コラーゲンは体の中で最も多いたんぱく質です。皮膚、骨、腱(筋肉と骨をつなぐ組織)、軟骨などに多く含まれ、組織を丈夫にしています。肌や関節によいとして、コラーゲンを使ったサプリメントや飲み物がたくさん売られています。
コラーゲンは、厚生労働省の日本人の食事摂取基準(2025年版)では、摂る量の基準が定められていません。この記事では、食品成分表や大学・公的機関の資料、研究をまとめた論文をもとに、コラーゲンの働き、多く含む食品、食べたコラーゲンが体の中でどうなるか、肌や関節への効果についての研究の結果、摂るときの注意を説明します。
コラーゲンとは
コラーゲンは細い繊維のような形をしたたんぱく質です。組織どうしをつなぐ「結合組織」の主な材料で、皮膚、骨、筋肉、腱、軟骨をつくっています。組織を強くし、引っ張られても切れにくくする働きがあります。
コラーゲンは、グリシン、プロリン、ヒドロキシプロリンというアミノ酸を多く含みます。体は、食事から摂ったたんぱく質のアミノ酸を材料に、自分でコラーゲンをつくっています。
米国ハーバード大学公衆衛生大学院の「The Nutrition Source: Collagen」によると、体がつくるコラーゲンの量は年齢とともに減っていきます。日光を浴びすぎること、喫煙、お酒の飲みすぎ、睡眠や運動の不足でも、減り方が早くなります。年齢を重ねると、皮膚の深い層のコラーゲンの繊維は、整った網の目の形が崩れていきます。日光などで繊維が傷つくと、細く弱くなり、皮膚の表面のしわにつながります。
コラーゲンを多く含む食品
食品のコラーゲンは肉や魚の皮、すじ、軟骨など、結合組織の多い部分に含まれます。ゼラチンは、動物の骨や皮を煮てコラーゲンを取り出したものです。植物性の食品にはコラーゲンは含まれていません。
食品成分表にはコラーゲンの量の欄はありませんが、コラーゲンに多いアミノ酸であるヒドロキシプロリンの量は載っています。文部科学省の日本食品標準成分表(八訂)増補2023年 アミノ酸成分表編から、ヒドロキシプロリンが多い食品と、比べるために鶏むね肉の値を示します。
ヒドロキシプロリンを多く含む食品(可食部100gあたり)
| 食品 | ヒドロキシプロリン | たんぱく質 |
|---|---|---|
| ゼラチン | 13,000mg | 87.6g |
| 牛すじ(うし 腱 ゆで) | 3,700mg | 31.0g |
| 鶏の手羽さき(皮つき 生) | 730mg | 17.4g |
| あひるの皮(生) | 640mg | 7.3g |
| うなぎ(養殖 生) | 490mg | 17.1g |
| 鶏の皮(もも 生) | 460mg | 6.6g |
| 鶏むね肉(皮なし 生) | 63mg | 23.3g |
※ヒドロキシプロリンの量はコラーゲンの量そのものではありません。コラーゲンの多さの目安として示しています。
同じ鶏肉でも、皮や手羽さきには、皮のないむね肉の7~12倍のヒドロキシプロリンが含まれています。
食べたコラーゲンは体の中でどうなるか
消化されてアミノ酸やペプチドになる
食べたコラーゲンはほかのたんぱく質と同じように消化され、アミノ酸や、アミノ酸がいくつかつながった「ペプチド」になって吸収されます。ハーバード大学の解説では、吸収されたアミノ酸は、体がたんぱく質を必要としているところに配られるとしています。食べたコラーゲンが、そのまま肌や関節のコラーゲンになるわけではありません。
一方、コラーゲンを分解したもの(ゼラチンの加水分解物)を健康な男性5人が飲んだ研究では、血液中に、プロリンとヒドロキシプロリンがつながったペプチドなどが見つかりました(Ohara ほか、2007年)。このようなペプチドが体の中で何か働きをするかどうかは、この研究では調べていません。人数の少ない研究で、食品会社の研究者が行ったものです。
市販のサプリメントの多くは、吸収しやすいように細かく分解した「コラーゲンペプチド」や「加水分解コラーゲン」の形になっています。
たんぱく質としては必須アミノ酸がかたよっている
コラーゲンはたんぱく質ですが、体の中でつくれない必須アミノ酸のひとつ、トリプトファンをほとんど含みません。食品成分表のアミノ酸成分表編では、100gあたりのトリプトファンは、ゼラチンが7.7mg(たんぱく質87.6g)、鶏卵(全卵 生)が190mg(たんぱく質12.2g)です。
そのため、コラーゲンだけでは体に必要なたんぱく質を補えません。たんぱく質は、肉、魚、卵、大豆製品、乳製品などいろいろな食品から摂ることが大切です(たんぱく質の種類、必須アミノ酸の記事)。
1日にどれくらい摂ればよいか
コラーゲンは、食事から摂らなければならない栄養素(必須栄養素)ではありません。食事摂取基準には、コラーゲンの推奨量も耐容上限量(これ以上摂ると健康障害のリスクが高まる量)もなく、「1日にこれだけ摂るとよい」という公的な目安はありません。
コラーゲンもたんぱく質なので、摂った分はたんぱく質の量に含まれます。たんぱく質の1日の摂取量の目安は、たんぱく質の働きと1日の摂取量の記事で説明しています。
期待されている効果と研究の結果
