ルテインはほうれん草やケールなどの緑の濃い野菜に多く含まれる黄色の色素で、カロテノイドの仲間です。目の網膜の中心にある「黄斑」に集まっていることから、目のサプリメントの成分として広く売られています。
ルテインは厚生労働省の日本人の食事摂取基準(2025年版)では基準が定められていません。この記事では日本眼科学会や米国国立眼研究所(NEI)の解説、大規模な試験、系統的レビューをもとに、ルテインの働き、多く含む食品、目の病気などへの効果を調べた研究の結果、安全性と注意を説明します。
結論を先に書くと、ルテインだけで目の病気を防げることは示されていません。一方、すでに一定以上進んだ加齢黄斑変性の人では、ルテインを含む決まった配合のサプリメントが進行を遅らせる可能性があります。
ルテインとは
カロテノイドは植物などがつくる黄、橙、赤の色素です。米国のオレゴン州立大学ライナス・ポーリング研究所の解説によると、ルテインはよく似た構造のゼアキサンチンとともに、食事に含まれる主なカロテノイドのひとつです。
β-カロテンは体の中でビタミンAに変わりますが、ルテインとゼアキサンチンはビタミンAに変わりません。β-カロテンについては「ビタミンAの働きと1日の摂取量は?推奨量・耐容上限量とβ-カロテンの換算、摂りすぎの注意」で説明しています。
ルテインの働き
黄斑に集まって青い光を吸収する
日本眼科学会の解説によると、黄斑は網膜の中心にある直径1.5~2mmほどの小さな部分で、ものをはっきり見たり、細かいものを見分けたりする働きをもっています。
ライナス・ポーリング研究所によると、ルテイン、ゼアキサンチンと、ルテインから体内でできるメソゼアキサンチンは黄斑に高い濃度で集まり、「黄斑色素」と呼ばれます。黄斑色素は目に入った青い光を最大で90%吸収します。目にあるルテインとゼアキサンチンのもとは食事です。
酸化を防ぐ働きは証明されていない
青い光が目の奥に届く量を減らすことで、光による酸化の害を防いでいる可能性が考えられています。ルテインなどが網膜でできる酸化物質を直接消す可能性もありますが、証明はされていません。
また、この仕組みから「ルテインを摂れば目の老化や病気を防げる」とまでは言えません。実際にヒトで調べた結果は、下の「期待されている効果と研究の結果」で説明します。
ルテインを多く含む食品
ルテインは緑の濃い葉野菜に多く含まれています。日本食品標準成分表(八訂)増補2023年の本表には、ルテインの量は載っていません。ライナス・ポーリング研究所が米国の食品データをもとにまとめた表から、主な食品の量を示します。
主な食品に含まれるルテインとゼアキサンチンの合計量
| 食品 | 量 | ルテイン+ゼアキサンチン |
|---|---|---|
| ほうれん草(冷凍、加熱) | 1カップ | 29.8mg |
| カブの葉(冷凍、加熱) | 1カップ | 19.5mg |
| コラードグリーン(冷凍、加熱) | 1カップ | 18.5mg |
| カラシナ(加熱) | 1カップ | 14.6mg |
| ケール(冷凍、加熱) | 1カップ | 5.9mg |
| グリーンピース(冷凍、加熱) | 1カップ | 3.8mg |
| パンプキン(加熱) | 1カップ | 2.5mg |
| 芽キャベツ(冷凍、加熱) | 1カップ | 2.4mg |
| ブロッコリー(冷凍、加熱) | 1カップ | 2.0mg |
| スイートコーン(ゆで) | 1カップ | 1.4mg |
| アボカド(生) | 1個 | 0.5mg |
| 卵(加熱) | Lサイズ1個 | 0.2mg |
※ライナス・ポーリング研究所の表の値です。測り方によってルテインとゼアキサンチンを分けられないことが多いため、合計で示しています。
同じ研究所によると、カロテノイドは脂溶性(油に溶けやすい性質)で、吸収には食事の脂肪が必要です。1食に3~5gの脂肪があれば足りるとみられています。また、加工や加熱で食品から放出されやすくなり、吸収が増えます。卵黄やアボカドは、含まれるルテインは少ないものの吸収されやすい食品です。
1日にどれくらい摂ればよいか
ルテインには、食事摂取基準のような摂る量の基準がありません。
研究に使われたサプリメントの量(下で説明する大規模試験の1日10mgなど)は試験の条件で、健康な人が摂る量の目安ではありません。ルテインを関与成分とする機能性表示食品には1日に摂る量が書かれていますが、これも製品ごとに事業者が示した量で、ルテインを摂るべき量の目安ではありません。
食事では、緑の濃い野菜を日々の食事に取り入れることが基本になります。
期待されている効果と研究の結果
黄斑色素が増える
目の健康な成人を対象にした46件の研究(3,189人)をまとめた系統的レビュー(2021年)では、ルテインとゼアキサンチンの量が多いほど黄斑色素の濃さが増えていました。1日5mg未満の研究(おもに食事を変えた研究)では、統計的に意味のある変化はありませんでした。レビューは、見え方に意味のある変化が出るのに必要な最少の量は、今後の研究が必要だとしています。
