質があります。母乳で育つ赤ちゃんの腸では、ビフィズス菌がとても多くなっています。乳酸をつくるので乳酸菌に含めることもありますが、医薬品やサプリメントの分野では、乳酸菌とは分けて書かれるのが普通です。

菌の種類によって働きは違う

同じ乳酸菌やビフィズス菌でも、菌の種や株(同じ種の中でさらに細かく分けた系統)によって、体への作用は違います。米国国立衛生研究所(NIH)の国立補完統合衛生センター(NCCIH)「Probiotics: Usefulness and Safety」は、ある乳酸菌で効果があっても、ほかの乳酸菌やビフィズス菌でも同じ効果があるとは限らないとしています。「乳酸菌なら何でも同じ」ではない点に注意が必要です。

 

乳酸菌・ビフィズス菌の働き

NCCIHによると、プロバイオティクスには、次のような働きがあると考えられています。

  • 腸の中にすむ微生物の集まり(腸内細菌叢)を保つ。乱れたときに元に戻るのを助ける。
  • 体に役立つ物質をつくる。
  • 体の免疫の反応に影響する。

ただし、どの菌に効果があるのか、どれだけ摂ればよいのか、どんな人に効果があるのかは、多くの場合まだ分かっていません。

腸の中で役に立つ菌を増やすものとして、オリゴ糖や食物繊維など「プレバイオティクス」と呼ばれる食品成分もあります。プロバイオティクスとプレバイオティクスを組み合わせたものは「シンバイオティクス」と呼ばれます。食物繊維については食物繊維の記事、オリゴ糖については炭水化物の種類の記事で説明しています。

 

乳酸菌・ビフィズス菌を含む食品

乳酸菌やビフィズス菌を含む身近な食品には、ヨーグルトなどの発酵乳と乳酸菌飲料があります。

これらの食品には国の省令(乳及び乳製品の成分規格等に関する省令)で、1mlあたりの生きた菌の数の基準が決められています。

発酵乳・乳酸菌飲料の菌の数の規格(1mlあたり)

種類 乳酸菌数または酵母数
発酵乳(ヨーグルトなど) 1,000万以上
乳酸菌飲料(無脂乳固形分3.0%以上) 1,000万以上
乳酸菌飲料(無脂乳固形分3.0%未満) 100万以上

※発酵させたあとに加熱して殺菌したものは、この菌の数の規格の対象外です。

※これは製品の規格で、「1日にこれだけ摂るとよい」という量ではありません。

トクホの「おなかの調子を整える」食品

乳酸菌やビフィズス菌を含むヨーグルトや乳酸菌飲料の中には、特定保健用食品(トクホ)として「おなかの調子を整える」などの表示が許可されているものがあります。国立健康・栄養研究所の「お腹の調子を整える」等の表示をした食品の解説によると、これらは原則として、便秘ぎみの人や下痢ぎみの人を対象にした試験の結果をもとにつくられた製品です。おなかの調子がふつうの人が摂っても問題はないとされています。

同じ解説では、トクホを使う前に、規則正しい食生活、食物繊維の多い食品(野菜〔特に根菜類〕、豆類、海藻類、きのこ類など)や乳製品、水分を適度に摂ること、適度な運動と休養を心がけるよう勧めています。

 

1日にどれくらい摂ればよい?

乳酸菌・ビフィズス菌は、食事摂取基準に基準がありません。「1日に何億個摂ればよい」という公的な目安もありません。

研究では、使われた菌の種類も量も期間もさまざまです。子どもが抗菌薬(抗生物質)を飲むときの下痢を調べたコクランのレビュー(2019年)では、1日50億個以上を使った研究で効果が大きいという結果でした。ただし、これは抗菌薬を使う子どもという限られた場面での結果で、健康な人がふだん摂る量の目安ではありません。トクホなどの製品には、製品ごとに1日の摂取の目安が書かれています。

 

期待されている効果と研究の結果

乳酸菌・ビフィズス菌の研究の多くは、特定の菌を使ったサプリメントや製品で行われています。結果は菌の種類によって違うので、ある研究で効果があったからといって、別の製品でも同じ効果があるとは限りません。

便秘

日本消化管学会の便通異常症診療ガイドライン2023―慢性便秘症は、慢性便秘症の人に、ある種のプロバイオティクスは排便の回数を増やし、おなかの症状を改善するのに有効だとしています。複数の研究のまとめでも、慢性便秘症の人に安全に使え、排便回数が増えるなどの結果が示されています。

