コエンザイムQ10の効果は?多く含む食品と心不全・血圧・疲れへの研究結果、副作用と薬の飲み合わせ

コエンザイムQ10は体の中でエネルギーをつくるときに働く物質です。「CoQ10」「ユビキノン」とも呼ばれ、サプリメントとして多く売られています。日本では心不全の症状に使う医薬品の成分(一般名 ユビデカレノン)でもあります。

コエンザイムQ10は体の中でつくることができるため、厚生労働省の日本人の食事摂取基準(2025年版)では、摂る量の基準が定められていません。この記事では国立健康・栄養研究所や食品安全委員会、米国国立衛生研究所(NIH)などの資料をもとに、コエンザイムQ10の働き、食品に含まれる量、効果を調べた研究の結果、副作用と薬との飲み合わせを説明します。

 

コエンザイムQ10とは

食品安全委員会の解説によると、コエンザイムQ10は動物や植物の体内でつくられる脂溶性(油に溶けやすい性質)の物質で、ヒトの体内でもつくられます。国立健康・栄養研究所の解説では、ビタミンに似た働きをもつ「ビタミン様物質」とされています。血液中のコエンザイムQ10の60%は、体内でつくられたものだという報告があります。

ヒトは自分でつくれるので、コエンザイムQ10はビタミンには入りません。米国のオレゴン州立大学ライナス・ポーリング研究所の解説によると、健康な人でコエンザイムQ10が足りなくなる欠乏症は報告されていません。体内でつくる働きに生まれつきの異常がある、まれな遺伝性の病気は別です。

米国国立衛生研究所の補完統合衛生センター(NCCIH)によると、コエンザイムQ10は体の中では心臓、肝臓、腎臓、すい臓に多く含まれています。

 

コエンザイムQ10の働き

エネルギーをつくる

細胞の中のミトコンドリアでは、炭水化物や脂質からATP(細胞が使うエネルギーのもと)がつくられます。ライナス・ポーリング研究所によると、コエンザイムQ10はミトコンドリアの膜にあり、ATPをつくる反応の途中で電子を受け渡す役目をしています。

酸化を防ぐ

コエンザイムQ10には、酸化型(ユビキノン)と還元型(ユビキノール)があります。還元型のコエンザイムQ10は細胞の膜や血液中のリポたんぱく質(LDLなど)を酸化から守ります。同じく脂溶性で酸化を防ぐビタミンEが働いたあと、そのビタミンEをもとの形に戻す働きもあります。ビタミンEについては「ビタミンEの働きと1日の摂取量は?抗酸化作用・目安量と耐容上限量、薬との注意」で説明しています。

ただし、体の中で酸化を防ぐ働きがあることから、サプリメントで摂れば老化や病気を防げるとまでは言えません。国立健康・栄養研究所によると、健康な成人や肥満の人で、コエンザイムQ10を摂って体の酸化の度合い(酸化ストレス)が減るかを調べた研究は3件あり、どれも効果は認められませんでした。

コレステロールと同じ道筋でつくられる

ライナス・ポーリング研究所によると、体内でコエンザイムQ10をつくる道筋の途中には、コレステロールをつくるときと同じ酵素(HMG-CoA還元酵素)が働く段階があります。コレステロールを下げる薬のスタチンは、この酵素の働きを抑えます。スタチンを飲むと血液中のコエンザイムQ10は減りますが、これは血液中の脂質が減るためと考えられています。

 

コエンザイムQ10を多く含む食品

コエンザイムQ10は肉、魚、ナッツなどに含まれています。日本食品標準成分表(八訂)増補2023年には、コエンザイムQ10の量は載っていません。ライナス・ポーリング研究所が海外の分析値をまとめた表をもとに、主な食品の量を示します。

主な食品に含まれるコエンザイムQ10の量

食品 量 コエンザイムQ10
牛肉(焼いたもの) 約85g 2.6mg
ニシン(マリネ) 約85g 2.3mg
鶏肉(揚げたもの) 約85g 1.4mg
大豆油 大さじ1 1.3mg
なたね油 大さじ1 1.0mg
ニジマス(蒸したもの) 約85g 0.9mg
ピーナッツ(炒ったもの) 約28g 0.8mg
ごま(炒ったもの) 約28g 0.7mg
ピスタチオ(炒ったもの) 約28g 0.6mg
ブロッコリー(ゆでたもの) 刻んで1/2カップ 0.5mg
カリフラワー(ゆでたもの) 刻んで1/2カップ 0.4mg
オレンジ 中1個 0.3mg
いちご 1/2カップ 0.1mg
ゆで卵 中1個 0.1mg

