カフェインは1日何mgまで?コーヒー・お茶の含有量と摂りすぎの症状、妊娠中の目安

カフェインはコーヒー豆、茶葉(マテ茶を含む)、カカオ豆、ガラナなどに天然に含まれている成分です。日本では、コーヒーと茶がおもな摂取源です。コーヒー豆や茶葉から取り出したカフェインは、苦味をつける食品添加物として清涼飲料水などに加えられることもあります。また、風邪薬や眠気防止薬、酔い止め薬などの市販薬に含まれていることもあります。

カフェインは栄養素ではないため、厚生労働省の日本人の食事摂取基準(2025年版)では、摂る量の基準が定められていません。この記事では農林水産省・厚生労働省・食品安全委員会などの公的な資料をもとに、カフェインの働き、食品に含まれる量、海外の機関が示している1日の量の目安、摂りすぎたときの症状と注意点を説明します。

 

カフェインの働き

脳の中には神経の働きをしずめる「アデノシン」という物質があります。アデノシンは受容体と呼ばれる決まった場所に結合して働きます。カフェインはアデノシンと化学構造が似ているため、この受容体に先に結合します。するとアデノシンが結合できなくなり、神経をしずめる働きが妨げられます。

この仕組みにより、カフェインを適量摂ると、頭がさえて眠気がさめます。食品安全委員会のファクトシートも、この効果を挙げています。

 

コーヒーやお茶に含まれるカフェインの量

農林水産省「カフェインの過剰摂取について」に、代表的な食品のカフェインの量がまとめられています。コーヒー・お茶の値は日本食品標準成分表2020年版(八訂)によるもので、いれ方によって量は変わります。

食品に含まれるカフェインの量

食品 カフェインの量 いれ方など
エナジードリンク・眠気覚ましの飲料 28~300mg/100mL(1本あたり50~170mg) 製品によって濃度と内容量が違う
コーヒー(いれたもの) 60mg/100mL 粉10g、熱湯150mL
インスタントコーヒー 1杯あたり80mg 粉2gを使った場合
玉露 160mg/100mL 茶葉10g、60℃の湯60mL、2.5分
抹茶 1杯あたり48mg 粉1.5gを湯70mLに溶かした場合
紅茶 30mg/100mL 茶葉5g、熱湯360mL、1.5~4分
せん茶 20mg/100mL 茶葉10g、90℃の湯430mL、1分
ほうじ茶 20mg/100mL 茶葉15g、90℃の湯650mL、0.5分
ウーロン茶 20mg/100mL 茶葉15g、90℃の湯650mL、0.5分
玄米茶 10mg/100mL 茶葉15g、90℃の湯650mL、0.5分

※エナジードリンク・眠気覚ましの飲料の値は、市販12製品の成分表示などを農林水産省が調べたもの(2026年7月)です。

エナジードリンクの成分表示は、多くが100mLあたりの量で書かれています。1本あたりにすると、コーヒー約2杯分のカフェインを含む製品もあります。飲む前に表示で1本あたりの量を確かめてください。

 

1日に摂ってよいカフェインの量

日本には基準がない

カフェインの感じ方は人によって大きく違います。そのため、一生摂り続けても健康に悪い影響が出ないと考えられる1日の量(一日摂取許容量)は、日本でも国際的にも設定されていません。農林水産省も、日本では明確な基準や具体的な摂取量の目安は示していないとしています。

海外の機関が示している目安

海外では、健康に悪い影響が出ないと考えられる量を、いくつかの機関が示しています。これは「この量を摂るとよい」という量ではなく、「この量までなら健康への影響の心配はない」とされる量です。

海外の機関が示しているカフェインの量の目安

対象 欧州食品安全機関(EFSA) カナダ保健省
健康な成人 1日400mgまで、1回200mgまで 1日400mgまで
妊婦 1日200mgまで 1日300mgまで
授乳中の人 1日200mgまで、1回200mgまで 1日300mgまで
子ども 体重1kgあたり1日3mgまで 体重1kgあたり1日2.5mgまで

※EFSAの1回200mgは体重70kgの成人で体重1kgあたり約3mgにあたる量です。

※カナダ保健省は子どもの量を年齢別にも示しています(4~6歳は1日45mgまで、7~9歳は1日62.5mgまで、10~12歳は1日85mgまで)。

カナダ保健省の資料では、1日400mgはマグカップ(237mL)のコーヒー約3杯にあたります。アメリカの食品医薬品局(FDA)も、健康な成人で1日400mgまでなら健康への危険な悪影響はないとしています。

ただし、これらの量より少なくても、カフェインに敏感な人は眠れなくなるなどの影響が出ることがあります。食品安全委員会のファクトシートによると、オーストリアの保健・食品安全局は、寝る直前に1回100mgのカフェインを摂ると、一部の成人で眠りが妨げられることがあるとしています。コーヒー1杯でも眠れなくなる人がいることも紹介されています。

 

期待されている効果と研究の結果

カフェインについて期待されている効果ごとに、研究で分かっていることをまとめた表

眠気をさます・集中力

カフェインを適量摂ると頭がさえ、眠気がさめます。これは先に説明したアデノシンの働きを妨げる仕組みによるもので、確かめられている働きです。

運動のパフォーマンス

国際スポーツ栄養学会は2021年の見解で、多くの研究でカフェインが運動のパフォーマンスを高めることが示されているとしています。ただし、効果には個人差があり、カフェインの分解にかかわる遺伝的な違いや、ふだんカフェインを摂っているかどうかなどが関係している可能性があります。カフェインは世界アンチ・ドーピング機構の禁止物質ではありませんが、使用状況を調べる監視の対象になっています。

