カテキンはお茶に含まれるポリフェノールの一種です。特定保健用食品(トクホ)の関与成分としても使われています。
カテキンは栄養素ではないため、厚生労働省の日本人の食事摂取基準(2025年版)では、摂る量の基準が定められていません。この記事では国立健康・栄養研究所や欧州食品安全機関(EFSA)、米国国立衛生研究所(NIH)などの資料をもとに、カテキンの種類、お茶に含まれる量、体脂肪やコレステロールへの効果を調べた研究の結果、摂りすぎたときの注意を説明します。
カテキンとは
緑茶・紅茶・ウーロン茶はどれもチャ(学名 Camellia sinensis)という同じ植物の葉から作られます。緑茶は葉を蒸したり炒ったりして乾燥させ、発酵させません。紅茶は発酵させ、ウーロン茶は一部だけ発酵させて作ります。
EFSAの評価によると、緑茶は発酵させないため、ポリフェノールが酸化されずに残ります。緑茶に含まれるポリフェノールの大部分はカテキンです。
京都府茶業研究所の解説によると、緑茶の茶葉には約10~14%のカテキン類が含まれています。おもなカテキンは次の4種類です。
- エピカテキン(EC)
- エピカテキンガレート(ECg)
- エピガロカテキン(EGC)
- エピガロカテキンガレート(EGCg)
このうちエピガロカテキンガレート(EGCg、EGCGとも書きます)がいちばん多く、カテキン類の約50~60%を占めています。
お茶に含まれるカテキンの量
日本食品標準成分表(八訂)増補2023年には、カテキンだけの量は載っていません。そのかわり、カテキンなどのポリフェノールをまとめた「タンニン」の量が、カフェインの量と一緒に載っています。タンニンの量はカテキンの量と同じではありませんが、お茶の種類ごとの違いをみる目安になります。
お茶に含まれるタンニンとカフェインの量(100gあたり)
| お茶 | タンニン | カフェイン | いれ方 |
|---|---|---|---|
| 玉露(浸出液) | 230mg | 160mg | 茶葉10g、60℃の湯60mL、2.5分 |
| 紅茶(浸出液) | 100mg | 30mg | 茶葉5g、熱湯360mL、1.5~4分 |
| せん茶(浸出液) | 70mg | 20mg | 茶葉10g、90℃の湯430mL、1分 |
| かまいり茶(浸出液) | 50mg | 10mg | 茶葉10g、90℃の湯430mL、1分 |
| ほうじ茶(浸出液) | 40mg | 20mg | 茶葉15g、90℃の湯650mL、0.5分 |
| 番茶(浸出液) | 30mg | 10mg | 茶葉15g、90℃の湯650mL、0.5分 |
| ウーロン茶(浸出液) | 30mg | 20mg | 茶葉15g、90℃の湯650mL、0.5分 |
| 玄米茶(浸出液) | 10mg | 10mg | 茶葉15g、90℃の湯650mL、0.5分 |
| 抹茶(粉末) | 10.0g | 3.2g | 粉末そのものの量 |
※日本食品標準成分表(八訂)増補2023年の備考欄の値です。浸出液は表のいれ方でいれたお茶100gあたりの量です。
※紅茶とウーロン茶は発酵させて作るため、含まれるポリフェノールの種類が緑茶とは違います。
同じ緑茶でも、玉露は少ない湯で濃くいれるため、せん茶よりタンニンもカフェインも多くなっています。抹茶は茶葉を粉にしたもので、湯に溶かして葉ごと飲みます。お茶のカフェインの量は「カフェインは1日何mgまで?コーヒー・お茶の含有量と摂りすぎの症状、妊娠中の目安」にまとめています。
EFSAの評価では、ヨーロッパの成人が緑茶を飲んで摂るエピガロカテキンガレートの量は平均で1日90~300mg、多く飲む人では1日866mgまでと見積もられています。
1日にどれくらい摂ればよいか
カテキンには、食事摂取基準のような摂る量の基準がありません。
カテキンを関与成分とするトクホや機能性表示食品には、1日に摂る量が書かれています。これは製品の効果を確かめた試験で使った量で、カテキンを摂るべき量の目安ではありません。
期待されている効果と研究の結果
体脂肪・体重
茶カテキンは「体脂肪が気になる方に」と表示するトクホの関与成分の1つです。国立健康・栄養研究所の解説によると、このタイプのトクホは、BMIがやや高めの人(23以上30未満)を対象にした試験の結果をもとに許可されています。こうした試験では脂質の摂取量を同じ年代の平均以下に抑えたうえで、ふつうの製品をトクホに置き換えて効果をみています。ある試験では、食事をすべて栄養士が用意し、適度な運動も行っていました。同じ解説は、トクホでも、食べたり飲んだりすればすべての人に効果が出るわけではないとしています。
一方、緑茶の成分による減量を調べた研究をまとめたコクランの系統的レビュー(2012年)では、太りぎみの成人で12週以上続けた試験を調べています。日本以外で行われた6件の試験をまとめると、体重の差は平均0.04kgで、統計的に意味のある差はありませんでした。日本で行われた8件は試験ごとの違いが大きくてまとめられず、体重の減り方は0.2~3.5kgでした。レビューは、緑茶の成分による体重の減少はわずかで、健康のうえで意味のある差ではないと考えられると結論しています。減量したあとに体重を保つ効果も認められませんでした。
米国国立衛生研究所の補完統合衛生センター(NCCIH)も、緑茶のカテキンとカフェインが体重に与える効果はあってもわずかで、製品の成分や運動量によって変わるとしています。
コレステロール・血圧