黄斑色素が増えることと、目の病気が防げることは同じではありません。
加齢黄斑変性
日本眼科学会によると、加齢黄斑変性は加齢に伴って黄斑が傷み、見ようとするところが見えにくくなる病気で、日本では成人の失明原因の第4位です。ものがゆがんで見える、中心が暗く欠けて見えるといった症状が出ます。
食事からの摂取:ルテインとゼアキサンチンを多く摂る人に加齢黄斑変性が少ないかを調べた観察研究の結果は、そろっていません。ライナス・ポーリング研究所によると、関連を認めた研究がある一方で、前向きに追跡した研究のいくつかでは関連がありませんでした。米国の2つの大規模な追跡研究(合わせて約10万人)では、推定した血中濃度が最も高いグループで進行した加齢黄斑変性が41%少なくなっていましたが、中間期の加齢黄斑変性とは関連がありませんでした。観察研究では、野菜を多く食べる人のほかの生活習慣が影響している可能性を除ききれません。
発症を防ぐか:コクランの系統的レビュー(2017年)によると、ルテインやゼアキサンチンのサプリメントで発症を防げるかについては根拠がありませんでした。日本眼科学会も、ごく初期の人や発症していない人での予防効果は確立していないとしています。
進行を遅らせるか:米国の大規模なランダム化比較試験であるAREDS2は、加齢黄斑変性が進むおそれのある人を対象に、もとの配合のサプリメントにルテイン10mgとゼアキサンチン2mgを足す効果を調べました。5年間で進行した加齢黄斑変性になった確率は、偽薬(有効成分を含まないもの)で31%、ルテインとゼアキサンチンで29%で、統計的に意味のある差はありませんでした。
試験を統合したコクランの系統的レビュー(2023年)でも、ルテインとゼアキサンチンで進行するリスクは同じか、わずかに低い程度とされ、根拠の確実性は低いと判定されています。視力の低下にも差はありませんでした。
同じレビューは、ビタミンC、ビタミンE、β-カロテン、亜鉛を組み合わせたもとの配合は、進行をおそらく遅らせると結論しています。ただし、効果が大きいのは中間期の人で、早期の人ではわずかです。
β-カロテンの代わりとして:AREDS2では、β-カロテンを摂ったグループで肺がんが多く(2.0%と0.9%)、その多くは以前たばこを吸っていた人でした。その後10年まで追跡した報告でも、β-カロテンでは肺がんが多くなっていました。ルテインとゼアキサンチンでは肺がんの増加は統計的に意味のある差ではなく、β-カロテンと比べて進行した加齢黄斑変性が少ない傾向がありました。このため、今の配合はβ-カロテンの代わりにルテインとゼアキサンチンを使っています。
どのような人に向くか:NEIは、中間期の人や片方の目が後期の人では進行を遅らせる可能性があるとする一方、早期から中間期への進行は防げず、両目とも後期の人にはおそらく役立たないとしています。また、ふつうのマルチビタミンや食品では同じ配合にならないとしています。つまり、進行を遅らせる可能性が示されているのはビタミンや亜鉛を組み合わせた配合で、ルテインだけのサプリメントではありません。ルテインだけの試験では5件(445人)をまとめたメタアナリシス(2014年)で視力の改善はわずかで、結論を出すには研究の数が足りないとされています。
日本の新生血管型加齢黄斑変性の診療ガイドライン(2024年)は、これらの研究は海外のもので、日本人で検証されているわけではないとしています。自分が飲むべきかは、眼科医に相談してください。日本眼科学会は喫煙を自分で変えられる最も重要な危険因子としており、禁煙を強くすすめています。
ものがゆがんで見えるなどの症状があるときは、サプリメントで様子をみず、早めに眼科を受診してください。新生血管型には、目に薬を注射する治療などがあります。
白内障
ライナス・ポーリング研究所によると、大規模な追跡研究では、ほうれん草、ケール、ブロッコリーなどルテインの多い食品を多く摂る人に、白内障や白内障の手術が少ないと報告されています。血液中のルテインとゼアキサンチンが多い人に核白内障(水晶体の中心がにごるタイプ)が少ないというメタアナリシス(2014年)もあります。ただし、これらは観察研究で、ルテインそのものの働きかは分かっていません。
一方、AREDS2の白内障の解析(3,159人、約5年)では、サプリメントで白内障の手術や視力の低下は全体として減りませんでした。食事からの摂取が最も少ないグループでは手術が少なくなっていましたが、これはグループを分けて解析した結果で、確かめるには別の試験が必要です。
目の疲れ・見え方
パソコンなどの画面を長く見る人でコントラスト感度(濃淡を見分ける力)が上がったという試験や、目の疲れの症状が減る可能性を示した試験があります。ただし、37人の試験は視力やまぶしさの感じ方に変化がなく、13人の試験はカシス抽出物との組み合わせで調べたものです。どちらも人数が少なく、確かな結論は出せません。