コーヒー・お茶と病気の関係

コーヒーや緑茶を飲む量と病気の関係を調べた研究もあります。国立がん研究センターの多目的コホート研究(JPHC研究)では、40~69歳の日本人約9万人を追跡しました。コーヒーを1日3~4杯飲む人は、ほとんど飲まない人に比べて、死亡のリスクが24%低くなっていました。心臓病・脳血管の病気・呼吸器の病気による死亡のリスクも低く、がんによる死亡とは関係がみられませんでした。

ただし、これは飲む量と病気の関係を調べた観察研究で、コーヒーが死亡を減らしたと確かめたものではありません。また、この研究ではカフェインを抜いたコーヒーと分けて調べていないため、カフェインの効果かどうかは分かりません。コーヒーにはカフェインのほかにクロロゲン酸などの成分も含まれています。

なお、国際がん研究機関(IARC)は1991年の評価で、カフェインを「グループ3(ヒトに対して発がん性があるとは分類できない)」に分類しています。

 

カフェインを摂りすぎるとどうなる?

摂りすぎたときの症状

カフェインを摂りすぎて脳や神経が刺激されすぎると、めまい、心拍数の増加、興奮、不安、震え、不眠が起こります。胃腸が刺激されて、下痢や吐き気、嘔吐が起こることもあります。

エナジードリンクを多く飲んで中毒で亡くなった例もあります。ドイツでは、若い女性が高濃度のカフェイン粉末をティースプーン2杯(約9g)摂り、急性中毒で亡くなっています。アメリカのFDAによると、純粋なカフェイン粉末はティースプーン1杯でコーヒー約28杯分にあたります。粉末や高濃度の液体のカフェインは、少しの量でも危険なので使わないでください。

長く摂り続けたときの影響

長い期間の影響としては、次のような可能性が指摘されています。

  • 人によっては、高血圧になるリスクが高くなる可能性
  • カルシウムの摂取量が少ない人では、カルシウムが体の外に出やすくなり、骨粗鬆症の原因になる可能性
  • 妊婦が多く摂った場合に、胎児の発育が妨げられる(生まれたときの体重が少なくなる)可能性

心臓や血管の病気がある人は、カフェインを多く摂ると特別な健康上のリスクにつながる恐れがあるとされています。

やめたときの頭痛(離脱症状)

MSDマニュアル家庭版「頭痛の概要」によると、カフェインの摂取をやめたときに、頭痛がよくみられます。北欧の子どもと若者の評価では少ない量のカフェインでも、体が慣れて効きにくくなる(耐性)、やめたときの症状、不安、イライラ感が出ることが示されています。

 

妊娠中・授乳中のカフェイン

妊娠中は母親の血液からカフェインがなくなるまでの時間が大きくのびます。世界保健機関(WHO)は2016年に、1日300mgを超えるカフェインを摂っている妊婦では、流産や生まれたときの低体重のリスクが高まる可能性があるとして、妊娠中はカフェインを減らすよう呼びかけています。前の表のとおり、EFSAは妊婦について1日200mgまでとしています。

食品安全委員会は、カフェインをまったく摂らないようにする必要はないものの、妊娠中はいつも以上に摂りすぎに注意するよう呼びかけています。

授乳中は、カフェインが母乳を通じて赤ちゃんに少しずつ移ります。アメリカの疾病予防管理センター(CDC)は、母親の摂る量が少しから中くらい(1日約300mg以下、コーヒー2~3杯分)であれば、ふつうは赤ちゃんに悪い影響はないとしています。一方、1日にコーヒー10杯以上を飲む母親の赤ちゃんでは、イライラや寝つきの悪さが報告されています。早産の赤ちゃんや生まれたばかりの赤ちゃんはカフェインの分解が遅いため、母親はさらに量を減らすことを考えたほうがよいとされています。

 

子どものカフェイン

子どもはカフェインの影響を受けやすいため、海外の機関は体重あたりの量で目安を示しています(前の表)。厚生労働省は、子ども、妊婦、授乳中の人、カフェインに敏感な人は、エナジードリンクなどを飲むのを控えるよう呼びかけています。

 

カフェインを摂るときの注意

厚生労働省の食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&Aと農林水産省の資料をもとに、注意点をまとめます。

  • エナジードリンクは表示で1本あたりのカフェインの量を確かめ、1日に何本も飲まない。ほかのカフェインを含む食品といっしょに摂らない。
  • エナジードリンクなどとお酒をいっしょに飲まない。カフェインが酔いの感覚を隠すため、お酒を飲みすぎてしまうことがあります。カフェインはアルコールの分解を速めるわけではありません。
  • カフェインを含む薬(風邪薬、眠気防止薬、酔い止め薬など)を飲むときは、コーヒー、お茶、エナジードリンクといっしょに飲まない。添付文書を読み、用法・用量を守ってください。
  • 子ども、妊婦、授乳中の人、カフェインに敏感な人は、カフェインを取り除いた製品(デカフェ)を使うのも方法の1つです。
  • 病気で治療中の人や薬を飲んでいる人は、カフェインの摂り方を医師・薬剤師に相談してください。

 

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