※ライナス・ポーリング研究所の表の値です。約85gは3オンス、約28gは1オンスです。

同じ研究所によると、食事から摂るコエンザイムQ10は平均で1日3~6mgほどと見積もられています。血液中のコエンザイムQ10のうち、食事に由来するのは約25%です。

 

1日にどれくらい摂ればよいか

コエンザイムQ10には、食事摂取基準のような摂る量の基準がありません。国立健康・栄養研究所は、コエンザイムQ10を健康食品から摂ったほうがよいのか、どれくらい摂ったらよいのかは明確になっていないとしています。

添付文書によると、医薬品のユビデカレノンは、軽度と中等度のうっ血性心不全の症状に対して、ほかの基本の治療と一緒に使う薬です。成人は1回10mgを1日3回、食後に飲みます(1日30mg)。これは医師が処方する薬の量で、健康な人が摂る量の目安ではありません。

コエンザイムQ10を関与成分とする機能性表示食品には、1日に摂る量が書かれています。これは製品ごとに事業者が示した量で、コエンザイムQ10を摂るべき量の目安ではありません。

 

期待されている効果と研究の結果

疲れ・美容・肥満

コエンザイムQ10の健康食品は疲れをとる、肥満を解消する、美容によいといった効果をうたって売られています。国立健康・栄養研究所によると、体の疲れの度合いを調べた研究2件では、どちらも改善はみられませんでした。肥満や肌への影響を調べた研究は見当たらず、肥満や美容への効果の根拠は十分でないとしています。

還元型コエンザイムQ10は一時的な疲労を軽くする可能性があるとして、機能性表示食品としても売られています。機能性表示食品は、事業者が自分の責任で効果の根拠となるデータを調べ、製品にしたものです。同じ研究所は、どの程度効くかは、摂る人の体の状態や体質、食事などの生活習慣、製品の形によって違うとしています。

心不全

心不全の人を対象にした試験をまとめたコクランの系統的レビュー(2021年)では、11件の試験(1,573人)を調べています。コエンザイムQ10を摂ったグループでは、死亡と心不全による入院が少なかったとされています。ただし、死亡の結果は1件の試験(420人)、入院の結果は2件の試験(1,061人)によるもので、根拠の質は中くらいでした。多くの試験は人数が少なく、試験ごとに量や期間がばらばらでした。レビューは心不全にコエンザイムQ10を使うことを支持する、または否定する説得力のある根拠は今のところないと結論しています。

心不全の治療は、医師が薬を選んで行います。サプリメントを治療の代わりにしないでください。

血圧

高血圧の人で血圧が下がるかを調べたコクランの系統的レビュー(2016年)では、まとめて解析できた試験は2件(50人)でした。コエンザイムQ10を摂っても、上の血圧(収縮期血圧)は統計的に意味のある差がありませんでした。レビューはコエンザイムQ10には治療で意味をもつほどの血圧を下げる効果はないと結論しています。NCCIHも血圧に意味のある効果はおそらくないとしています。血圧が高いと言われた人の食事については「1日の食塩(塩分)は何gまで?目標量と減塩で下がる血圧|高血圧と食事」で説明しています。

心臓や血管の病気の予防

まだ病気になっていない人で、心臓や血管の病気を防ぐかを調べたコクランの系統的レビュー(2014年)では、試験は6件(218人)しかありませんでした。どれも20~52人の小さな試験で、期間は3か月ほどでした。死亡や心臓・血管の病気が起きたかを調べた試験はありませんでした。

スタチンによる筋肉の痛み

スタチンを飲んでいる人には、筋肉の痛みなどの症状が出ることがあります。コエンザイムQ10でこの症状が軽くなるかを調べた系統的レビューは結果が分かれています。12件の試験(575人)をまとめた2018年のメタアナリシスでは、筋肉の痛みなどが軽くなっていました。一方、7件の試験(321人)をまとめた2020年のメタアナリシスでは、筋肉の痛みは軽くならず、スタチンを飲み続けられた人の割合も変わりませんでした。NCCIHは全体として、コエンザイムQ10でスタチンによる筋肉の痛みが減るという考えは支持されないとしています。