一方で、効果が見られなかった菌もあります。研究の多くは期間が短く、日本人での研究は限られています。どの人にどの菌が合うかを選ぶ方法も分かっていません。ガイドラインの治療の流れでは、まず生活習慣の改善や食事の指導を行い、それでもよくならないときにプロバイオティクスや薬を試すことになっています。便秘と食物繊維の関係は食物繊維の記事を参考にしてください。

抗菌薬(抗生物質)を飲んだときの下痢

抗菌薬を飲むと、腸内細菌のバランスが崩れて下痢になることがあります。

  • 子ども:コクランのレビュー(2019年、33研究・6,352人)では、下痢になった子どもの割合が、プロバイオティクスを摂ったグループで8%、摂らなかったグループで19%でした。根拠の確かさは「中等度」とされています。
  • クロストリディオイデス・ディフィシル(腸で増えて下痢を起こす細菌)による下痢:抗菌薬を使う大人と子どもを調べたコクランのレビュー(2025年、47研究)では、この下痢になった人の割合が1.6%と3.2%で、リスクが半分ほどになる可能性が示されました。ただし、根拠の確かさは「低い」とされています。

感染症による急な下痢

ウイルスや細菌の感染による急な下痢については、コクランのレビュー(2020年、82研究)で、バイアス(結果のゆがみ)の少ない大きな試験では、48時間以上下痢が続く人の数はおそらくほとんど変わらないという結果でした。下痢の期間が短くなるかどうかも、はっきりしていません。

かぜなどの上気道感染症

コクランのレビュー(2022年、23試験・6,950人)では、プロバイオティクスを摂ったグループのほうが、かぜなどの上気道感染症にかかった人が少ない可能性が示されました。かかったときの期間も、平均で約1.2日短くなる可能性があります。ただし、根拠の確かさは「低い」とされています。

そのほかの病気

NCCIHのまとめでは、次のように、病気によって結果が分かれています。

  • 過敏性腸症候群:おなか全体の症状や腹痛によい可能性があるが、確かな結論は出ていない。どの菌がよいかも分からない。
  • 潰瘍性大腸炎:ふだんの治療に加えると、症状を落ち着かせたり、その状態を保ったりするのに役立つ可能性がある。クローン病では効果の根拠はない。
  • アトピー性皮膚炎:妊娠中や乳児期に摂ると、子どものアトピー性皮膚炎のリスクが下がるという結果がある。ぜんそくや花粉症のリスクには効果がなかった。子どものアトピー性皮膚炎の治療では、一貫した効果は見られていない。
  • 尿路感染症の予防:効果の根拠は見られなかった。

 

乳酸菌・ビフィズス菌を摂るときの注意

副作用と摂りすぎ

NCCIHによると、健康な人では、プロバイオティクスは長く安全に使われてきました。ただし、副作用がどのくらいの頻度で起こるかを詳しく調べた研究は少ないとされています。

コクランのレビューで報告されているよくある副作用は、おなかの張り、おなら(ガス)、吐き気、下痢、便秘、発疹などで、多くは軽いものです。国立健康・栄養研究所の解説でも、人によっては製品の目安の量より少なくてもおなかがゆるくなることがあるので、体調を見ながら使うよう勧めています。

ヨーグルトや乳酸菌飲料などの製品の中には、エネルギー(カロリー)が多いものもあります。菌の効果だけでなく、製品全体の中身を確かめて選ぶことが大切です。

注意が必要な人

  • 免疫の働きが落ちている人、重い病気の人:NCCIHによると、こうした人では、プロバイオティクスによる害のリスクが高くなります。起こりうる害として、菌による感染症などが挙げられています。治療中の人は、サプリメントを使う前に医師に相談してください。
  • 早産の赤ちゃん:米国食品医薬品局(FDA)は2023年に、入院中の早産児にプロバイオティクスの製品を与えると、命にかかわる感染症のリスクがあると注意を呼びかけました。死亡例も報告されています。
  • 病気の症状がある人:NCCIHは、プロバイオティクスを使うことを理由に、受診を遅らせないよう呼びかけています。便秘や下痢が続くときは、医師に相談してください。

サプリメントを選ぶとき

NCCIHによると、ラベルに書かれていない微生物が混じっていた製品も報告されています。持病がある人や薬を飲んでいる人は、使う前に医師・薬剤師に相談してください。

 

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