コラーゲンのサプリメントの研究は、肌と関節についてのものがほとんどです。ハーバード大学の解説は、コラーゲンのサプリメントの研究のほとんど、またはすべてが、関連する業界から資金を受けているか、著者が業界とつながりを持っていると指摘しています。そのため、本当の効果を判断しにくいとしています。
肌の保湿・弾力・しわ
ランダム化比較試験(RCT)をまとめた研究(メタアナリシス)の結果は、次のように分かれています。
- 26本のRCT(1,721人)をまとめた2023年の研究では、加水分解コラーゲンを飲むと、プラセボ(有効成分を含まない偽の食品)と比べて肌の保湿と弾力が改善しました。ただし、まとめた研究に偏りがあり、大きな研究で確かめる必要があるとしています(Pu ほか、2023年)。
- 23本のRCT(1,474人)をまとめた2025年の研究では、全体では保湿、弾力、しわが改善しました。しかし、製薬会社などから資金を受けていない研究だけを見ると効果はなく、質の高い研究だけを見ても効果はありませんでした。この研究は、肌の老化を防いだり治したりするためにコラーゲンのサプリメントを使う根拠は、今のところないと結論しています(Myung ほか、2025年)。
肌への効果は、あるとしても、研究の質や資金の出どころによって結果が変わる程度のものと考えられます。
関節の痛み(変形性関節症)
変形性関節症(関節の軟骨がすり減って痛む病気)の人を対象にしたRCTをまとめた研究があります。
- 35本のRCT(3,165人)をまとめた2024年の研究では、コラーゲンやコラーゲンを分解したものを摂ると、痛みが和らぎ、関節の動きがよくなりました。効果の大きさは「小さい~中くらい」でした。副作用が増えることはありませんでした(Liang ほか、2024年)。
- 膝の変形性関節症の11本のRCT(870人)をまとめた2025年の研究でも、痛みと動きのスコアが改善しました。ただし、研究ごとの結果のばらつきが大きいことが示されています(Simental-Mendía ほか、2025年)。
関節の痛みには、ある程度の効果を示す研究が多くあります。ただし、肌の研究と同じように業界の資金を受けた研究が多いことに注意が必要です。関節の痛みがある人は、まず整形外科などで原因を調べてもらうことが大切です。
肌に塗るコラーゲン
ハーバード大学の解説によると、コラーゲンは皮膚の表面ではなく深い層にあります。コラーゲンの繊維は大きすぎて皮膚の外側の層を通り抜けられず、短いペプチドにしても通り抜けやすくなるという裏付けはありません。塗ったコラーゲンで肌の中のコラーゲンを増やすことは期待できません。
コラーゲンを摂るときの注意
サプリメントの安全性
ハーバード大学の解説では、これまでの研究で、コラーゲンのサプリメントを摂った人に悪い副作用はみられていないとしています。一方で、製品の中身や、表示どおりの効果があるかは分からず、重金属が含まれている心配も指摘されています。
骨を長く煮込んだスープ(ボーンブロス)は、骨の種類や煮る時間によってアミノ酸の量が大きく変わります。鶏の骨のスープに、肉だけでつくったスープの3倍の鉛が含まれていたという小さな研究もあります(1杯あたりの量は、米国の飲み水の基準の半分未満でした)。
ハーバード大学の解説は、サプリメントを飲むことが、睡眠を十分にとる、たばこをやめるといった、コラーゲンが減るのを防ぐ生活習慣を怠る言い訳になるおそれも指摘しています。
ゼラチンのアレルギー
ゼラチンは食物アレルギーの原因になることがある食品です。消費者庁の「アレルギー表示とは」では、ゼラチンは「特定原材料に準ずるもの」として、加工食品に表示することがすすめられている20品目のひとつです(表示は義務ではありません)。ゼラチンや、原料の牛・豚・魚にアレルギーのある人は、コラーゲンの製品の原材料を確かめてください。
病気の人・妊娠中・薬を飲んでいる人
- 腎臓病などでたんぱく質を控えるよう言われている人は、コラーゲンの製品もたんぱく質として数える必要があります。使う前に医師に相談してください。
- 妊娠中・授乳中の人、病気で治療中の人、薬を飲んでいる人は、サプリメントを使う前に医師・薬剤師に相談してください。
コラーゲンをつくるために大切なこと
体がコラーゲンをつくるには、材料のアミノ酸を含むたんぱく質のほか、ビタミンCが必要です。ビタミンCが不足するとコラーゲンがうまくつくれず、血管がもろくなって出血しやすくなります(ビタミンCの効果の記事)。ハーバード大学の解説は、亜鉛もコラーゲンをつくるのに必要な栄養素として挙げています。
- たんぱく質:魚、鶏肉、肉、卵、乳製品、豆類、大豆製品
- ビタミンC:柑橘類、いちごなどの果物、緑の葉の野菜、ピーマン、トマト(ビタミンCが多い食品ランキング)
- 亜鉛:貝類、肉、豆類、ナッツ、種実、全粒穀物(亜鉛の働きと1日の摂取量の記事)
あわせて、日光を浴びすぎない、たばこを吸わない、お酒を飲みすぎない、よく眠り体を動かすことも、コラーゲンが減るのを防ぐことにつながります。
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