スタチンを飲んでいて筋肉の痛みがあるときは、自分で薬をやめたりサプリメントを足したりせず、医師に相談してください。コレステロールが高いと言われた人の食事については「脂質異常症の食事とは?LDLコレステロール・中性脂肪を下げる食べ方と控えるもの」で説明しています。

片頭痛

片頭痛のある成人を対象にした6件の試験(371人)をまとめたメタアナリシス(2021年)では、コエンザイムQ10を摂ったグループで、発作の回数と続く時間が減っていました。頭痛の強さには統計的に意味のある差はありませんでした。試験の数と人数が少ないため、確かな結論とは言えません。

パーキンソン病

早期のパーキンソン病の人を対象にした米国のランダム化比較試験では、コエンザイムQ10を1日1,200mgまたは2,400mgという多い量で摂っても、症状の進み方は偽薬(有効成分を含まない薬)と変わらず、試験は途中で打ち切られました。NCCIHはほかの小さな研究もあわせて、パーキンソン病の症状には役立たないと結論した評価を紹介しています。

がん

NCCIHによると、コエンザイムQ10ががんの治療に役立つことは示されていません。また、一部のがんの治療と合わない可能性があるとしています。がんの治療中の人は、使う前に主治医に相談してください。

 

副作用と安全性

安全な上限は決められていない

国立健康・栄養研究所は、コエンザイムQ10は適切に摂れば安全性が高いと考えられるとしています。一方で、吐き気、嘔吐、下痢などの胃腸の症状が出ることがあり、サプリメントで薬剤性の肺炎になったという被害の報告もあります。医薬品のユビデカレノンの添付文書にも、副作用として胃の不快感、食欲の低下、吐き気、下痢、発疹が書かれています。

食品安全委員会は厚生労働省から依頼を受けて、コエンザイムQ10の安全性を評価しました。その結果、長く摂り続けたときの試験が足りないことなどから、データが不足していて、安全な摂取上限量を決めることは困難だと結論しています。日本では、医薬品として使われる1日30mgを超えるコエンザイムQ10を含む健康食品も売られています。国立健康・栄養研究所は、こうした製品では1日に摂る目安の量を確かめ、体調の変化に気をつけるよう呼びかけています。

健康食品と医薬品は同じではない

コエンザイムQ10は医薬品として使われているため、健康食品にも医薬品と同じ効果や安全性があると思われがちです。国立健康・栄養研究所によると、健康食品は製品によって含まれる量や品質にばらつきがあり、体への吸収のされ方も医薬品と同じではありません。

薬との飲み合わせ

  • ワルファリン(血液を固まりにくくする薬):コエンザイムQ10と一緒に摂って、ワルファリンの効き目が弱くなった例が報告されています。ワルファリンはビタミンKとの関係も大切です。くわしくは「ビタミンKの働きと1日の摂取量は?血液を固める・骨をつくる働きと納豆・ワルファリンの注意」をご覧ください。
  • 血圧を下げる薬:一緒に摂ると、薬の効き目が強くなる可能性があります。
  • インスリン:NCCIHは糖尿病の薬のインスリンと影響し合う可能性があるとしています。

 

コエンザイムQ10を摂るときの注意

  • コエンザイムQ10には摂る量の基準がありません。体の中でつくられ、健康な人で足りなくなることは報告されていません。
  • サプリメントを使うときは表示の量を守り、ほかの製品と重ねて摂らないでください。
  • 薬を飲んでいる人、とくにワルファリンや血圧の薬、インスリンを使っている人は、使う前に医師・薬剤師に相談してください。
  • 心不全などの病気がある人は、サプリメントを治療の代わりにしないでください。
  • 授乳中の人は、信頼できる十分な情報がないため、自分の判断で摂らないでください。妊娠中の人も、使う前に医師に相談してください。
  • 体調がおかしいと感じたら、すぐに摂るのをやめて医師に相談してください。

 

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