ドライアイについては系統的レビュー(2024年)で、症状が改善した研究と差がなかった研究があり、結果がばらついていました。
認知機能
AREDS2の認知機能の解析(3,741人、平均72.7歳)では、ルテインとゼアキサンチンを摂っても認知機能の変化に統計的に意味のある差はありませんでした。試験をまとめたメタアナリシス(2021年)でも、注意力、実行機能、記憶に統計的に意味のある改善はありませんでした。
心臓や血管の病気
系統的レビュー(2016年)では、ルテインの摂取量や血中濃度が高いグループで冠動脈疾患と脳卒中が少なくなっていました。ただし、根拠のほとんどは観察研究で、ルテインを摂って調べた試験は3件だけでした。大規模な試験は少なく、サプリメントでこれらの病気を防げるとは言えません。
早産の赤ちゃん
コクランの系統的レビュー(2025年)では、早産の赤ちゃんにルテインとゼアキサンチンを与える5件の試験(666人)を調べています。未熟児網膜症の重いもの(3期以上)はおそらく減りますが、未熟児網膜症全体や死亡にはほとんど差がないとされています。これは新生児の医療の中で調べられたもので、家庭でサプリメントを与えることを勧める結果ではありません。
副作用と安全性
毒性の報告はない
ライナス・ポーリング研究所によると、ルテインの毒性は報告されていません。
サプリメントの上限は決まっていない
この記事で調べた範囲では、ルテインのサプリメントについて日本の公的な上限は見当たりませんでした。11件のヒトの研究を調べたリスク評価(2006年)は、1日20mgまでは安全性の根拠が強く、それより多い量については長期の安全性を確信できるデータが足りないとしています。これは研究者の評価で、公的な基準ではありません。
欧州食品安全機関(EFSA)は、食品の着色料としてのルテインについて、1日に体重1kgあたり1mgという許容一日摂取量(毎日摂り続けても健康への影響がないとされる量)を示しています。長期の毒性試験がないため、大きな安全係数をかけて決めた値です。着色料の評価であり、摂るとよい量ではありません。
注意が必要な報告
- 肺がん:米国の観察研究(VITAL)では、ルテイン単独のサプリメントを4年を超えて使った人で、使わなかった人より肺がんが多くなっていました。一方、上で説明したAREDS2の10年の追跡では、統計的に意味のある増加はありませんでした。結論は出ていませんが、たばこを吸う人や以前吸っていた人は、長く使う前に医師に相談してください。
- 目の結晶:1日20mgのルテインを8年間摂っていた緑内障の高齢の女性で、網膜の中心に結晶がみられた症例が報告されています。この人は食事からのルテインも非常に多く、摂っていた総量は分かっていません。
- 配合サプリメント:加齢黄斑変性用の配合サプリメントはビタミンやミネラルの量が多く、NEIは消化やほかの薬の働きを変えることがあるとしています。診療ガイドラインもほかのサプリメントと同時に飲むときの過剰摂取に注意を促しています。亜鉛の摂りすぎについては「亜鉛の摂りすぎで起こること|銅の欠乏・貧血と耐容上限量、サプリの注意点」で説明しています。β-カロテンを含む古い配合は、たばこを吸う人や以前吸っていた人は避けてください。
妊娠中・授乳中
ライナス・ポーリング研究所は、β-カロテン以外のカロテノイドのサプリメントは妊娠中・授乳中の安全性が確立していないとし、食品から摂ることを勧めています。カロテノイドの多い野菜や果物は、妊娠中も控える理由はないとしています。
ルテインを摂るときの注意
- ルテインには摂る量の基準がありません。緑の濃い野菜を食事に取り入れることが基本です。
- ルテインのサプリメントだけで目の病気を防げるとは言えません。
- サプリメントを使うときは表示の量を守り、同じ成分を含む製品を重ねて摂らないでください。
- 加齢黄斑変性と診断された人は、サプリメントを使うかどうかを眼科医に相談してください。サプリメントを治療の代わりにしないでください。
- 薬を飲んでいる人、たばこを吸う人や以前吸っていた人は、使う前に医師・薬剤師に相談してください。
- 妊娠中・授乳中の人は、サプリメントでなく食品から摂ってください。
関連記事
ビタミンAの働きと1日の摂取量は?推奨量・耐容上限量とβ-カロテンの換算、摂りすぎの注意
ビタミンAの効果とは?暗いところでの視力・皮膚や粘膜を保つ働きとβ-カロテンのサプリメントの注意
ビタミンEの効果とは?抗酸化作用と心臓病・がんを調べた大規模試験、サプリメントで出血しやすくなる注意
亜鉛の摂りすぎで起こること|銅の欠乏・貧血と耐容上限量、サプリの注意点
n-3系脂肪酸(オメガ3)とは?EPA・DHAの働きと1日の目安量、多く含む食品