緑茶と紅茶が心臓や血管の病気を防ぐかを調べたコクランの系統的レビュー(2013年)では、3か月以上続けたランダム化比較試験を集めています。緑茶の試験は7件でした。緑茶を摂ったグループでは、総コレステロール、LDLコレステロール、血圧が少し下がっていました。ただし、それぞれの解析に使えた試験は少なく、条件を変えて解析し直すと結果が変わりました。心臓や血管の病気そのものが減るかを調べた試験はありませんでした。
NCCIHによると、こうした試験の多くは飲み物の緑茶ではなく、緑茶抽出物のサプリメントを使っていました。総コレステロールとLDLコレステロールはわずかに下がりましたが、HDLコレステロールと中性脂肪は変わりませんでした。コレステロールが高いと言われた人の食事については「脂質異常症の食事とは?LDLコレステロール・中性脂肪を下げる食べ方と控えるもの」で説明しています。
緑茶を飲む量と死亡の関係
国立がん研究センターなどの多目的コホート研究(JPHC研究)では、40~69歳の日本人約9万人を約19年追跡しました。緑茶を1日1杯未満しか飲まない人に比べて、1日5杯以上飲む人は、死亡のリスクが男性で13%、女性で17%低くなっていました。心臓病による死亡のリスクは男女とも、脳血管の病気と呼吸器の病気による死亡のリスクは男性で低くなっていました。がんによる死亡全体とは関係がみられませんでした。
ただし、これは飲む量と病気の関係を調べた観察研究で、緑茶やカテキンが死亡を減らしたと確かめたものではありません。また、緑茶にはカテキンのほかにカフェインなどの成分も含まれています。
がん
カテキンには、試験管の実験でがん細胞が増えるのを抑えたという報告があります。しかし、ヒトで緑茶とがんの関係を調べたコクランの系統的レビュー(2020年)では、142件の研究を調べても結果が一致せず、緑茶ががん全体や特定のがんを防ぐという根拠は限られているとしています。がんによる死亡と緑茶を飲む量には関係がみられませんでした。
かぜ・インフルエンザ
お茶やカテキンがかぜやインフルエンザを防ぐかを調べた研究もあります。国立健康・栄養研究所は研究をまとめた解説で、一定の効果がある可能性は示されているものの、現時点では有効性を示す十分な科学的根拠があるとは言えないとしています。インフルエンザで効果がみられた試験は、ウイルスの検査ではなく症状だけで判断していたことなどが理由です。新型コロナウイルス感染症に対する予防効果は確認されていません。
抗酸化作用について
カテキンには、試験管の中で物質の酸化を防ぐ働き(抗酸化作用)があります。ただし、試験管で抗酸化作用があることから、体の中で老化や病気を防ぐとまでは言えません。上で紹介したように、ヒトでの研究では、がんなどの病気を防ぐという結論は出ていません。
カテキンを摂りすぎるとどうなる?
飲み物としてのお茶
NCCIHによると、成人がふつうに飲み物として飲む緑茶で、安全上の問題は報告されていません。EFSAも、昔ながらの方法でいれた緑茶と、それと同じ成分の飲料に含まれるカテキンは、一般に安全と考えられるとしています。ただし、緑茶でもまれに肝臓の障害が報告されており、その人の体質による反応と考えられています。
お茶にはカフェインも含まれているので、カフェインの摂りすぎには注意が必要です。
サプリメント(緑茶抽出物)
注意が必要なのは、緑茶抽出物を錠剤やカプセルにしたサプリメントです。EFSAは、サプリメントとしてエピガロカテキンガレートを1日800mg以上摂った試験で、肝臓の障害の目安になる血液検査の値(トランスアミナーゼ)が、摂らなかった人より上がったとしています。
NCCIHによると、緑茶抽出物のサプリメントでは、吐き気、便秘、おなかの不快感、血圧の上昇が起こることがあります。まれですが、おもに錠剤やカプセルの緑茶抽出物で肝臓の障害も報告されています。免疫にかかわる遺伝子が特定の型の人で起こりやすく、アメリカ人の5~15%がこの型を持っているとされています。コクランの系統的レビュー(2020年)でも、緑茶抽出物を摂った試験で、胃腸の不調や肝臓の酵素の値の上昇がみられています。
緑茶抽出物のサプリメントを飲んでいて体調がおかしいと感じたときは、飲むのをやめて医師に相談してください。
鉄の吸収
国立健康・栄養研究所の鉄の解説によると、ポリフェノールや茶は、植物性食品に多い非ヘム鉄の吸収を妨げます。鉄の吸収をよくする食べ方は「鉄の働きと1日の摂取量は?月経の有無別の推奨量と吸収を高める食べ方、耐容上限量がなくなった理由」で説明しています。
薬との飲み合わせ
NCCIHによると、多量の緑茶は、高血圧や心臓病の薬ナドロール(β遮断薬)の血液中の濃度を下げ、効き目を弱めます。緑茶抽出物はコレステロールを下げる薬アトルバスタチンの血液中の濃度を下げます。骨粗鬆症の薬ラロキシフェンとの飲み合わせも報告されています。
カテキンを摂るときの注意
- カテキンには摂る量の基準がありません。飲み物としてのお茶では、カテキンによる安全上の問題は報告されていません。
- 緑茶抽出物のサプリメントは表示の量を守ってください。カテキンを多く含む飲料やほかのサプリメントと重ねて摂らないでください。
- 薬を飲んでいる人、肝臓の病気がある人は、緑茶抽出物のサプリメントを使う前に医師・薬剤師に相談してください。
- 妊娠中・授乳中の人と子どもは、お茶に含まれるカフェインの量に気をつけてください。
- 貧血と言われた人は、食事と一緒に飲むお茶について医師や管理栄養士に相談してください。
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